鬱に耐えるシェルターをつくろう


PAK85_kirikotosupana20141028182225_TP_V


以前、僕は『鬱という台風に備えよう』という記事を書きました。

以前の記事をざっくり説明すると

・鬱と台風は似ている(もっと言えば「大荒れの状況を生み出す存在」であるうえに、もっと理性的に似ている)。
・台風を消滅させることは不可能である(なにをしても落ち込むのは仕方ないこと)。
・強固な家(シェルター)に入っていれば「不安」だが、台風を凌ぐことは十分に可能。
・台風が上陸しているときの外出(変な行動は)大変リスクが高い。
・シェルターは自分で作らなくてはならない。

こんなところでしょうか。気になる方は各自、前の記事を見てください。

紹介した記事を見てもらったらわかると思いますが、肝心要のシェルターについての情報がまりにも曖昧だということがわかります。個人的にあまり断言できないという、デリケートな部分なために曖昧なままにしたつもりでも、これではなにがなんだかわからないためこうした記事を書くことにしました。

※注意書きです。
この記事にかかれていることは鬱ではないとき、大荒れではないときに行ってください。
あと今回の記事は僕の意見が色濃く写っています。なので盲信しないで、気に入ったところだけ真似してやろうかなぐらいのノリで読んで下さい。

 

【僕の過去の話】

いきなりですが、少し過去の話をします。

僕はわかりにくい子供だったと思います。なにを言われても主張はしないで、人の言うことはだいたい聞いていました。
ただ本人といえば自尊心が低く、自分自身を軽んじ、自分を出さない子供でした。理由は……今となればわかるのですが、「自分を出せば出すほど周りが離れていく」と感覚的に気がついていたからだと思います。

それこそ好都合だというふうに自分(自我)を殺し、好奇心を殺し、何事も考えなく(感情でもない状態を求めて)へらへらと笑って、適当にこなし、学校にも適当に登校し、自分のことも適当に扱っていました。

この適当は適度という意味ではなく、本当に執着のない感じです。批判を言わなければ賞賛もしない。友達が離れようが近づこうが、先生に怒鳴られても(そもそも怒鳴られる状況を作らないように動いてましたが)、課題は放置し、学力が下がろうがすべて「他人事」のように過ごしていました。(今思えば学校に興味がなかったのだと思います)

おかげさまで、なにも起こらない学生生活を過ごすことができました。
※先に言っておきますが、幸い、いじめを受けたなど特別悪いことは僕の身に起こってません。(被害妄想が酷くなったこともありましたが、それは単に僕が変わっていただけの話です)

 

さて、そんな冷静な思考を持っていても思春期、悩みが出てきます。当時は鬱なんて単語を知らなかったものですから、「なんか学校行きたくないな」と思う程度でした。

その悩みについて僕は歪んでいたのか、当時は「悩むことすらおこがましい」と悩むことから逃げていました。いや、逃げていたというか「悩む権利がない」みたいな思考を持ってました。例えるなら奴隷が服の心配をする権利はないだろ、と奴隷が思っているような感じです。まぁ、当時の僕は悩むに値する人間ではないと思っていたんですよね……。

当時の僕が悩みに対して行ったことといえば「無になる」ことでした。「僕は◯◯を悩む資格はない(だからこの考えは雑念だ)」と、自分の思考欲望を排除して、自分のことすら客観的に見ていったんですよ。そうすることで自分に対する執着心をなくしたり、好奇心も置いておいたり、感情も殺してみたり……など。

そしてある時思ったんですよ。「自分ってなんだろう」と。

自分を置いて行く先は自我の消滅かもしれません。それはある種、仏教でやりそうな(イメージ)ことをしていたようです。
けれどもそこに空とか無我の境地とかそんな尊いものはなく、自尊心が低い状態でのそれですからね。やんわり落ち込んだ状態に「自分ってなんだろう」ってなったときには、それはそれは冷静ながら危ない状態でした。

ここで「◯◯君って△△だよね!」など言ってくれる幼馴染がいたら良かったんですが(実は周りが言ってくれてたかもしれません。僕が気がついていないだけで)、そんな人はいないわけで。地に足がつかないようなふわふわとした、現実味のない考えを持ちながら日々生活をしていました。(最近知ったんですけど「離人症」などあるらしいですね)

 

そんなある日の帰り、書店でうろうろ歩いていると偶然にも占い本の棚に目が止まります。なにげなくざっーと目を走らせていると、一つ太い本で目が止まり、手にとって見るとそれは『誕生日大全』というものでした。

