メンヘラと関係性の貧困について。私たちはなぜ社会から孤立するのか

コラム kato.hk

メンタル病んで休職して5ヶ月、日々社会から孤立していくことを肌で感じているkatoです。

アパートに9人分の頭部 死体遺棄容疑で男逮捕 神奈川

座間市の連続殺人事件に衝撃を受けました。
事件の凄惨さもそうですが、何より「SNSで」「メンヘラ」が狙われたことに。

社会で孤立しSNSで発信していたメンヘラが、悪意を持った人に狙われる。
どこか他人事じゃないような気がしました。

私の現状を述べると、まずお金がほとんど入ってこない(傷病手当金のみ)。そして訳あって親とも職場とも距離をとっているため普段関わる人がいない。また田舎なので、知り合いや会社の人に知られるリスクが非常に高く外出できない。身近にメンタルや発達障害に理解がある友達もいない。

つまり日中お金のかからないネットを見るくらいしかやることがなく、誰とも会わないというのが現状です。冗談ではなく今死んだり失踪したりしても誰も気づきません。かなりやばいと思います。

このような孤立は私だけの問題だけではなく、メンタルヘルスに問題を抱えた人間全てに当てはまる問題なのではないかと思います。誰もがメンタルヘルスに問題を抱えるリスクがあることを考えれば日本人全員に当てはまる問題とも言えるでしょう。

そこで今回は「メンヘラの関係性の貧困について」色々書かせてもらおうと思います。

文章が長くなると思いますので、ポイントだけ先に書いておきます。

・人間関係が無いことは「助けてくれる人がいない」「生きて行く上で必要な情報が入ってこない」「悪意を持った人との繋がるリスクが高い」という3点で問題。

・メンヘラは人や社会とつながりにくく、そして関係性が壊れやすい。

・生き残るために制度、医療、当事者会など、自分を助けてくれる人との関係性を増やそう

 

■関係性の貧困の何が問題か。


関係性の貧困、つまり「人間関係が無い」こと何が問題なのか。

人間関係が無いことの生きづらさは何となくイメージできる方も多いと思いますが、代表的なものを整理してみましょう。

 

1助けてくれる人がいない


健康な人は人との繋がりの中でお互いに助け合いながら生きています。

風邪引いたときにお見舞いに来てもらったりとか、困ったときに悩み事を相談したりとか、お金やものを貸してもらったりとか。多かれ少なかれ多くの人は他人に助けてもらいながら生きていると思います。

しかし、人間関係が無いと困ったときに頼る人がいなくなります。風邪引いたり病気になったときも、重大な悩み事があるときも、全部1人で考えて処理しないといけません。しんどいことが人よりも多いメンヘラにとってはかなりきついことではないかと思います。

 

2生きていくための情報が入ってこない


人間関係があると情報がたくさん入ってきます。「〜という会社が求人を出しているらしい」「〜という会社はホワイトだ(ブラックだ)」という仕事の情報だったり、「うつ病にはこれがいいらしい」という病気に関しての情報だったり。後述する支援施設や制度の情報もそうですね。

今の世の中インターネットがあるので検索したら何でも出て来そうな気がしますが、本当に役に立つ情報というのは人伝に入ってくることも多いです。精神障害や発達障害の治療、生活は、いかに良質な情報を手に入れられるかという情報戦でもあり、人間関係が無いことは情報が手に入りにくいことでもあります。そしてそれは生きづらさに直結します。

 

3悪意を持った人との繋がるリスクが高い


現実で人間関係が無い人でも、インターネット、SNSを使えば人間関係を築けるかもしれません。しかし冒頭の座間市の事件のように、SNSが犯罪の温床になっていることも事実です。

現実の人間関係が無い人はSNSなどに縋りがちだったり、他に頼れる人がいなかったりで、どうしても犯罪や悪意を持った人と繋がるリスクが高くなります。JKビジネスや売春、風俗がいい例で、あの業界には危ない人も多いのですがどうして働き手がいるのかと言うと「他に頼れる人がいないから」だったりするそうです。そこにしか人間関係がないんです。

またこれは私の経験なのですが「苦しくて仕方がない!助けて!」っていうときに手を差し伸べてくれる人、結構な確率でやばい人が混じっています。気をつけてください。

 

他にも「職に就くためのスキルや人間関係のスキル習得の機会がない」「自己肯定感が育めない」「自殺のリスクが高まる」など関係性の貧困がもたらす悪影響は調べる限りとても多いです。

