2年後にはじまる「精神障害者雇用義務化」 メンヘラも働ける社会がはじまる?


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今から約2年後の2018年4月1日から、精神障害者の雇用が義務化されることになりました。
これは精神疾患の当事者や民間企業、社会にとってどのような意味を持つものなのでしょうか。

前回の記事では「精神障害者は数百万人いるけど働けている人は2%以下」という非常に厳しい現実をご紹介いたしました。
(関連記事:精神障害者の厳しい就職事情 民間企業に就職できるのはわずか「1.7%」

その他にも、「そもそも精神障害者とは何なのか」「精神障害者雇用の現在」などについて詳細に説明してありますので、興味のある方は是非前回の記事をご覧ください。

今回は、2016年12月現在明らかになっている情報をもとに、精神障害者雇用の義務化についてお話しします。

どのような制度なのか。どのようなメリットがあるのか等を見ていきましょう。

 

■「精神障害者雇用の義務化」ってどういうこと?

精神障害者雇用の義務化と聞くと、「それぞれの会社に一定数は精神障害者を雇えっていう制度?」と考える方がほとんどだと思います。

実際そうなれば一番いいのですが、厳密な定義としては少し違います。厚生労働省の資料を見てみましょう。(参考:障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要

“平成30年(2018年)4月1日から、精神障害者も法定雇用率算定基準の対象になります”ということです。

これをすごく簡単に言うと、精神障害者雇用の義務化となるわけです。

 

■精神障害者雇用の義務化、どんな制度?

「障害者雇用率制度」をご存知でしょうか。「雇用する労働者のうち、ある一定の割合に相当する障害者の雇用を義務づける」というものです。

これまでは、この「障害者」の内訳は「身体障害者」「知的障害者」のみで、精神障害者の雇用は義務づけられていませんでした。精神疾患を持つ人にとって、十分な制度だったとは言えません。

そこで、2018年4月1日から、身体障害者+知的障害者のみで算出されていた法定雇用率に精神障害者も加わることになりました。法定雇用率を算出するための式は、このように変わります。

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こちらの式を見ればわかる通り、法定雇用率は「各企業が必ず一人以上障害者を雇用しなければならない」というよりは、「社会全体で障害者の雇用義務を背負う」という意味合いを持ちます。社会全体で、精神障害者を含めた障害者の雇用率を上げていくものです。それを達成するためには、必然的に各企業の障害者雇用率を上げていかねばなりません。

急に環境が変わるのは、企業側にとって大変なことですよね。そこで、緩和措置として平成35年(2023年)3月31日までは猶予期間に設定されています。

施行から5年間は、「従来までの身体障害者・知的障害者のみで計算した雇用率と、身体障害者・知的障害者・精神障害者を合わせて計算した雇用率との間で、政令で定める率」を達成すればよい、という程度に緩和されます(現時点ではまだ「政令で定める率」が決まっていません)。

だからといって、2023年3月31日まで何もせず、急にその翌日から精神障害者を雇用し、業務を円滑に行うのは無理があります。ですから、今のうちから精神障害者雇用義務化に対応できるように、各企業で準備と対策を進めていくのが望ましいでしょう。

また、法定雇用率を達成していない事業主は「納付金」を払う必要があります(納付金の金額は会社の規模によって異なります)。納付金は、法定雇用率を達成している事業主への「調整金」「報奨金」や、障害者の雇用促進等を図るための助成金として支給されるしくみです。

大切なことは、納付金は罰金ではない、ということです。罰金ではありませんので、「納付金さえおさめれば法定雇用率を無視してもよい」と考えることはできません。法定雇用率を達成できなければ、納付金をおさめた上で、法定雇用率を達成する努力が求められます。

 