なにげなく自分の誕生日を開いたんです。

この時の驚きはすごいものでした。なにせ遠くに置いてきた根本的な性格っていうんでしょうか、根本的で核心的な心底がそこに書かれていたわけですからね。当時の僕はパソコンも持ってなければ、心療内科って単語すらも知らなかったわけですよ。それで言い訳できないほどの納得をしてしまう文章があるわけですよ。

ふわふわと孤独を感じていたのならなお一層、「僕のことだ……」というこの共感(というかすっきりしたような)、そんな感じが胸にすっとしました。

瞬間、ここが僕の心の拠り所となりました。

この占いの本を知ってから、落ち込むごとに(落ち込むごとに客観的に見るため、結果として主に自分を見失いかけた時に)ほぼ無意識で書店にある『誕生日大全』を開いていました。

わずか2ページの紹介文に、僕は「あぁ僕は博識なんだ」とか「僕にカリスマ性があるのか」など見出します。実際そうではなくてもしても、それは日々思考がふわふわしている僕にとっては「自分の内心(軸)」に戻るための救いであったり、「僕はこういう人間なんだ」と自分に教える行為になったり、(占いの本はだいたい理想的なことを書かれているため)自分が行き着く「目標」にもなりました。

……と、話途中ですが、ここで過去の話を終わります。

 

【上の話の要点】

さて、話は現代に戻り、上の話を客観的に見てみます。

(僕の方法になるので)どうしても我流になるのですが、上の話のポイントは4つあります。

1、人という不確定要素が含まれていない

思えば「助けて」など言わなかったですね。幼馴染でもいたらよかったのですが、と冗談を書いていますが、もし幼馴染があのふわふわしてた時期に励ましの言葉を投げかけたもんなら多分、僕は幼馴染に依存する感じになっていたと思います。加えて手に取ったのが『誕生日大全』だったから良かったものの、たまたま悪い占い師とかに捕まってたら今頃壺を買っていたかもしれません。

2、行動は特殊な条件ではない

発動条件は書店に行って本を開くだけです。例えば僕の救いとなった「行為」がなにか「特別な場所」だとしたら、そこにゆくため時間やら金が必要になりますよね。条件を「なにか選ばれないといけない」だとしたら、行為が成功するかもしれないし失敗するかもしれないリスクを抱えます。僕の場合そうではなく本屋行けばいいのですから(書店ならだいたい『誕生日大全』がありました)よかったです。

3、健全な行動であった

意外と盲点かもしれません。独りでできて、心の拠り所……って条件だけだとリストカットや薬物大量摂取だって含まれます。そういうメンヘラ的なものに限らず、「それ警察行きだぞ」みたいな行動も考えられますよね。当時の僕にはそれらをしないぐらいの良心は持っていたようです。

4、落ち込んでないときに見つけた

これも大事です。何気なく入った書店で、何気なく占いの本を見つけたというところが大事です。個人的に「『誕生日大全』で救ってもらおう」なんて気合い入れて本を開いてませんからね。何気なく開いたんですよこれ。本当に幸運ですよね。

ここまで書けばわかると思いますが、僕が持っている大切なシェルターの一つが『誕生日大全』になります。

 

【シェルターの基本的な情報】

個人的な考えなのですが、シェルターには2つの段階があることに気が付きました。

1、シェルターを「A.探す」「B.補強する」段階
2、シェルターに「C.守られる」段階

1を僕の話に置き換えると「A.書店で『誕生日大全』を見つける」「B.それを何度も読む」、2は「C.無意識で本を開いていた」がそれにあたりますね。

あとこれも個人的な考えで、シェルターを見つけるときの条件があると考えています。

・それほど落ち込んでない時(大荒れではない時)に探す
・1人ですべて完結できる行動である
・健全である

ざっと考えてこの3つでしたが、他にもっとあるかもしれないし、見落としているかもしれません。逆に少なくなることだってあるかもしれません。この3つはあくまで基準程度に考えてください。僕だってこれら頭にあるとはいえ、ルール厳密にシェルター探してませんし。

 

【シェルターを探してみよう】

そろそろシェルターについてわかってきたと思いますので、ガイドブック的に(個人的な)コツなど書いていこうと思います。

まず見つけるところから。
シェルターを見つけるコツとしては「はじめからシェルターを見つけようとしない」ことでしょう。無駄に力まず、たとえば「これがあれば生活良くなりそうだ」とか「あの本、前から気になってたんだ」とか「あれやってみようかな」とか、そういう何気ない行動を何気なく行ってくといいと思います。その先にシェルターがあると僕はそう考えてます。

つまり「小さな行動をしてみよう」というわけなのですが、この行動がきっかけでやらかしたり失敗することもあります。その時はその時として(落ち込んでなかったら)また別のことをすればいいし、それで落ち込んだのならすでにあるシェルターに潜り込むのもありだと思います。

