統合失調症急性期だった私の体験談

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本稿は読者投稿コーナーに応募してくれた方からの原稿です。


メンヘラ.jpを御覧の皆さん、初めまして。
ヤマカワと申します。

さて、皆さんは「メンヘラ」と聞いたら、具体的にどんな病気を持っている人を想像しますか?

うつ病、双極性障害などに代表される「気分障害」。
ADHD、アスペルガーなどに代表される「発達障害」。

おそらく、この二つを思い浮かべる方が多いでしょう。

 

本記事のタイトルにある「統合失調症」と答えてくる人は、少数派かと思います。
今日お話したいのは、そんな少し馴染みのない精神疾患、統合失調症についてです。

社会的な認知は劣るかもしれませんが、「精神疾患と言えば統合失調症」というくらい圧倒的な存在感を誇る疾患です。
例えば、精神科の病気で入院されている患者さんの内訳は、以下の表のとおりです。

 

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(参考:http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

 

真ん中のガッツリ青い部分に該当するのが、統合失調症です。
全体の半分以上を占める割合ということで、何となく感じて頂ければ良いかと思います。

なるほど、統合失調症の人が多いのはわかった。
で、具体的にそれはどういう病気なの?というところに話が移るかと思います。

統合失調症の症状としては、大きく分けて二つ「陽性症状」と「陰性症状」があります。
陽性症状としては、妄想や幻覚など。
陰性症状としては、感情鈍麻、意欲低下などがあります。

「妄想なんて毎日してます!わたし趣味妄想です!」なんて方もいらっしゃるかもしれません。私もそうです。しかしここで言う妄想はそんな生易しいもんじゃありません。

もちろん人によって症状の現れ方は異なりますが、ここでは具体的な例として、私が陥った「妄想」と「異常行動」について挙げておきます。何を隠そう、私も統合失調症患者の一人なのです。

 

私が統合失調症を発症したのは、社会人一年目の冬のことでした

色々あったんですが、「付き合っている恋人は実は暴力団幹部の娘で、その娘を妊娠させてしまったから謝りに行かなきゃ!」と家を出て徘徊したエピソードが面白いかと思います。

上記のような妄想に取り憑かれた私。責任を取らねば!と家を飛び出します。まずは「そうだ、結婚しよう」というノリで市役所に行きまして。入口で声をかけてくれた女性に「籍を入れに来ました」というとき、「鬼籍に入る(=死ぬ)」という言葉を思い出し、「あぁやばいやっぱ殺される!」という妄想が溢れ出まして、市役所を出ます。

不審に思われますが、この辺はまだ序の口。

 

その後、「やっぱ手続きは会いに行ってからだよね」と考え直し、地元から新幹線で上京しようと思い立ちます。

駅まで歩いて行くまでは良いものの、新幹線きっぷ売り場の窓口で、なぜか声が出せない。駅員さんに不審がられるも、右手を動かす素振りをしたら察してくれてメモとペンを用意してくれました。そして筆談で地元駅から東京駅までの切符を購入。

そして新幹線のホームへ。ここで流れる録音された女性のアナウンス。

「間もなく〇〇番線に~」あぁ、これに騙されちゃいけない!これは自分を騙そうとしてる!と思い込みます。統合失調症によくある「被害妄想」の一つですね。かなり一般化した語彙ではありますが、その実はかなりやっかいなものです。

その後車掌さんと思しき人の声に切り替わって、「間もなく〇〇番線に~」と言われると、あぁ、こっちが正解だ、乗ろうという謎の納得をして、新幹線に乗り込みます。

 

そんなこんなで東京到着。山手線に乗り変えます。混雑している車内で「歩き回らなきゃ殺される」と思い込み、ぐるぐる歩き回ります。「絶対に立ち止まったらいけないゲームだ、これは」とか頭の中で唱えてました。

その後、上野で一旦降ります。この辺りで、姉から「家にいつ帰るの?お母さんがすごく心配してるよ」とメールが来ます。いつか帰る。5日に帰る。5日とでも返信しておこうかと思いながら、返事しませんでした。シャレかよ。

辺りをしばらく散策した後、再び駅へ。閉まる改札をジャンプで飛び越え、意気揚々と山手線に乗りこみました。

もう全てが唐突なんですが、このとき新たに唐突に、「エヴァのQを観なきゃ!」という思いに駆られました。

ほぼ同時に「エヴァのQを観たカップルは別れるらしいよ」という都市伝説がある、という発想も受信。
ついでに「エヴァのQを観たらこの異常な思考状態が終わる」という確信ももち、どうしようか揺らぎます。

そんなこんなで新宿駅に着きます。
改札では駅員さんが精算する列の横を「お疲れさんで~す!」とか言いながら颯爽と通り抜けました。
この辺で父親から電話を受信。ここはちゃんとスマホで物理的に受信。

父「今どこまで来た?」
「神を乗り越えた女偲ぶ会」←本人的にはマジレス。その時はこんな感じの妄想してました。
父「は?どういうこと?」
私「何でわかんねぇんだよ!」←マジギレ
父「今どこにいる?」
私「新宿」
父「今から行くから待ってろ」

通話終了。

 

辺りがすっかり暗くなった頃、新宿バルト9へ行き、エヴァのQを観ます。

チケットを買うとき、五千円札を出したんですが、「ここで女(=樋口一葉)を売るのは非道徳的!」という考えが頭をよぎりまして。会計しようとしていた店員さんの手を止め、一万円札を手渡します。超不審に見られる。諭吉は良いのかよ。