また人間関係自体はあっても、そこまで深い関係ではなかったり、相手のことが信頼できないなどの理由で助けを求めることができないという場合もあるでしょう。これも1つの関係性の貧困と言えると思います。

このように関係性の貧困は我々に多くの生きづらさをもたらします。

 

■メンヘラの人間関係が貧困化しやすい理由


私が今実感しているように、メンヘラは非常に人間関係が貧困化しやすいと思います。そもそも会える人が少ないし、会う機会もほぼない。社会から孤立しやすい存在であると言えます。

どうしてそうなるのか?
自分の経験や本、ネットで得た知識を元に以下の6つの要素があるのではないかと考えました。

 

1人間関係を構築するのが苦手


そもそも人間関係を構築することが苦手な人が多いんじゃないかと思います。もともと内向的だったりとか、発達障害持っていたりとか、不安障害抱えてたりとか。

また過去に人間関係の失敗があって、人との関わりに苦手意識を持っていたり、人を信頼するのが怖い人も多いのではないでしょうか。故に悩みを相談できる人がいなかったり、情報を流してくれる人が少なくなったりするのではと思います。

 

2メンヘラの理解が進んでいないために、人と関わることに抵抗が生まれる


精神障害や発達障害、名前こそは知られるようになりましたが、世間の理解が進んでいるかと言うとまだまだだと思います。

偏見の目で見られることも多いし、残念だけど「メンヘラとどう関わっていいかわからないし、できれば関わりたくない」という人が大半だと思います。このような現状の中で人と関わりずらかったり、メンタルの問題を抱えていることを打ち明けたりすることに抵抗がある人も多いと思います。結果として頼れる人がいなかったり、人間関係を築きにくくなったりするのではないでしょうか。

 

3悩みが重すぎて相談できない


友人がいても、抱える悩みが重すぎて誰にも話せないことは多いのではないかと思います。

普通の人の悩み事って「テストどうだったー」とか「職場の上司がうざい」とか人に言えるものが多いと思うんですね。しかし私やメンヘラが抱える悩みって「死にたい」「親から虐待されてて逃げてる」「友達がいなくて人生がつらい」「彼氏や父親から体の関係を強要されている」とかで、普通の人よりも圧倒的に重く、言いにくいものが多いです。

実際悩みを相談して「重すぎる、やめろ」と言われたことあります。

なんでも話してくれ!って言ったくせに。

こんな感じで人に悩みを相談できなかったり、逆に悩みを相談して後悔したりする人かなりいるんじゃないかなと思います。そうこうしているうちに気まずくなって、相手と距離ができて関係が切れてしまったりすることもあるんじゃないかなと。

 

4対人トラブルが多く、関係が壊れやすい


例えば悩みを聞いてくれる友人がいたとしても、つい毒を吐きすぎてしまったり、当たってしまったりしたことはありませんか?私は何回もあります。そして距離を取られたことも。

重い悩みやその苦しさを身近な人にぶつけてしまったり、SNSに色々書いてしまったり、メンタルが荒れた勢いでやらかしてしまうなどして、結果距離を取られ、頼れる人がどんどんいなくなっていく人結構いるんじゃないでしょうか。(私はそうです。身近な友人はもうまともにメンタルの悩みを聞いてくれません)メンヘラはその苦しさのあまり、対人トラブルが多くなるリスクを抱えているのではないかと感じます。

人との関係が壊れ、さらにその経験がきっかけで人と関わるのが怖くなってしまう。結果人間関係がどんどん薄くなっていき、どんどん苦しくなっていく。そんなスパイラルに落ちていく人は私だけではないと思います。

 

5仕事に就けない


精神障害者の厳しい就職事情 民間企業に就職できるのはわずか1.7%

こちらの記事に書いてあるように、精神障害者は就労に困難を抱えている存在です。
日本人は普段の生活の多くを、家族と職場の人間関係の中で生きています。つまり就職できないということは、人間関係を構築する機会を失うということでもあります。

また就職できずお金を稼げないので、友達と遊んだりご飯食べに行ったりするお金も少なくなります。結果友達と会う機会が少なくなり、人間関係を構築しにくくなるのではないかと思います。