個人的な話で、上に書いた「1人で完結する」という条件がここで効いてくるんですよね。たとえば新しい行動を周りに言ってしまった場合、あるいは人を巻き込んで新しい行動に移った場合、人を抱えると燃える人ならいいのですがそうではない僕みたいな人間は逆にプレッシャーになるんですよ。だから「1人こっそりして、1人失敗する」というのが性に合ってます。1人なので失敗しても基本誰にも迷惑かかりませんからね。それが気楽だったりします。

それでも「なにをすればいいのかわからない!」って人がいると思いますから、ひとつ僕もしているある方法を紹介します。

それは「尊敬している人の言っていることをする」です。

インターネットサーフィンやらTwitterなんかやっていると「尊敬できる人」が出てくると思います。その人はおそらく賢くて、なにか秀でている人でしょう。そんな方はおそらく、おそらくほぼ確実に多かれ少なかれなにか「紹介」していると思います。たとえば「この本おもしろかったよ」とか「この映画面白かったよ」とか、もっといえば「朝走るといいよ」など、日常的なコメントの中に「あれは良かった……」的なことを紹介しているはずです。

僕らはそれを「なんかおもしろそうだな」と(盲信して)するんです。まぁ実際に紹介されたものが思うようではなかったり、そもそもステマだったりするわけですが、それでもなにか動けたということは変わりありません。それを繰り返していると、そのうちシェルターが見つかるかもしれません。

ここでのコツは「尊敬している人はあまり多く持たない」ことでしょうか。あんまりありすぎると把握できないですからね。
それに「Aさんを尊敬していたけどもういいや、Bさんにしよう」、でもいいです。適当に選んでください。

なんというか、個人的な見解として、これら小さな行動に気合を入れすぎないことが大切だと思います。だらっとゆるくやりましょう。

あとシェルターはたくさんあればあるほどいいです。
鬱にもいろいろあるように、シェルターも色んな種類があれば、あるシェルターがだめになったときでも次のシェルターに乗り換えなんてこともできますからね。

あとこれも個人的な考えですが、シェルターそのものを壊してくる人がいる場所にいるなら離れたほうが良いです。上の僕の話で例えるなら『誕生日大全』を持っていたとして「こんなもの全然役に立つわけないだろ。無駄無駄」みたいな事を日々言ってきたりとか、本そのものを汚してきたりとか、そういったものです。いじめやなんとかハラスメントの類ですね。

 

【シェルターを補強してみよう】

次に補強です。補強とはその行動を継続するということです。

「継続」と聞くと難しいかもしれませんが、「継続」というより「同じこと繰り返す」が近い表現になるでしょう。
読書で例えるなら気に入った「フレーズを何度も読み返す」みたいな感じです。そして読み返すごとに「あぁこれは僕が(私が)求めている文章だ……」みたいな気持ちの良さ(気持ちの動き)を注意深く噛みしめるよう確かめるといいと思います。それを繰り返すことでシェルターは強くなります。

良かったアニメのシーンを繰り返して見たり、「『なんとなく掃除をする』習慣がシェルターなら、『いい掃除用具を買う』」も補強になります。

うーん、うまい表現が見つかりませんね……こう「武器を見つける」のがシェルターの発見だとしたら、補強は「武器レベルを上げること」みたいなことです。それそのものの道具のレベルを上げるような感じです。

あるいはシェルターに守られている時(鬱で大荒れになっている時)を考えるといいかもしれません。シェルターとは「それをしていたら大丈夫なはずだ」と思える行動です。

鬱の時「自分で自分を非難する」その行為が大敵になります。(僕はこれを「暴風雨に耳を傾けている」イメージをしてます)、それから意識をそらすのがシェルター作りとしての一番の目的ですからね。想像してみてください。台風がやってきたときに、ボロい家だといつ壊れるのか心配で心配な一方で、頑丈な家なら「そのうち晴れるだろ」と(台風は恐ろしいですが)ある種の安心感(まぁ楽観視し過ぎは良くないですけど)できますよね。あれですよ。

落ち込んだらなにもできないわけですから、そのときできることは限られています。でもそれは「台風の時、家にこもって怖がりながらも静かに待っている」という程度の制限で、別に台風の暴風雨の音ばかり考えなくても、家の中で好きなことしてればいいわけですよ(もちろんシェルターが壊れてしまうことも考慮しなくてはなりませんが)。

寝てなんとかするのもありだし、ヘッドホンでお気に入りの音楽がんがん聞いてもいいし、一心不乱に絵を描いてもいいし、占いの本を読んでいてもいいんです。それはシェルター(その行動をしていると安心だという感情)が強く信頼しているからできるんです。

