プロが教える自殺対策 身近な「死にたい」にどう向き合うか

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「死にたい」「死ぬしかない」と考えるようになったとき、私たちはどうすればいいのだろう。

死にたいと考えたことがある人にはわかると思うが、ほとんどの場合、「死にたい」は急にどこからかやってくるものではない。自殺を考える人には、死にたくなるほどの事情がある。

例えば、どんな事情があるのか。2015年の自殺の原因・動機を見てみよう。

  • 健康問題
  • 経済・生活問題
  • 勤務問題
  • 家庭問題
  • 学校問題 etc…

遺書等によって特定できた分だけでも、これだけたくさんある。当然、複数の問題を抱え込んでいるケースも少なくはないだろう。
いま死にたいあなたにも、思い当たるフシがあるかもしれない。

自分では抱えきれないほど大きくなった問題を、どうにかして解決したい。でも、どうすればいいかわからない。
そういうときほど、「死」という選択肢が目の前で大きく膨らんでいるような気がする。

それでは実際、どのくらいの人が自殺を選んでいるのだろう。

2016年、日本では、9月末までに16,683人が自殺で亡くなっている。2015年の日本の年間自殺者総数は24,025人(同年1月〜9月末の自殺者総数は18,336人)、2014年の日本の年間自殺者総数は25,427人(同年1月〜9月末の自殺者総数は19,302人)であることを考えると、数としては自殺が年々減っていることがわかる。

一方で、残念ながら、年末までにこの悲しい数字が数千人規模で増えていくのではないか、と考えることもできる。

今、この瞬間にも誰かが死んでいるかもしれない。次の瞬間に死ぬのは私かもしれない。

 

そんな中、日々たくさんの「死にたい」を受け止める人たちがいる。死にたくなるほどこじれた状況を、なんとかして打破しようとしている人たちがいる。

それは何も、精神科医や専門の相談員だけではない。内科やホスピス、司法書士事務所、犯罪被害者支援、お寺……。一見、直接的な死にたさとは関係のなさそうなところにも、「死にたい」に寄り添う人が確かに存在している。

今年出版された雑誌こころの科学186号 「死にたい」に現場で向き合うでは、自殺防止のための特集が組まれており、様々な分野のプロフェッショナル総勢15名による最新の自殺防止策を読むことができる。専門家だからこそ話せる知識や経験が集約されている。

また、この本の存在そのものが、この国に「死にたさをなんとかしたい」と本気で取り組んでいる人たちがいる証明でもあるといえよう。

死にたい時は「この世には逃げ道がない」と思い込んでしまう。けれど、実は意外と逃げ道があること、逃げた後の人生さえも支援しようとする人たちがいることも事実なのだ。

 

さて、前置きが長くなったが、私たちが死ぬしかないと思った時、死ぬ以外にどんな方法があるのか。助けを求めたとき、どのような支援を受けられるのか。

今回は『こころの科学 186号』に掲載された、様々な部門のプロフェッショナルが提案する自殺防止策を紹介することで、この問題を考える一助としたい。

なお、今回は要点を一部ピックアップして紹介しているが、読者の皆様には是非一度『こころの科学 186号』を手に取っていただき、各専門家の知見をフル活用してもらうことを願う。

 

 

■精神科医 松本俊彦さんの考える自殺対策


画像出典:http://mainichi.jp/premier/health/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E4%BF%8A%E5%BD%A6/

経歴

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所所属。精神医学の立場から、薬物依存や自傷行為、自殺について研究を行う。

概要

精神医学の観点から、エビデンスをもとに、世間一般に蔓延る「死にたい」への誤解を解く(例えば「死ぬ死ぬ、という人に限って死なない」というのは単なる迷信に過ぎない」など)。また、自殺の危険性が高い人や、自殺既遂者の言動についてもデータを出して解説している。

ポイント

  • 自殺既遂者の多くが、自殺直前には周囲に自殺の意図を伝えていない。実際には、周囲に自殺の考えを漏らすのは、それよりももう少し手前の時期(たとえば数週ないしは数ヶ月前)であることが多い。
  • 自殺念慮に気づくには、直接本人に問いかける以外に手はない。
  • 「死にたい」という訴えの背景には、「助けを求める気持ち」と「助かりたくない気持ち」が同時に存在する。
  • 自殺の再企図の予測因子として導き出された危険因子の一つは、入院中の精神医学的評価において「自殺念慮を否定したこと」。
  • 「自殺しない約束」の有効性を証明した研究は存在しない。流れ作業的に行われる「自殺しない約束」には、たんにスタッフの不安を軽減する以上の効果はない。
  • 精神科入院への入院が自殺を減らすというエビデンスはない。

