メンヘラに好かれる僕がメンヘラ女子との初めての対応を振り返ってみた

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メンヘラ.jpをご覧の皆さんこんにちは、そして初めまして、████です。

 

ちょっと絵ヅラを想像して欲しいのですけども、午前三時に泣きながら電話をかけて、「どうしたの?」と声をかけられてもただただすすり泣くのみで、泣き止んだと思ったらFly Me to the Moonを歌い出す、等の行為はしていますか?僕はしていません。これ、彼氏とか気になっている男にやられたらどうなるんですか。女心はよくわからないので誰かおしえて欲しいところです。
何を以ってしてメンヘラというのか曖昧な世の中なので、人によってはa.k.a.面倒くさい女という感じでメンヘラという言葉を用いたり、はたまた刃物や血や薬などが飛び交わないかぎり認めない人もいたり、色々です。語源的には「メンタルヘルス」から来ているので、精神的に不健康な人――夜中に電話口でひとしきり泣いた後エヴァンゲリオンのエンディングテーマを歌い出すのならば、指示対象に含まれていいのではないでしょうか。

 

そんな中で僕は、精神科に行きながら生きながらえる人や、メンヘラを自称したり自傷したり、あるいは他称されたり他傷したりする人たちと多少の縁があり、心中のお誘いを受けて慎重にお断りするなどの経験があります。

 

 

■メンヘラ女子に好かれる3要素

縁があるのはたぶん、そこそこの外見と、自分の話をあまりしないことと、原則機嫌が悪くならないことの3つが大きいのだろうと自分では思っています。

 

外見については、https://deeplooks.com というディープラーニングしたAIが顔面を採点してくれるサイトで3.7点というスコアを出すぐらいな感じです。ちなみにこれ、正面顔じゃないと点数下がるので注意してください。まあ、そういうことで見た目に大問題は無い模様です。これ以上自分であれこれ書くのは憚られますね。

 

自分の話をあまりしないというのは、管見の限り一方的に喋りたおすことで満足するのが非常に多いメンヘラ女子の「話を聞いて欲しい需要」にマッチすると思われるということです。僕には自分から積極的に個人に話したい内容や、他人と仲良くなる技術とモチベーションと経験値などがかなり少ないので、人間関係については重度の受身の姿勢でやっているのですが、そうしていると異常に喋りたがりな人から電話がきたりするわけです。で、こちらとしては喋りたい事が特にないので、向こうの話の言葉尻をとらえて茶々を入れつつ話を聞くことになります。

 

機嫌が悪くならないというのは、上下関係とか言葉づかいとかお作法にほぼ頓着がないですし、たいがい何があっても怒りや不機嫌さを振りかざして威圧することがないので、ご機嫌伺い等に気を使わないでやっていられるっぽいということです。金銭的な損害があったら不機嫌にもなるし怒るし、と口では言っているのですが、一度十万円ぐらいの損害が発生した時も、不機嫌になることも怒ることもなかったです。

「彼氏がくるまでの便利なつなぎとしてただ話をきいてほしいだけでしょ?」と聞いたら「そうです」と言われたこともあるなど、都合よく相手してくれる何かとしてナメられてると言われたら完全にその通りだと思いますけど、この関係性について問題意識を持てないというのがあります。特に得はないので、良い子は真似せず、もっとアグレッシブに攻めと責めの姿勢をもって、暴力的に生きた方が得すると思います。端的にいって、僕みたいなのより他者を喰い潰すモラハラ気質な人間の方が、現実にみると恋愛対象の男性としてより魅力的に感じると思います。立ったまま寝るさんの記事もご参照下さい。

 

 

■初めてのメンヘラ女子

そんなこんなで、メンヘラ女子を捌くのも今ではもう母数が増えてワンオブゼムに成り下がってしまいましたが、経験値も経験知も少なかった頃は一つ一つが新鮮で、衝撃的で、当惑したものです。このメンヘラが初動する、あるいはファーストタッチする平均的な年齢っていくつぐらいなのでしょうね。思春期に少年から大人に変わる中学〜高校ぐらいでしょうか。僕へのファーストインパクトは高校一年生の一学期にあったので、以下その話をします。

 

ごくごく普通の公立中学からごくごく普通の公立高校へ入学したいたいけな僕は、入る部活を考えていました。バイト禁止、部活は全入という有名無実化した校則があったからです。候補はふたつ。ひとつは水泳部で、水泳を習っていたことがあるから他の運動部よりはやりやすいだろう、と思ったからです。今や人前で水着姿にはあまりなりたくない身体になってしまいましたが。もうひとつはパソコン部で、これは当時ウェブサイトやプログラミングを趣味でやっていたからです。
パソコン部と書きましたがこれは嘘で、本当はITクリエイティ部という名前でした。なお生徒たちによる正確な発音は「ITクリエイティ部(笑)」です。このネーミングと発音の時点でやばい予感はしていましたが、夕日が沈んだあとに友人たちと川沿いで駄弁っている瞬間を青春ど真ん中だなあと感じる程度にはいたいけな高校生だった僕は、「もし気持ちの悪いオタクがいても一緒にクリエイティ部にやっていくんだ!差別なんてしない!」とか考えながら放課後に扉をたたきパソコン室に入り、この考えを改めました。