 

【強固なシェルターになると】

ある程度、強固なシェルターを作るとみんなにおすすめする様子がちらほら見えます。本人からしてみれば悪気なく「みんなもこのシェルター作ってみろよ! 最高だぜ!」と善意で紹介してくれていて、ありがたいことに教えてもらおうとしたら快く教えてくれる優しい人もいます。

この強固なシェルター、有名な例だと「筋トレ」がありますね。

なにかと話題の筋トレに関して僕が思うのは、とてもいい方法だな。ということです。筋トレは上に書いてある条件をすべて満たし、こなすと達成感があり、やろうと思えばどこでもでき、体力向上による行動力の上昇、というとても良いサイクルを生み出してくれる行動でしょう。そしてそのサイクルによってもたらされる良い変化とは「自信」という、どう考えても素晴らしいシェルターだと思います。いや本当に。

同じように語られている瞑想や野菜たくさん食べるのも個人的いいシェルターになると思います。
ただ瞑想はいいですが野菜をたくさん食べるとなると、特殊な条件(どうしても野菜買うお金がいる)があって、全員にはおすすめできません。まぁでも効果はあるだろうなとは思います。憂鬱な人の落ち込み原因は食べ物だった! ってこともありそうですし。

さて、どちらも賞賛する一方で「それをするかどうかの選択肢はこちらにある」ということを忘れないようにしましょう。

大事なことです。盲信して行動したものならとんでもないことになりますよね。
彼らはそもそも土台が強いんですよ。いい地位にいたり、いい仕事をしていたり、支えてくれる人がいたり、誇れる実績があったり、そもそも規則正しい生活をしていたり……そんな数え切れない要素を持って、あのシェルターを作っていますからね。そんな土台があるからこそ、シェルターも強固に作れるわけですよ。

彼らが言っている「これさえやれば鬱にならない」というのは、それが「(彼にとっての)鬱の特効薬」であって、万人に効くとは限らないんですよ。だから筋トレしようが鬱に効くかもしれないし、効かないかもしれません。これはわかりません。

少なくとも(筋トレしている当の本人は)そのシェルターに大きな信頼を持っているといえます。それはすごいことですし、賞賛するべきことですし、大切な一例として沢山の人に認知されるべきだと思います。シェルターの見本になりますからね。ただ、僕らのレベルにまで落とすと、ストイックに筋トレを続けろと言われても難しい話です。

僕が言いたいのは落ち込みがちな人が(ひどい憧れを持ち)「あれやれば鬱にならない!(確信)」と思わないように、ってことです。ああいうことに憧れを持つのはいいことですが、始めからああいうむちゃくちゃ本格的なシェルターを作り補強するんじゃなくて、自分に合ったシェルターを作るなり補強するなりした方がいいです。

もちろん、筋トレ瞑想野菜摂取のシェルターを試し作ってみるのはいいと思います。シェルター制作に関しては、各自が自由に取り入れてみて自由に取り外してください。

 

【おわりに】

最後に特に大切なことを書いておきます。それは「シェルターが完全に安全なものだと思わないように」することです。

この世の中にはふと唐突におそろしい脅威などが目の間に襲い掛かってくることがあります。
それはもう容赦なく、偶発的に、いくら無敵だと思ったシェルターも簡単にあっけなく流され吹き飛ばされ壊されることが普通に起こります。異常気象やら様々な要点があっても、結局は運が悪く生み出された出来事にすべて壊されてしまうことがあるんですよ。

もうこれは僕ですら想像できない脅威で、実際その脅威が目の前に来た時はだれがいくら対策していようが無事でいられるかはわかりません。いろいろ準備をしていたのになにもできないすらありえます。

そんないつ壊されるかわからないシェルターを作り補強することは無駄かもしれません。けれど、それでも僕はシェルターを作ることが大事だと思います。

その過程こそ、一種の自立であり自活だと思ってますからね。

以上です。


【投稿者】
くもの さん

【プロフィール】
自閉症スペクトラムのひきこもり
Twitter
ほしいものリスト


【募集】
メンヘラ.jpでは、体験談・エッセイなどの読者投稿を募集しています。
応募はこちらから


The following two tabs change content below.
読者投稿コーナーに応募してくださったみなさんです!

2 件のコメント

  1. くま 返信

    「自分は悩むに値しない人間」…なんか心に響きました。その考え方はなかったです。人間なら誰しも悩んで当たり前だと思ってました。

    「シェルターを壊してくる人からは離れよう」とありますが、それが自分自身の場合どうすればいいですか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)