 

 

■「いのちをつなぐ相談員派遣事業」相談員 奥田由子さんの考える自殺対策

経歴

滋賀県大津市保健所所属。救急病院と連携して自殺未遂者を支援する「いのちをつなぐ相談員派遣事業」の専任相談員。

概要

自殺未遂者のその後の生活の立て直しを支援する立場から、一度は死のうとした人たちの気持ちに寄り添い、再び自殺へ向かわないようにどのような対応をしているか、どのように言葉をかければ助けを求めやすくなるのかを解説。また、自殺未遂者の家族へのサポートの重要性を説いている。

ポイント

  • 生死を分ける大きな要素は「ギリギリのところで助けを求めることができた」ということ。
  • 支援を求める力につながることは徹底的に肯定する。
  • 自殺未遂者の「援助希求能力」を引き出し、育て、強化していくことを重要視する。支援者の抱くネガティブな感情がその妨げになっていないか考えることが不可欠。

 

 

■内科医 宮崎仁さんの考える自殺対策

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画像出典:http://mainichi.jp/premier/health/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E4%BF%8A%E5%BD%A6/

経歴

宮崎病院院長。プライマリ・ケア(内科)の立場から、患者の自殺予防に取り組んでいる。

概要

様々な身体症状の最初の受け皿としての内科で、患者が「死にたい」という気持ちを抱えているかどうかに気づくことの重要さを説く。身体症状の背景には精神疾患や死にたい気持ちが隠れていることがある。それを放置しないために、何を疑い、どのように関係を築けばいいのか。

ポイント

  • 身体症状の背景にある精神疾患や「死にたい」気持ちが見逃され、「不定愁訴」「自律神経失調症」といった安易なラベリングだけで放置されてしまうと、患者から適切な治療を受ける機会を奪うだけでなく、自殺完遂のリスクも高まる
  • 良好な人間家計を基盤とした、医師と患者の共同作業だけが、身体症状の背後に隠れた「死にたい」気持ちを見つけ出し解消できる。

 

 

■終末医療専門医 新城拓也さんの考える自殺対策

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画像出典:http://www.shinjo-clinic.com/kobe/toppupeji.html

経歴

しんじょう医院院長。終末期の患者に対して、在宅での緩和ケアに取り組む。

概要

終末期医療を行うホスピスで患者が発する「死にたい」「いっそ死なせてくれ」という声を、医師としてどのように考えるのか。痛み止めや医療用麻薬で肉体の苦痛は消せたとしても、心の痛みは消せない。死にたいほどの精神的苦痛に、緩和ケアの現場ではどのように対処しているのか。「死なせてほしい」と言う患者と「向き合う」のではなく、「見守る」覚悟を決めるまでの過程を描いている。

ポイント

  • 緩和ケアによって肉体の苦痛が緩和されても、患者にとっての現実=治らない病気にかかっている、という状態は変わらない。そこで精神的苦痛が発生し、「死なせてくれないか」と言う患者も少なくない。
  • 「死にたい」と望む患者と向き合い続けることに重圧を感じ、「向き合う」のではなく「見守る」ことにシフトした。
  • 「死なせてほしい」と言う患者にも、様々な顔がある(『分人』)。患者の「死なせてほしい」以外の顔を探すことで、「死なせてほしい」顔と向き合うことをやめることができた。

 

 

■生活困窮者支援NPO代表 的場由木さんの考える自殺対策

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画像出典:http://keio-koubaikai.la.coocan.jp/interview_L9matoba.html

経歴

NPO法人自立支援センターふるさとの会所属。保健師・保護司。ホームレス等の生活困窮者の生活・社会復帰支援を行っている。

概要

生活困窮者の支援の現場では「死にたい」によく出会う。生活困窮者は生きることそのものに「困窮」している。生活困窮者の就労支援におけるメンタルヘルスの重要性を改めて語り、生活困窮者がこの世への安心感・安全感を得るにはどう働きかけるか、「死にたい」人を孤立させないためにどうしているか解説している。

ポイント

  • 「死にたい」という気持ちや、その理由が明確に語られる場面は少ない。
  • 生活困窮者は、生活の基盤が崩れていることが多い。そのため、誰もが持っているような安全感を持っていない。まずは、当たり前の感覚としての基本的信頼感や安心感、安全感を持ってもらうところから支援が始まる。
  • 相談者の孤立を深めないことが大切。
  • 支援者は、自責感や無力感を募らせてしまうことがある。

 

 

■精神保健福祉士 江田暁子さんの考える自殺対策

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画像出典:http://litalico.co.jp/lab/