このように就職が難しいということは、そのまま人間関係を構築する機会が失われることを意味します。

(細かいことですが、実際の就労率は1.7%よりも高いと思います。
こちらの1.7%という数字は『障害者手帳を持ち、障害者雇用されている精神障害者の数/障害者手帳持っている、持っていない関係なく、20〜64歳の人の精神障害と診断を受けた人の数=1.7%』という計算方法で算出されており、障害者手帳を持たずに働いている精神障害者の存在が抜け落ちているためです。会社に病気を隠して働く人もいるので把握できないのは仕方ないのですが。
何れにせよ、メンヘラが仕事に就きにくいことには変わりないです。)

 

6家族に頼れない。


日本人の多くが持っていて、そして最後には助けてくれると期待されているものが「家族」です。「最悪実家に帰ればいいや」って感じで健康な人の最後の砦にもなっていると思います。

しかしその家族こそが、メンヘラになる原因であった人も少なくありません。虐待の被害者や機能不全家族で育った人がそうです。このような人は家族に頼ることができません。また家族にメンヘラ、発達障害や精神障害に理解や知識がなく、頼ることができないという人もいるのではないでしょうか。

最も身近な関係である家族に頼れず、助けてもらえないというのは、メンヘラが抱える重大な関係性の貧困だと言えます。本当に生きづらいと感じています。

余談ですが日本社会というのは、「国で必要最低限の福祉をやって、他に必要なことは会社と家族に支えてもらう」というシステムで設計されています。

つまり仕事に就けなく、家族との関係が切れてしまっている人に対する支援が非常に薄く、生きづらいのです。結果ホームレスになってしまったり、違法な風俗や売春、犯罪といった危ない業界に頼るしかない、そのような現状もあります。

メンヘラはここに陥る可能性が十分にあり、これは非常に重大な社会問題だと考えています。

なお、家族に頼れる人はフル活用しましょう。頼りまくりましょう。

 

私の考えうる限りでは、以上のような要因があるのではないかと思います。

こうして整理してみると、「病んだ結果孤立してゆき、誰にも助けを求めることができず、何とかSNSで発信してみたものの、手を差し伸べてくれた人が風俗のスカウトや座間市の殺人犯のようなやばい人だった」というストーリーがなんとなく想像できるのではないでしょうか。

その意味でやはり座間市の殺人事件とメンヘラは関係が深いし、メンヘラ特有の関係性の貧困は非常に大きな問題であると言えます。

 

■今を生き延びるために 自分を助けてくれる人との関係性を増やそう。


メンヘラの人間関係が貧困化しやすく、生きづらい現状がなんとなくわかったでしょうか。ではメンヘラはどうすればいいのか。

これに対する私の答えは「制度、医療、当事者会など、自分を助けてくれる人との関係性を増やそう」です。世の中にはメンヘラを支える仕組みがたくさんあります。知っておくだけでも全く違うと思うのでいくつか紹介します。

 

○社会保障


例えば自分を助けてくれるものとして、国の制度があります。

生活が苦しくなった時にもらえる生活保護や、医療費が格段に安くなる自立支援医療制度、休職者や退職者を金銭的に援助してくれる傷病手当金、精神や身体の障害がある人が受け取れる障害年金など、メンヘラが受けることができるサービスは多いです。

メンヘラは金銭的にも貧困になりやすいと思うので、使えるなら絶対に使って欲しい制度です。現に私も障害者手帳と、自立支援医療制度と傷病手当金に助けてもらいながら何とか生きています。役所に行くと何かしら助けてもらえます。

具体的にどんなものか?という疑問にはこちらの記事が参考になるのではないかと思います。

・金のないメンヘラ注目!「自立支援医療制度」で医療費抑えてみませんか?

・メンタルが辛くてしばらく働きたくないあなたへ送る、「傷病手当金」のもらい方の話

・障害年金の申請マニュアル 申請要件・必要書類・受給資格など

 

○医療


病気の治療のために、適切な医療機関と繋がるのはとても大事なことです。病院には行きましょう。病院と繋がっておくのはメンヘラが生きる上で大切です。

また「どこの病院行けばいいかわからない」「病院行ってるけど良くならなくて、別の人の意見も欲しい」という場合は、ネットを使って専門家に相談してみるのはどうでしょう。LINEで気軽に臨床心理士に相談できる「Reme」やオンラインでどこからでもカウンセリングが受けられる「cotree」というサービスもあります。

この2つを使って自分の現状について相談したり、医療機関を紹介してもらうのもいいと思います。私の生活はこの2つに出会ったことから好転し始めたのでオススメです。

 

