自閉症スペクトラムの僕が『カタン』を通じてコミュニケーションを学んだ話




個人的な話ですが最近『カタン』というボードゲームを買いました。

理由はこの先ある親戚の集まりのためでもありますが、一番に個人的にやりたいと思ったからです。以前友達の家でボードゲーム(『ニムト』や『アグリコラ』など)に触れて「いつかやってみたいなぁ」と思っていたからでもありますね。

まぁ僕の話は置いておいて。
そのボードゲームをやったところ、とてもおもしろくて、皆さんにおすすめしようとこの記事を書いています。

■『カタン』というボードゲームについて

僕は知らなかったのですが、このカタンというボードゲームはググってもわかるように世界的に見ると「人生ゲーム」の次に有名なゲームだそうです。ボードゲームを始めて初めて触れたのがこのカタンって方も多いようで、これのせいでボードゲームの虜になった方もちらほらいらっしゃるようです。それほどまでにおもしろいとか。おもしろかったです(個人の感想です)。

ここでカタンのルールをざっくりと説明しますね。

無人島に到着したプレイヤー4人が島を開拓します。同時に開拓を始めて、最初に開拓ポイント10点に到着したプレイヤーが(島を制圧したということで)勝利となります。ポイントは開拓したり、道を長くしたり、騎士を集めたり、都市を作ったり、カードで加算されたり、など色々手段がありますが、それは各自ルールブックを見てください。

そんな感じで、4人で(3~2人でもプレイできます)競い合いながら勝利を目指すわけですよ。

このカタンの特徴であり、大きな魅力の一つに「交渉」があります。

街道を作るにしても、開拓地を作るにしても資材が必要なんですが、ほぼ必ず資材は偏るようなゲームバランスになっています。よって必然的に「レンガが多い」「小麦が多い」とそれぞれのプレイヤーは頭を抱えることになるんですよ。
そこでこの「交渉」を使うと、プレイヤー同士で「レンガと麦を交換しない?」という会話が生まれるわけです。これは場面さえ守っていれば誰もが自由に行ってもよく、もちろん拒否だってできます。

交換も1:1交換と決まってなく、2:1交換になったり3:1になったりします。これがいい感じの会話になって、かなり盛り上がるんですよね。

■勝利を求め交渉をするということ

ここで少し視点を離します。この交渉、自閉症スペクトラムに(僕が自閉症スペクトラムだから自閉症スペクトラムと書いてあるだけで、他の発達障害にも効果があると思いますが、ちょっと断言できないためこう書いています)いい影響があると思うんですよ。

よく自閉症スペクトラムは人に頼むのが苦手だと聞きます。その理由を考えると自閉症スペクトラムは「頼み」ができるほど「口がうまくない」「愛想がよくない」などいろいろ理由が頭に浮かびますが、結局のところ対人のコミュニケーションの障害を持つため「頼み」が苦手なのだと個人的に捉えています。
ただこの「頼み」の本質、実は「交渉」なのではないかと僕は思うんですよね。

相手のほしいものを考えながら、こちらが必要な条件を伝える……あの「お願い事してる時の空気」が苦手で言葉が詰まるとしても、「交渉」と考えてみれば言葉がすらすら出てくるイメージが湧きませんか(僕は湧きます)。

ただお願いしているとき特有の「なあなあ」がない交渉とは難しいものです。まず「自分のほしいものを明確にする」次に「相手のほしいものを考える」そして「相手に提案をする(しかも相手に利益があるように)」で、「成功する」あるいは「失敗する」こともある。そしてそれは「思い通りにならない」。しかも「自分が利益になる一手」でないとならない。

そんないろいろな事を考え、ちゃんと口に出さなければいけませんから。

「頼み」の話題からずいぶん離れてしまいましたが、「頼みとは交渉ではないか」と僕は考えた上で「交渉」をよくするカタンでは結果的に「頼みをするいい練習になるのではないか」と思ったわけです。

■いい教材として

交渉を始めとして、ボードゲームで自分が優位になろうとすると(沈黙したほうが有利になる場合もありますが)だいたい自分から発言しなくてはなりません。それが話を切り出すいい練習になると思います。加えて書くなら、自閉症スペクトラムからしてみれば「発言すること」すらもいい練習になると思います。

一方で発言された場合、なにか提案を受けた場合には「どうするか」を判断しなくてはなりません。判断力もここで練習できますし、なにより断ったいい場合には「断る」ことの練習になると思います。断ることも大事ですからね。

あとボードゲームは顔に出してはならないよう(有利だと悟られてはならないように)立ち回らなくてはなりません。それはつまり「生真面目な正直さは不利」ってことです。自閉症スペクトラムは基本正直なので、「◯◯何枚持ってる?」と聞いたら正直に答えてくれるかもしれません。けれどもそれでは不利になるし、なにごともバカ正直に喋ってると「騙されることもあるよ?」という前例を実践で学ぶこともできるかも、しれませんね。