経歴

株式会社LITALICOのライフネット支援室所属。精神保健福祉士。ソーシャルワークを通して自殺予防に取り組み、就労支援事業に携わるスタッフの育成に従事している。

概要

障害者総合支援法に基づく福祉サービスである就労移行支援の活動を通して、自殺のリスク因子を高い感度でキャッチし、実際に対応した事例を挙げている。また、日々の支援活動により、就労移行支援の利用者との心のつながりを作ることそのものが自殺の抑止力になっているという。

ポイント

  • 就労移行支援の利用者は無職であり、自殺リスクが潜在的に高くなりやすい。また、援助希求行動がない、もしくは少ないことが特徴として挙げられる。
  • 「死にたい」人の心理や理論などの知識をつけること、対応スキルを習得することが大事。
  • 支援者のバーンアウトを防ぐために、支援者が孤立しない環境づくり、早期の家族や関係機関、職場との協力関係の構築は不可欠。

 

 

■司法書士 木下浩さんの考える自殺対策

経歴

佐伯・木下司法書士事務所で司法書士を務める。兵庫県司法書士会では自死問題対策に積極的に取り組んでいる。

概要

多重債務者の中には、自殺を考える者も少なくはない。司法書士として数々の多重債務者と関わってきた経験から、「死にたい」状況とはどのようなものか、死んでしまうまで心が追い詰められないようにするにはどのような支援をすればよいのか、冷静に解説する。また、支援者と希死念慮を持つ人の共倒れを防ぐため、支援は地域社会の各専門機関と組んで行った方がよいと主張している。

ポイント

  • 最善の改善策は、当事者の生き方や考え方に寄り添い、問題点を整理すると(何を優先すべきか、大切にすべきかを考える)。
  • 「他人に相談する、あるいは、他人に助けを求めることは、決して恥ずかしいことではない」ということを社会全体で認識し直すべき。すべてに「自己責任」を求めるのは、必要以上に人を追い込む結果となり、不可能なことを強いることになりかねない。
  • 希死念慮のある人を家族や友人だけで支援すると、共倒れの危険性がある。ましてや一人の「ゲートキーパー」だけで希死念慮の高い人とかかわるのは、あまりにもリスクが大きい。主治医との連携をとること。

 

 

■臨床心理士 内海新祐さんの考える自殺対策

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画像出典:http://www.zaidan.shiseido.co.jp/activity/carriers/publication/

経歴

臨床心理士、児童養護施設川和児童ホーム所属。児童養護施設における子どものこころのケアに取り組む。

概要

児童養護施設で直面する様々な「死にたい」について言及している。児童養護施設に入所してくる子ども達は、一般に将来の自殺リスク要因となりうる問題を抱えている。年齢によって、「死にたい」の様相が変化する。不安定な子どもを死なせないために、どのような対応をしているか、どのような心構えで接するか紹介している。

ポイント

  • 施設にいる間、子どもたちは多くの手と目に護られているため、危機的状態にならずに済む。
  • 頼れる仲間も大人もいなくなった退所後に自殺リスクが高まるかもしれない。それを少しでも減らすために、入所中に死にたいほどの気持ちに触れたり、「生きることも悪くない」「人とつながってよかった」という体験をすることが大切。
  • 退所後もつながりを保ち続けるように努めることが大切

 

 

■女子高生サポートセンター代表 仁藤夢乃さんの考える自殺対策

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画像出典:http://www.colabo-official.net/

経歴

女子高校生サポートセンターColabo代表。現在、「居場所のない高校生」、「搾取の対象になりやすい青少年」の問題を発信しながら、少女の支援を行っている。

概要

家にも学校にも居場所がなく、誰にも頼れないまま死にたさを抱えて彷徨う女子中高生たちを支援している筆者。相談に訪れたことそのものを褒め、「死にたい」と言えることは、言えないことよりも良いという。相談者に対しては常に冷静に対応し、問題点を具体的に切り分け、決定は相談者自身に行わせる。また、当事者同士のつながりを作ることで、それぞれのつらさを解消する方法を共有したり、そこで生まれる関係性を大切にすることを重要視している。

ポイント

  • 相談してくれたことに感謝する。「話してくれてありがとう」「よく来たね」と声をかける。
  • 相談者と信頼関係を築くために気をつけているのは、「相談者の目線に立ち、対等な関係を意識すること」「感情的ではなく、客観的に状況を分析し、相談者の気持ちに理解を示しながら解決策を提案すること」「守れない約束をしないこと」
  • 援助者の思いや言動だけで状況を変えることは難しい。他の人の力を借りること、相談者の選択や行動、協力が不可欠。

 

 