■障害者雇用の社会的意義

精神障害者雇用が義務づけられることによって、これまで精神障害者であるという理由で十分な雇用を得られなかった人たちが、経済的に自立しやすくなります。

障害者雇用が発展し、福祉に頼ることなく(あるいは、より少ない給付金で)生活できる人が増えれば、今よりも社会保障費が減ります。その分、他の福祉や社会資源に回せるお金が増えるでしょう。
また、労働者が増えるということは納税者が増えるということでもあります。そのぶん税収が増えますので、国全体にとっても良いことです。(参考:http://sacec.jp/index.html、http://litalico.co.jp/vision/employment/

さらに、これは企業によって異なるかもしれませんが、障害者への合理的配慮のためにはおそらく新たな人員の配置や、新たな教育が必要です。そこに雇用創出の機会が生まれるかもしれません。

 

■精神障害者にとってのメリット

精神障害者の雇用が義務化されますので、単純に、雇用される確率が上がります。「自分でお金を稼ぎたい」「働きたい」「社会復帰したい」という人には福音かもしれません。

また、自身の病気や特性によって不利な状況が発生することがなくなり(合理的配慮)、今まで以上に働きやすくなっていくはずです。

 

■企業にとってのメリット

企業側にも少なくないメリットがあります。

まず、金銭的なメリットです。
障害者を多数雇用するなど、障害者雇用に積極的な企業には、様々な税制上の優遇措置があります。
(詳しくは、厚生労働省のホームページをご覧いただくか、お近くのハローワークまでお問い合わせください)。

また、実際に精神障害者を雇用している企業からは、

・特定のスキルが高い精神障害者を採用できた
・業務の効率化が進んだ

などの事例があがっています。

厚生労働省のホームページに掲載されている好事例集は、このような障害者雇用の成功例を確認できるだけでなく、精神障害者雇用のための様々なノウハウが凝縮されています。ぜひご一読ください。

さらに、精神障害者へのサポート体制が整えば、精神疾患にかかった社員へのサポートをしやすくなります。例えば、高い能力を持った社員が精神疾患によってリタイアすることを避け、状態を見ながら長く働いてもらう……といったことがしやすくなります。

 

■まとめ

2018年4月から始まる「精神障害者の雇用の義務化」について、現時点でわかっていることをご紹介しました。

読者の皆様におかれましては、「義務化されるのはわかったけど、実際、精神障害者の人とどう接したらいいかわからない」という気持ちもあるかと思います。そういう方々には、やはり「好事例集」がオススメです。実際に精神障害者を雇用し、定着させている各企業の取り組みが読めます。単純に読み物としても面白いので、今のうちにぜひご一読ください。

2018年4月を待たずとも、どんな人でも働きやすい社会になることを強く願います。

 

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会社員時代の自殺が未遂に終わり、いろんな意味で「サービスで生きてる」無職。生きてる以上、楽にやっていきたい。少しでも死にたい人のお役に立てればと思います。

1 件のコメント

  1. ソイレント 返信

    丁度、投稿してみようかと思っていた内容をタイムリーに書いて頂けたので、
    実際就活中のメンヘラとして蛇足かもしれませんが少しコメントさせてください。

    私は精神障害者手帳3級持ちで就職活動2年になりますが
    確かに、その間書類審査すら通過したことは1,2度です。
    (障害者求人にはほぼ必ず書類審査があります)

    ざっくりですが現在の法定雇用率は大体2%で、
    従業員数50人(パートアルバイト含)以上の企業に雇用義務が発生。
    本エントリーで紹介されている精神障害者の雇用義務化の数字については
    去年のハローワーク主催の障害者合同面接会で提示された数字では
    大体0.4%程度の予定だったと思います。
    何れにせよ移行期間のことも含めまだまだ働き辛い現状は続きそうです。

    あと、現在無職でも以前就業していて厚生年金をかけていたことがある方は、
    障害厚生年金の給付の申請をするのもいいと思います。
    診断書が必要になるのでお金は少々掛かりますが・・・。
    駄文失礼しました、では。

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