 

部員に話を聞いてみたのですが、特段クリエイティ部な人がいるわけではないようです。最高の技術力を以ってして、ファイル共有ソフトであれこれやっていく人がいる、といった具合です。しかしそれでも、水泳部ではなくITクリエイティ部への入部を決めました。今思うとなんかキマってる選択をしてんなという感じですが、パソコン室は冷房がきいているし、顧問の先生の本棚にはプログラミングの書籍があるというメリットがありました。僕は四月の大学生はトランス状態という説を唱えているのですが、高校生もそうなのかもしれないですね。そして、ここで出会ったマイファーストメンヘラレディこそが浦代浦さんです。

 

 

■初めてのメンヘラ女子との日々

浦代浦さんは三年生で、ITクリエイティ部の人ではなく帰宅部で、パソコン室の斜向かいにある音楽室で活動するコーラス部の部長の恋人で、コーラス部の活動が終わるまでほぼ毎日パソコン室で油を売って待っている、という人でした。
パソコン室は自習にも使えるので、ITクリエイティ部の活動があろうが常時出入り自由なのです。ITクリエイティ部の定められた活動は学校のホームページの更新をすることのみで、それがない時は各自何かしらをやっていっています。僕の場合はタイピングの大会に出場することが決まったのでその練習や、顧問の先生が講習会で使うちょっとしたJavaScriptを書いたりしていました。今思うと部活を利用した体のいい搾取ですねこれ。
浦代浦さんはだいたい僕の近くに座り、話しかけてきたり、話しかけてこなかったり、頭を撫でてきたり、制服のリボンとネクタイをとっかえっこしてきたりします。パソコン室に人が全然いない時には、音響設備を使って倉橋ヨエコの夜な夜な夜なという曲を流してマイクを持って歌ってみたをやってる時もありました。「夜は自己嫌悪で忙しい 夜は自己嫌悪で忙しいんだ 反省文 反省文 提出します」みたいな曲です。これらの現場に彼氏が居たときもありますが特に何も起きていません。

 

そんな僕らの会話はこんな感じでした。

 

「さっきさ〜数学の先生に出されたんだけど、3、3、8、8、と四則演算のみで答えが24になる式をつくれっていう算数の問題。ムズくない?わかる?」
「ルートは使っちゃだめってことですか」
「そう。ただ括弧は使っていいって」
「難しいですね」
「でしょ〜?」

 

いたって健全で何の問題もない話題ですね。またある日は、

「昨日のことなんだけどさ」
「はい」
「露出狂に遭った(笑)」
「はい!?」
「よくあることだよ〜あたしこれで三回目だもん」
「え、どこでですか?」
「あの橋渡ったあたりに草むらあるでしょ?あそこから出てきた。人出てきたと思ったら、下出てた。上半身はスーツなんだけど下なんも履いてないの(笑)もう慣れるよね〜」
「……」

といったようにたわいない会話を繰り広げていましたが、ある日、浦代浦さんのシャツの袖口から手首の包帯が見えて、これはそういうアレなのだろうなと察しました。ていうか別日には話の流れでその包帯の下を腕時計でも見るかのような気軽さで普通に見せられました。手首のあたりに数えきれないぐらい赤黒い横線が入っていて、生で見たこのグロテスクさに心拍数があがります。いたいけな十五歳の高校生一年生に何してくれてんだという感じです。「キャベツ畑」や「コウノトリ」を信じている可愛い女のコに無修正のポルノをつきつける時を想像する様な下卑た快感でもあるのでしょうか。

 

「先週やっちゃってさあ〜医者にまた次やったらもう縫わねえからな!!って怒られちった☆」
「……」
「でもまあピークはすぎたから!前はもっと頻繁にやってた。ていうかね、病院おもしろいよ〜体は大人頭は幼稚園みたいな人がたくさんいる」
「幼稚園ってどういうことですか」
「トイレに行くじゃん?すると中でスリッパ履いた男の人がぼけ〜っと立ち尽くしててね。で、ここ女子トイレですよって言ったらそうですかって言って素直に出てった。でもね、診察終わってまたトイレに行ったらその人中でまた立ってんの!」

一人勝手に動揺と緊張するなか、浦代浦さんはさもポップな出来事かのようにあっけらかんと話を続けていきました。そしてこの日を境に基本的に話題のメンがヘラっていくようになります。当時はまだメンヘラという言葉はあまり通用していなかったと思いますが。メンタルヘルス板の住人略してメンヘルとかリストカッターとか言っていたと思います。それにしても、リストカットというミームが当たり前に世の中に広まっているのが不思議ですね。この行為、どこで生まれてどのような経緯で伝播したのでしょうかね。

 

「久しぶり〜ゴールデンウィークは何してた?」
「んーだいたい中学の友達と遊んだりですね。浦代浦さんは何してました?」
「あたしさぁ〜友達と三人でお泊り会しててさ」
「僕もそうでしたよ」
「みんなでオーバードーズしたんだけど、一人が口から泡吹いちゃって(笑)あれはマジ焦った(笑)今日その子学校休んでる(笑)」
「やばくないですか」
「さっき連絡してみたけど大丈夫っぽいよ」