■HIV陽性者支援NPO代表 生島嗣さんの考える自殺対策

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画像出典:http://news.livedoor.com/article/detail/9530891/

経歴

NPOぷれいす東京代表。HIV陽性者やそのパートナー、家族のための直接支援を提供している。また、HIVなどの性感染症の予防啓発なども行っている。

概要

HIV検査前後の不安などについて相談を受ける立場から、HIV陽性者の抱える精神的な問題を挙げている。生育過程の影響、日本社会とHIVの関係などから、HIV陽性者の「死にたい」気持ちの根源にあるものを考察する。また、薬物使用の問題についても、社会・環境要因で生じる心の痛みへの対処行動であると述べ、支持的な関係の中で、当事者の認識の変容を促すことを重要視している。

ポイント

  • 生育歴と社会環境により、心の痛みが発生してしまい、その痛みから逃れるために薬物使用等の逸脱行動に出てしまうことがある。
  • 個人の問題対処の能力を越えてしまう場合、社会のなかでの居場所を失ってしまうと感じる人がいる。「自分の現況を知ったら、周囲の人たちは自分を受け入れられるはずがない」と考えてしまうのだ。もともと自分の抱える問題への差別的な意識を持っていれば、それが自己に刃を向けることになる。
  • 支持的な関係性のなかで、認識や行動の変容を支援していくことが求められる。

 

 

■犯罪被害相談員 新井陽子さんの考える自殺対策

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画像出典:http://soar-world.com/2016/09/20/soarcampus2/

経歴

公益社団法人被害者支援都民センターにて、犯罪被害相談員を務める臨床心理士。事件や事故などの犯罪被害に遭った人や、その家族に対する支援活動を行っている。

概要

女性の性犯罪事例から、犯罪被害者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥り、刑事手続や裁判によって追い詰められ、絶望するまでの流れを解説する。被害者の死にたい気持ちの「波」をどのように乗り越えたりやり過ごしたりするか、具体的な手法を紹介している。

ポイント

  • 相談者の負担を減らすため、関連機関と連携する。また、中長期的な見通しと情報をわかりやすく提示し、現実的で短期的な課題を共にこなすことも負担軽減につながる。
  • 家族にも心理教育や具体的な対応方法などを伝えることで、家庭が安全な場所になるよう配慮する。
  • 自殺念慮について率直に確認する。驚いたりやめさせようとせず、それを語ってくれたことに感謝を伝え、現在の苦悩に耳を傾ける
  • 支援者に話せないことがあること、そして語らない・語れない自分を責めていることにも想像力を働かせる。

 

 

■薬剤師 向井勉さんの考える自殺対策

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画像出典:http://shimin-ph.jp/

経歴

株式会社市民調剤薬局代表取締役。 新潟県内を中心に薬局を展開しながら、薬剤師の業務体制に自殺予防活動を取り入れている。

概要

薬局の、単なる「お薬屋さん」以外の役割を提案している。そもそも薬局にやってくる人の中には深刻な病を抱えている人もいるということ、精神科処方薬を使って自殺を図る人も多いことなどから、薬剤師が自殺予防活動をすることの必要性に気付き、実際にどのように普段の業務体制に自殺予防活動を取り入れたのか、書かれている。

ポイント

  • うつ症状を感じた人の64.7%がはじめに内科を受診するが、精神科・心療内科の受診率は10%未満である。
  • 死にたい人が相談してくれることで、命を救える可能性はある。しかし、ほとんどの方が電話もしないし、受診もしないまま、自殺を図って亡くなっていく。
  • 家族や近しい人にも話せないことがある。第三者としてそれに気づき、話を聞き出し、必要な専門家につなげることはできる。

 

 

■東京自殺防止センター所長 村明子さんの考える自殺対策

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画像出典:http://www.showcase-tv.com/corporate/csr/befrienders-jpn/

経歴

認定NPO法人東京自殺防止センター所長。自殺を考えている人、自殺を考えているほど辛い人の心に寄り添う電話相談を行い、自殺防止活動に取り組んでいる。

概要

「死にたい」人からの電話相談を受ける立場から、死にたい人がどんな状況に置かれているか、どのような質問をするべきかを説く。「死にたい」と打ち明けることは命がけの相談であり、意見の押し付けや説教・説得、その場しのぎのアドバイスでは、自殺を考えるほど苦しんでいる人の心には届かない。

ポイント

  • 死にたいサインを感じたら、死にたい気持ちがあるか、単刀直入に尋ねる。
  • 相談員自身の意見の押しつけ、常識や説教・説得は相談者のこころに届かない。まして、その場で思いついたアドバイスは、この苦しみを眠れないほど考え続けている人を前に容易にできるものではない。
  • 死に向かう気持ちをわかろうとすることは、理解するというより共有すること