そして上映中。訳わかんない頭の状態で見たので内容ほとんど覚えてません。でも普通に訳わかんない話だった気もする。「キチガイの僕がこんなキチガイ映画観るなんて、なんて滑稽!」とか思った記憶があります。

そして上映終了後、新宿夜の街へ再び吐き出されます。残念ながら異常な思考は治りませんでした。当然ですね。

この頃受信した妄想は、「午前三時に第三次世界大戦が起きて大惨事!」というものでした。
本人は本気ですので、道行く外人に「World War Third!? World War Third!?」と話しかけたりもしました。

ちなみに外人は「Yes」と答えた(ように聞こえ)、愕然とした私はその場を去ります。どうでもいいことですが、飲み会の席とかで病気の体験談話す時は、ここが一番笑いとれます。本当にどうでもいいな。

 

さて、また電車に乗りまして。なんか色々乗り換えたんですけど詳しい記憶がありません。

「こっちのホームは緑色なのにこっちのホームは水色!なんで!?どうして!?」など、些細な事に動揺したり。
「次は馬喰町~」というアナウンスを受け、「暴露?超暴露!?俺の何をどう暴露すんの!?」と不安になって。
「次は錦糸町~」というアナウンスを受け、「禁止!?超禁止!?何がダメなの!?」と不安になりました。ギャグのような本気の話です。

結局錦糸町で降りました。どうやって改札を出たのかやっぱり記憶がありません。

駅の広場で空を指差しながらぐるぐる歩き回る。気分は20世紀少年の「ともだち」です。浦沢直樹……直木賞……文学部のあの先生……などなど、思考は支離滅裂に広がりました。モニュメントみたいなのを見つけて、そこに充電切れのスマホを起き、なぜか礼拝。

「オニイサン、イイトコアルヨ~」と話しかけてきた外国人の女性に、「ダイジョウブ?ホントニダイジョウブ?」とガチで心配されたりしました。大丈夫じゃないですね。

 

行く宛があるわけでもないのですが、近くのスーパーに行きました。ここでは、買い物してる女性客の買い物かごにネギを入れて立ち去ったりしました。

洗剤を買おうとしている女性客に「それ買っちゃダメですよ。ホントにそれでいいの?」とか話しかけたりもしましたね。実際その女性はその洗剤を手放してしまいました。今思えば悪いことをした。あと「自分が触ったものには自分の霊が宿る!」みたいに思い込み、スーパーに置かれているものを片っ端からベタベタ触ってたのも私です。すみませんでした。

そのうち店長さんらしき人がやってきたのに驚いて、店を出ました。発狂してても怒られるのは怖いのです。

 

さて、続いては駅前の交番に行きました。ここでも言葉が出なくなりまして。五人くらいの警察官に囲まれました。最初は「どうしましたか?」という優しい問いかけだったけど、「お前、何したんだ?」みたいなキツイ口調だったときもありましたね。

本当はこのとき、「私を殺して下さい」と言いたかったんです。

頭おかしくなってる自覚は自分の中にも少しあって。もう無理、もう無理という思いが溢れそうになっていたのです。でもここでそう言ってしまったら。きっと奥の部屋へ連れ込まれて頭を撃ち抜かれる……。

そう思って、何も言えなかったのです。

この時、自分が急速に老いて皺だらけの白髪だらけのおじいさんになっている妄想にかられ、すごく鏡で確認したくなっていました。

やがて、名前と住所を書け、みたいなことを言われ、紙とペンが出されます。自分の名前、住所、父親の名前を書いた後、パトカーに乗せられました。20年以上真面目に生きてきた人生でパトカーに乗るのは初めてでした。

交番から近くの警察署に運ばれたようです。謎の個室に通されて、イチゴジャムの入ったパンとお茶が出されました。あぁこれ絶対毒とか薬とか入ってるやつだなぁと思いながら、パンを食べてお茶を飲みます。

あとはひたすら踊ったりしてたけど、見張りの警察の人は止めてくれませんでした。そして銃で撃たれたような妄想に襲われ、その場でパタリと意識を失います。

やがて、両親が迎えにやってきました。

あとで聞いた話だけど、両親は本当に新宿まで来て、結局見つからないから交番で捜索願を出してたらしいです。そしたら錦糸町の交番に私がいるのが分かり、迎えに来たそうな。

東京から地元まで、タクシーで帰る。平日の深夜です。父は次の日仕事を休んだんだろうか。帰る間ずっと、母の膝枕で横になっていました。道路が大きく波打つのを感じていました。

その間も色々な妄想が浮かんでは消えていきましたとさ。めでたしめでたし。

 

病院へ行って診断名が付いて、と言うのはまた話す機会があればお話しましょう。

これらのエピソードからも分かる通り、統合失調症の妄想は周囲に多大な迷惑をかけます。

私の場合、辛うじて自分や他者に危害を加えなかったものの、本当に多くの方にご迷惑をおかけしました。
皆さんにかけたご迷惑は、自分の手で返していかねばなぁと思うばかりです。

それではこの辺で。お読み頂きありがとうございました。


【投稿者】
ヤマカワ さん

【プロフィール】
ことばとおんがくがすきなめんへらさん。
社会人一年目で統合が失調。そろそろ良くなって来たかな~というところで弟が自殺。
諸々乗り越えた今では精神保健福祉士として、メンがヘラってるみなさんと楽しく過ごしています。

Twitter:@ymkwlab
ブログ:http://ymkwlab.hatenablog.com/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCv8OYVFH9Sg2MleK1uEHy-A




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