○就労支援


働きたくなったり、働く上で辛いことがあるのなら、障害者職業センターや就労移行支援施設に相談してみるのは如何でしょうか。

「障害者職業センター」ではどのような配慮や環境があればうまく働けるかを一緒に考えてくれたり、企業との間に入って環境を調整してくれたりします。休職からの復職の支援もしてくれる。また身近な相談機関なども紹介してもらえるので、とりあえず電話してみたらいいと思います。

就労移行支援施設は使ったことがないので何も言えませんが、こちらの記事が参考になるかと思います。

・就労移行支援事業所に通ってみた

・「就労移行支援」って何?ありそうでなかった就労移行支援についての簡単なまとめ

 

○当事者会


同じような悩みを語れる人が欲しい!となったら鬱や発達障害の当事者会に顔を出して見るのもいいかもしれません。「似た困難を抱えた人で集まって、愚痴りあったり支えあったりしよう」みたいなやつです。ネットを使えば当事者会の情報は集めることができるし、病院とか障害者職業センターみたいなところに当事者会のチラシが置いてあることもあります。

同じような悩みを持った人と出会うことは、心の安定につながります。親しい人には吐き出せない悩みや相談もできるかもしれないし、自分の知らない情報を手に入れることができるかもしれません。当事者会に参加するメリットはかなり大きいと思います。

 

ざっと挙げてみましたが、メンヘラが頼れて信頼できる制度、施設はたくさんあります。これらの施設を知っておいて、いざとなったら頼るのがいいでしょう。また身近に困っているメンヘラがいたらこういう施設やサービスがあるということを教えてあげてもいいと思います。

「信頼できて、自分を助けてくれる人と繋がること」

関係性が貧困化しやすいメンヘラにとって、これは非常に大事なことだと思います。大丈夫です、ちゃんと助けてくれる人は大勢います。助けてくれる制度や人と繋がれば生きづらさが軽減されるし、危ない人と繋がるリスクも低くなると思います。

ちなみに私は、上にあげた制度や施設のほとんどを利用しています。使えるものはガンガン利用しましょう。

最後になりますがメンヘラの皆様。
みんなでなんとか生き残りましょう。私もなんとか生き延びます。

 

紹介させていただいた記事・リンクまとめ


【メンヘラjp内の記事】

・精神障害者の厳しい就職事情 民間企業に就職できるのはわずか1.7%
・金のないメンヘラ注目!「自立支援医療制度」で医療費抑えてみませんか?
・メンタルが辛くてしばらく働きたくないあなたへ送る、「傷病手当金」のもらい方の話
・障害年金の申請マニュアル 申請要件・必要書類・受給資格など
・就労移行支援事業所に通ってみた
・「就労移行支援」って何?ありそうでなかった就労移行支援についての簡単なまとめ

【外部サイト】
・「Reme」(ネットやLINEから臨床心理士に相談できるサービス)
・「cotree」(オンラインでカウンセリングを受けることができるサービス)
・全国の「障害者職業センター」一覧


【執筆者】
kato.hk さん

【プロフィール】
色々ありながらもなんとか生きている会社員です。自閉症スペクトラム診断済み。

twitter : @kato_1234h


【募集】
メンヘラ.jpでは、体験談・エッセイなどの読者投稿を募集しています。
応募はこちらから

この記事のカテゴリ・タグ

コラム kato.hk
このエントリーをはてなブックマークに追加

1件のコメント

さきちゅ 返信

私も連日報道される座間の事件
とても痛ましく思います。

私も精神疾患の一人です
手帳と自立支援と障害者年金を
受給しながら生きています

まだ10代だった頃は友達には
病気であることを相談できず
SNSで出会った子達とお互いの
話をしあって頑張っていこうねって
励まし合っていました

障害者の制度については
私は精神科入院中に患者さん
から色々聞きケースワーカーや
担当医と相談して現段階まで
きてなんとか生活できています!

情報交換てとても大事だなって思いました

入院しなかったら得られなかった
情報が多かったです

そして仕事の雇用について
私は元々ヘルパーでして
福祉の仕事に就きたくて
何件も面接に行き病気で
あることも隠さず話してきました

ですが落とされることの方が
多いです。

現在は身体が大怪我をしているので
仕事はしておりません

しかしいずれは復帰したいと
思っています

精神疾患者も生きやすい
世の中がくればいいなって
思いますし、また自分の体験を
通して少しでも誰かの役に
立てたらいいなと思っています

長々とすいません

コメントを残す

会員のみコメントが可能です

新規登録する

ログインする