「東大に受かれば全て報われる」 そう信じて受験し、合格。そして入学した結果

体験談 大学受験 ミモザ

「東大に入れば人生を変えられる」「東大にさえ受かれば全て報われる」

冷静に考えればそんなわけないのですが、高校時代は大真面目に信じこみ、軽躁の勢いで合格するまではよかったものの、入学後すぐに挫折を経験して休学することになりました。死ぬか大学をやめるかの決断をただ先送りするための休学でしたが、あれから2年が経った今は生きて大学に通えています。

同じような境遇の方がいるかは分かりませんが、誰かの役に立てればうれしいなと思います。

 

中学生のときはほとんど勉強せず劣等生でした。補習にも呼ばれるし、教師や家族から成績や態度を注意され、学期末の三者面談ではいつも泣いていたことを覚えています。

高校時代に転機が訪れました。それは『偏差値29からの東大合格』という本を図書館で見つけた時でした。若干の誇張もあるものの、勉強法や筆者が東大に合格するためにやったことがイラスト付きで書かれていました。

学校の先生は「勉強しなさい」と口やかましく言うものの、勉強のやり方を教えてくれることはなかったため、この本に載っている勉強のやり方を真似て勉強に取り組むことにしました。「単語を覚えるには声に出しながら書き殴るのがよい」といった原始的な勉強法が多く、この本に書かれていることを真似すれば、誰でも東大に合格できるわけではないと思います。ですが、劣等生で同級生や教師から見下されている自分でも、勉強すれば学歴社会の最高峰である東大に合格できるという希望を与えてくれる存在でした。

動機は何にせよ、勉強時間自体が増えたので成績は上がり、定期考査で平均点を越える教科も出てきました。周りの反応もみるみる変わり、今まで注意しかしてこなかった先生に「頑張ったな」と褒められ、天にも昇りそうなぐらい嬉しかった記憶があります。

勉強が出来ないと見下され、勉強が出来ると存在を認めてもらえる。そうして褒められる経験を繰り返すうちに、この考えが強化されていき、最終的には「東大に合格すれば全てが報われ、誰からも肯定してもらえる人生が歩め、不合格ならば誰からも蔑まれて陰惨な人生を歩む」という発想を抱くに至りました。東大に行けば、人格者の友だちや教授に囲まれて過ごせて、アルコール片手に喧嘩する両親の元から離れられ、高給のアルバイトで経済的にも不自由ない生活が送れると信じ、当時抱えていた家庭環境や人間関係の悩みはすべて東大に合格すれば解消されるんだと本当に考えていました。

東大以外の大学に何の意味も感じられなかったので、浪人する気もなかったのに東大だけを志望し、そして合格しました。ずっと一方的に憎んでいた教師たちもこの時ばかりは、私のことを拍手で出迎えてくれ、あまり話したことのない同級生にも「合格おめでとう」と声をかけられ、「人生を変えることが出来た、信じていたことは正しかった」と思いました。

 

ところが、大学に入っても一向に友達はできないし、クラスにもサークルにも馴染めず、頼りの勉強も自分より優れた人たちがたくさんいる中で、もはや自慢できることでは無くなっていきました。そして、何よりも受験勉強という不満のはけ口を失いました。今まではどんなに嫌なことがあっても東大に合格すれば報われるという思いで勉強していたのに、それは嘘だと気づいてしまいました。

ふと周りを見渡せば、東大以外の大学に通っている人にも友達がいて、日々を楽しそうに過ごしていることを初めて理解しました。その瞬間、信じてきたものが音を立てて崩れ、何も寄る辺がなくなってしまいました。生きづらいのは学歴の問題ではなく、自分自身に原因があると気づき、何もかもがうまくいかないのは自分のせいだと感じ始めました。

高校時代を捧げた信念が崩れた今、新たな目標を持つことも出来ず、この状況を変えるには死ぬしかないのだろうかとも思いました。大学内にある病院の精神科医の監督の下、なんとか1年の前期を終えたものの、疲れ果ててしまい、後期は休学することにしました。休学中の生活は、また機会があれば書きたいと思います。

それでも、休学というのは人生の汚点だと思い、休学の選択を後悔し、毎晩泣いていました。けれど、久しぶりに会った高校時代の友人たちは、東大生だろうとそうでなかろうと、私は私で、付き合いをやめることはないと言ってくれて、学歴がなければ見捨てられるという不安が、少しはましになりました。

今でも希死念慮とは友人ですが、東大生というのは一つの属性でしかないと考えられるようになり、新たな生きる意味を探している途中です。

なんてぜいたくな悩みなんだと思われた方もいるとは思いますが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

 


【執筆者】
ミモザ さん

【プロフィール】
大学に落ちる夢と閉鎖病棟に入院する夢を交互にみる大学生。嫌なことがあると音信不通になりがち。ルーランが好き。
ブログ:MY MINORITY


【募集】
メンヘラ.jpでは、体験談・エッセイなどの読者投稿を募集しています。
応募はこちらから

この記事のカテゴリ・タグ

体験談 大学受験 ミモザ
このエントリーをはてなブックマークに追加

0件のコメント

コメントを残す

返信をキャンセル
返信先コメント