おかあさん、わたしをおとなにしてください。

コラム 共依存 親子関係 花坂 埖

冒頭からいきなりこんなことを書きたくはないけど、わたしは20年生きてきて処女である。

キスもハグも母親以外としたことがない。というか今でも母親とハグをするし時には一緒のベッドで寝たりする。そう、わたしと母親は典型的な親離れできない娘と、子離れできない母親である。これを世間では共依存と呼ぶのだと思う。

わたしの母親が子離れできないのは、わたしが小学1年生の時に精神的に体調を崩したことが少なからず関係していると思う。

覚えているのは、小学校最初の参観日に母親が来なかったこと。普段は泣かないわたしはその時は泣いた。もしかしたら、何らかの不安を予兆していたのだと思う。その後、母親は入院したり引きこもったり色々ありながらも、なんとか今も闘病を続けている。そして母親は病気になったことに後ろめたさを感じており、わたしにべったりとするようになった。

さらにわたし自身も常にさみしい人間なので、それに甘えてべったりしている。これが俗に言う共依存である。そんなことでわたしは母親と同じベッドで寝る回数こそ多少は減ったものの、どうしても人肌が恋しくなったり、さみしくてたまらなくなると母親のベッドに潜り込む。つまり、わたしにとって母親=わたしを甘やかしつつも叱ってくれる存在であるとともに、共依存の対象なのだ。

 

母親の話をもう少ししようと思う。

母親はとある東北の片田舎の長女に生まれた。大人しい性格で、大学に入るまで友達というものができなかったという。そんな彼女の人生の分岐点というものがあるとするなら、それは父親と結婚したことだと思う。

そこそこの企業に務める父親は、年上の妻である母親のことを見下していた。今で言えば言葉のDVというものに当たるのかもしれない。母親や祖母から聞かされた話で一番インパクトがあった話は、父親が仕事仲間を家に招いた時、「こいつ、裏口入学で大学入ったんだってよ」という言葉を吐いたことだ。

その話を祖母から聞かされた時、わたしの中の父親像というものが崩れていく音を聞いた気がする。それ以来、父親に対していびつな感情を抱くことになるのだが、それはまた別の機会に。

それでも母親は何も言い返せず耐えた。「子供ができれば変わると思った」と母親はわたしに言った。結論から言うと、わたしは変わるきっかけにはなりえなかった。母親はわたしが生まれてしばらくすると実家に戻り、やがて離婚した。そして病気になり、今に至る。病気は今でも治っていない。わたしは病気は治るものじゃない、よくなるものだと思っているけど、十三年病気の家族を傍で見続けるというのはそれなりにきついものがある。当の本人は「わたしは一生病気と付き合っていく」と言っているので、わたしはすこしでもよくなることを祈るしかない。

 

じゃあお前はどうなんだよ?と思う方もいるかもしれない。

わたしは今、生きている実感というものがわからない。かと言って死にたいとも思わない。ただ、わたしという器は底なしで空っぽなのだ。それを、誰かの愛情で埋めたいと思ってしまう。メンヘラはセックスに走るとよく言われるが、その気持ちがわたしにはよくわかる。ただ、親離れをしていないからセックスに走っていないだけだ。

でもこれでもわたしだって20歳の成人女性である。人並みに恋愛もしたい。でも自分に自信がない。以前投稿した記事にも書いたのだが、自尊心がないと自分を大切にできないどころか何も大切なものがなくなるのだ。

そしてその時、ふと思い出す。

子供の頃、泣いているときおかあさんが頭を撫でて慰めてくれた。頬ずりしたときのおかあさんのやわらかさ。それが無償の愛だとわたしは今でも信じている。そして自尊心が養われる過程で何かしらのバグが起きたとき、わたしは無償の愛にしがみついた。

自分が学校に行かなくても、お風呂に入らなくても、母親はわたしのことをちゃんと愛してくれている。わたしは幸せだ。なのにこの満たされていない感じは何なんだろう。わたしは精神年齢は低いけど決して赤ん坊なわけじゃない。でも自尊心を失うと同時に精神年齢も幼児退行しているんじゃないのだろうか?というくらいわたしも母親もお互いにべったりしてます…。

母親はこの状況をどう思っているのだろう。

聞き出すことは、隣にいるのに言い出せない。

おかあさん、おかあさん。

 


【執筆者】
花坂 埖 さん

【プロフィール】
片田舎に住む実家暮らしの20歳。中学生の時に南条あやと出会い、広汎性発達障害と診断されたことにより、メンヘラをこじらせ現在に至る。只今絶賛自宅療養中。

 


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