ボードゲームこそ大人から見ればお遊びみたいなものですが、やってみるといろいろ(子供は特に)学ぶものが多く、あの桃鉄で地理を覚えたり、信長の野望で歴史を知ったり……など、そうった「遊んでいるうちに覚えてしまった」的なものがボードゲームあると個人的に思います。

じゃなにが学べるのか、と言われたら具体的に「これ!」と挙げれないのですが……、僕の感覚的にいうとテレビゲームよりかは「現実寄り」なものが学べると思うんですよ。

なにが言いたいのかというと、このボードゲームというものを「一種の教材」として利用できるのではないかと思うわけです。

■ツールとしてボードゲームと選択する恩恵

教材として使えるとは書いてありますが、「教材としてボードゲームをしよう!」と言っているわけではありません。そんな堅苦しいボードゲームなんて、楽しいものも楽しくなくなってしまいますからね。基本は楽しむことが一番です。

仮に教材として考えなくとも、そもそも「交流するツール」としてボードゲームを考えてみるのは十分にありだと思います。僕も実際にボードゲームをやっていて「自閉症スペクトラムとボードゲームは相性いいのでは?」とよく思うんですよ。だから、例えば普段は喋らないで一人でいる子とかそういった人たち、あるいはその孤独な本人が交流する手立て(本人が対人と交流を望んでいているとして、けれどもなにからすれば良いのかわからないときなど)のボードゲームこそ最高のツールになるのではと個人的に考えたりしています(「個人的に」ですからね、何事にも相性があります)。

そもそも自閉症スペクトラムがコミュニケーションが苦手だという理由は、「相手がなに考えているのかわからないから」という理由が大きいと思います(個人的にはそうです)。

ただボードゲームは基本、誰であろうと「勝ちたい」という意思で動いています。これはゲームだからで、ゲームだからこそと言えるわけなのですが、そのシンプルな前提というのが(少なくとも僕にとって)とてもありがたいんです。

よくよく考えてみると、ボードゲームのいいところは日常にある雑談特有の不完全さ、不透明ある自由度がないところにあります。

みんな「勝ちたい」と思って「勝つために」いろいろ交渉や嘘やハッタリをかましてきます。それがわかりやすくていいんですよ。その先に複雑な感情が何もないわけですから(あるいはある場合もありますが)、無駄なあれこれを考えないでゲームに集中できるわけです。そしてこちら側も「勝ちたい!」をシンプルにぶつければいいところもわかりやすい。

加えて「基本ルールさえ守ってればいい」ってところもいいですよね。自分はルールを守っていればいいし、相手が間違えてたら気軽に指摘ができます。そこに嫌らしさもなければ、足を引っ張ることもありません。たまにルールで揉めたりすることもあるかもしれませんが、有名なボードゲームはルールが決まっているので、話し合いながらそれを守っていけばいいと思います。

逆に言えば「ルールさえ守っていれば」勝つために様々な戦略が練られますよね。それはえげつない戦法でもよく(さすがに、度を超えた初心者狩りや、過度な煽り、感情的にプレイヤーを襲うなどはダメだと思いますけど)、そういう環境が自閉症スペクトラムにとっておもしろい環境となり、結果としてプレイヤーの表現を豊かにしてくれるかと思います。

■おわりに

最後に注意しておきますが、もしボードゲームをするなら周りプレイヤーのレベルに合わせたボードゲームを選択してください。(幼い子に対して)ルールが複雑すぎとか、(計算が苦手な子に対して)計算ができないと不利、(反応が早いほど強いゲームで)反応が遅いため不利、などそういったゲームを選択してしまうとコミニケーションを取ろうと思っていた相手を失望させかねません。

反射神経を重きにおいたゲーム、心理戦や読みに重きをおいたゲーム、嘘やハッタリをうまく付くことに重きに置いたゲーム……人数分も柔軟に対応します。2人用、3人用、4人用……中にはプレイヤー同士で協力するボードゲームだってあります(やったことないですが『パンデミック』など)。

これら僕は詳しくないので紹介できませんが、他のサイトを見ればたくさん載っているので気になる方は各自調べてください。

ルールを学ぶことでどんどん強くなるという「成長感」、ルールさえわかれば真剣に勝負できる「勝負のドキドキ」、そういったものはとても楽しいものです。
仮に勝てなくても、無駄だと思っていた能力 が活きるのもゲームの醍醐味だったりします。日常で役に立たないけど、ゲームでは役に立ったみたいな満足気な感情も大事だと思います。勝敗をではないこうった小さなところに、自己肯定感やら自信やら育つヒントがあると僕は思うんですよ。

まぁでもゲームである以上、そんな満足気な気持ちより勝つ方が自信がつくとは思いますけど。

以上です。


【投稿者】
くもの さん

【プロフィール】
自閉症スペクトラムのひきこもり
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