働く人のメンタルヘルスの未来 血液検査でうつ病をチェックできる未来が来る!?


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いま、働く人のメンタルヘルスが注目を浴びている。きっかけとなったのはもちろん、電通の元社員である高橋まつり氏の自殺である。

働く人のメンタルヘルスを語る上で、厚生労働省による「ストレスチェック制度」を無視することはできない。2015年12月に施行されたこの法律は「労働安全衛生法」の改正によるものであり、労働者が50人以上いる事業所では、毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施することを義務づけた。この法律の施行を契機に、外注・自前を問わず職場内のメンタルヘルスに取り組む企業が増えたことは、ビジネスパーソンの健康にとって大きな前進であることは間違いないであろう。

その一方、ストレスチェックが主に自己申告によるものであることによる制約は未だ超えられていない。勤勉でまじめな人ほどチェックをすり抜けようと実際以上に健康にみえる回答をし、「新型うつ」と揶揄されるタイプの人が自分の症状をより悪くみせるような回答をしがちであるという点は、今後の課題として残っている。

しかし、この課題をクリアする方法が近い将来、実用化される見込みとなっているらしい。

「血液検査によるうつ病のチェック」である。

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社は、独立行政法人国立精神・神経医療研究センターおよび医療法人社団行基会 理事長 川村則行医師との共同研究により、大うつ病性障害(以下、「うつ病」)の血液バイオマーカー(リン酸エタノールアミン/PEA)を発見した。PEAは、健康者に比べてうつ病患者で低値を示すことが臨床研究結果から示されており、うつ病血液検査に応用可能なバイオマーカーになりうると考えられている。同社は、平成30年3月期からの試薬キット販売開始を目標としているという。

これが実現されたらどういうことになるのかを端的に言うと、「血液検査でうつ病かどうかがわかるようになる」のである。

うつ病の客観的な鑑別方法としては他に、「光トポグラフィー検査」がすでに実施されている。脳の血流量の変化を測定することでうつ病と健常者とを鑑別するこの検査は、2009年より厚生労働省により先進医療と認定され、2014年には保険適用となっている。それにもかかわらず、受検できる医療機関が限られていることや、わざわざ精神科・心療内科に赴き受検しなければならない不便さから、働く人のメンタルヘルスにさほど貢献しているとは言い難い状況にある。

だが、もしも血液検査がうつ病の客観的な鑑別基準となり得るのなら、企業においては年に一度の健康診断の際に実施している血液検査項目に追加するだけで、従業員のうつ病をチェックすることが出来るようになるかもしれない。その利便性は計り知れないであろう。

うつの客観的な指標の誕生は、数十時間も残業をするという過酷な働き方を強いられている人にとっては朗報となる。うつ病であることが数値として示されれば、いくら電通の管理者たちといえども、無視することは出来なくなるだろう。それだけで、「過労の末にうつ病に罹患し自殺」といった不幸は避けられるようになる。

うつ病の客観的な指標が登場することで、国民のメンタルヘルス向上に大きく寄与することが期待される。なにより、いまも必死で働き、過労で死にそうなほど追い詰められている第二、第三の高橋まつり氏のために。


【投稿者】
伊藤秀成 さん

【プロフィール】
臨床心理士×個人投資家

1980年生まれ、東京在住。岬美由紀に憧れ、臨床心理士を志す。東京都立大学人文学部を卒業した後、聖徳大学大学院臨床心理学研究科修了(修士)。医療法人社団真貴志会南青山アンティーク通りクリニック、医療法人高仁会戸田病院など精神科でカウンセリング・心理検査などに従事する傍ら、医療系専門学校にて心理学の講師を務める。2012年~2016年にかけて公的機関の「ひきこもり対策訪問専門員」として仕事をする。知人の勧めで株をメインとした投資を開始し、投資歴は10年超。2017年現在、1日あたり1万円の不労所得を継続中。著書に『ひきこもり・ニートが幸せになるたった一つの方法』、『ドクター、「うつ」のホントの話、しちゃってもいいですか!?』など。趣味はマンガ。

ブログ「TOKYOひきこもりカウンセラー」更新中。


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