 

 

■自殺防止活動NPO代表 伊藤次郎さんの考える自殺対策

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画像出典:http://ova-ceo.lolipop.jp/

経歴

NPO法人OVA代表理事。インターネットを使った自殺防止活動を行っている。2013年、インターネット広告等を通じて、自殺のリスクが高い若者に介入する「夜回り2.0(InternetGatekeeper)」を開発・実施した。

概要

インターネットでの自殺防止活動について、実際の対応を交えながら解説する。相談者は強い孤独感と絶望感を抱えていることが多い。相談者との関係づくりや、援助要請行動をエンパワメントする方法、自殺を「直接やめさせる」のではなく「結果的にやめることになった」という状態に持っていくためのノウハウが紹介されている。

ポイント

  • 相談室に訪れた相談者に対して「よくきたね」と伝えるのと同時に、援助要請行動をエンパワメントする。
  • 相談者からの現在の自殺念慮や自殺の計画・準備などの具体的な話を教えてもらう。自殺の方法が具体的に準備されていた場合、自殺企図の手段から遠ざけることが重要。
  • 「自殺を止める」のではなく、結果的に「自殺できない安全な場所に移動させる」などの方法をとる。直接的に自殺をやめるように伝えず、結果的に自殺をやめるように促す。
  • 自殺をしない約束は弊害が高い。やみくもに約束しようとすれば「この人は自分が自殺さえしなければいいのだ」と受け取り孤独感を強める可能性すらある。約束をするなら、まさに今、自殺の危機にある相談者と話し、「明日直接会って話をしよう」などの約束をする。
  • 自殺の相談は、しばしば多大なストレスを支援者に与える。支援者がバーンアウトしかねない。相談者のためにも、支援者は自殺の相談を一人で抱え込まずにチームを組み、対応することを心得ておく。

 

 

■住職 前田宥全さんの考える自殺対策

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画像出典:http://www.jinken.ne.jp/flat_now/kurashi/2011/08/19/1502.html

経歴

正山寺住職。自死・自殺に向き合う僧侶の会共同代表。僧侶の立場から、死にたい気持ちや自死遺族の心のケアを行っている。

概要

自死・自殺に向き合う僧侶の会に寄せられた「手紙相談」「面接相談」の内容を列挙し、その中から見えてきた相談者の抱える問題の特徴や、特有の心性を解説する。また、支援者に求められる心構えを仏教的な観点から指摘する。

ポイント

  • 相談の予約をするのは、死ぬまでの猶予をつくるため(相談者の発言)
  • 「死にたい」と訴えない、訴えることができない人もいるので、援助者からの問いかけが必要になる。死にたいと言わせるのではなく、「死にたい」と考えても自然な状況であることを察する必要がある。
  • 感情的・認知的アプローチが重要。行動的アプローチも関わり方によって可能。
  • 適切な「問い」をすることが重要。特に感情面では、「はい・いいえ」以外の言葉で答えられるようなものがよい。
  • 誰しも「死にたい」と考えてしまう状況に追い込まれることがある。

 

 

■プロが考える自殺対策の共通項

15名のプロフェッショナルによる自殺防止策をご紹介した。

各分野における最先端の知見を見てみると、以下の5つの事項がおおむね共通している。

 

  1. 「死にたい」気持ちを否定しないこと
  2. 具体的な自殺の計画があるか確認する。もし具体的な計画があるなら、本人をできるだけ安全な状況に誘導するように冷静に動くこと
  3. 相談することは良いということ
  4. 相談を受けたら、具体的な解決策を提示すること
  5. 全て一人で解決しようとせず、適切な専門機関へ支援を求めること

 

■死にたいほどの問題を一緒に考えてくれる人はいる

大切なことは、今回ご紹介した数々の自殺防止策は「マニュアル」ではないということだ。

「面倒ごとに巻き込まれたくない」「目の前の人さえ死ななきゃそれでいい」という考えで培われた技術には見えない。きっと、それぞれの専門家が「死にたい」に誠実に寄り添い、なんとかして相談者を生きやすくしようと取り組んだ結果ではないだろうか。

もし「死にたい」「死ぬしかない」と考えるようになってしまったら。

このような自殺防止策があること、死にたいほどの状況をなんとか和らげようとしてくれる人がいることを、是非思い出してみてほしい。

 






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会社員時代の自殺が未遂に終わり、いろんな意味で「サービスで生きてる」無職。生きてる以上、楽にやっていきたい。少しでも死にたい人のお役に立てればと思います。

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