といった具合で、浦代浦さんからはメンヘラ色の話題が増えていきます。お金があると無意識にカミソリ等の刃物を買ってしまうので財布を持ち歩いていないとか、幻聴が聞こえてこれに従って飛び降りそうになったとか、体育祭はオーバードーズしてテンションをあげて挑むとか。ただしそれは「お聞き下さい、私はこれだけつらい思いをして人生を過ごしています」というトーンではなく、もう過ぎ去った解決済みでオチのある笑い話としてお届けしてくる感じです。ただし、いたいけな僕は苦笑いを浮かべてばかりでしたが。もちろん一色ではなく、テストどうだった?みたいな普通の話題もあるっちゃあるのですが。

 

「ちょっと前のことなんだけど」
「はい」
「あたし、潔癖症だったことがあって。家に帰ったらあたしの部屋のベッドまでダッシュでつま先立ちで行くのね?」
「はあ」
「ベッドに行くまでにカーペットがあるんだけど、これがあたしの中では汚いゾーンということになってて、絶対出来るだけ触れないようにしたかったの」
「はぁ……」
「それで、音楽聴きながら家に帰ってて、その日もまた素早くベッドまで行こうとしたんだけど、CDプレイヤーをカーペットの上に落としちゃってね。そしたらもう、うわーってパニックになっちゃって(笑)、すぐCDプレイヤーを拾って洗面所に走ってって、必死にCDプレイヤーを水と石鹸で洗ってキレイにしてた(笑)だからあたし今CDプレイヤー壊しちゃって持ってないんだよね〜」

というような話のほうが多いです。
しかしながら、浦代浦さんの口から常套句「死にたい」という言葉は一度として聞いたことがなく、そういう面はすべて恋人が引き受けていたのか、「死にたいとつぶやくこと」こそが一種のミームで当時これはまだ広まっていなかったのかはよくわからないです。

 

 

■分岐点

そしてとある日。きっとこれは運命の分かれ道でした。

 

「携帯かしてよ」
「今日に限って忘れちゃってるんですよ。なんでですか?」
「連絡先交換しようと思って。じゃあ電話番号は?」
「僕携帯の電話番号覚えてないです」
「もー!」

ということで、僕は浦代浦さんと連絡先の交換をすることはありませんでした。この日以降の携帯電話を持っている日にも全然ふつうに顔を合わせ話すのですが、再度きかれることは全くなく、僕からきくこともなく。幸か不幸かわかりませんが、偶然にも僕と浦代浦さんはお互いに連絡先を知らぬままでした。

最後に姿を見たときは、どうやら顔を抑えて泣いているらしい浦代浦さんを彼氏がなだめながら二人でどこかへ向かっているという状況でした。それ以来浦代浦さんと顔を合わせることは全くなくなってしまいました。その数週だか数日だか前に、学校の窓から飛び降りた人がいたらしい、どうやら三年生らしい、という噂が流れていて、それもたぶん浦代浦さんだったのだろうなと思っています。

進級後、コーラス部の友達ができたので浦代浦さんとその恋人はどうなっているかを聞いてみると「SNSの日記によると彼女がああいう人だからちょっと物凄い別れ方をしたみたいで彼氏のほうがだいぶ凹んでいる」とのことでした。その後どうなっているのかは全くわかりません。何をしているのか、何をしていないのか、生きているのか、生きていないのか。幸か不幸かわかりませんが、浦代浦さんと僕は、連絡先を交換しなかったので。

 

 

以上で初めてのメンヘラ女子に対応する日々の回顧録は終わりです。対応といっても述べたとおりで、ただ本当に話を聞いているだけだったのですけどね。免疫がないうちに迫力のあることを言われると二の句が継げなくなるものでしたが、それで不都合があったわけではないようです。

 

とにかく話を聞いて欲しい人は、相手が自分の話を憶えていることや、リアクションを返すことをそれほど求めてこない、というのはこれ以降にも複数あり、発見でした。お喋りすぎると、自分が誰になにをどこまで喋ったか把握しきれてないようです。

当時は、そんな浦代浦さんのお喋りに怖いもの見たさ的な、自分と違う世界線に面白さを感じていたことを覚えています。不良が語る「お前どこ中だよ!?」から始まる武勇伝トークのような。平成20年台の東京でそんなやりとりまだ実在してんのかよ、というやつです。

 

僕の目の前にいる浦代浦さんは基本的に単なる語り手でしかないので、話半分のフィクションの伝記を読み聞かせされているような感覚で面白いなと思っていました。へえそういう人も居るもんなんだな、と。居るもんなんですよね、それもわりと沢山。

 

今となってメンヘラ女子全般に思うことは、「話を聴くのは構わないけど一緒に生活するのはちょっと……」に尽きます。僕はどちらかと言えば強い気持ちに欠けるタイプなので、なにかしら強い感情が渦巻いているのを眺めているのは好きで、メンヘラ女子のお話を面白がっている向きもありますが、これに当事者として巻き込まれていきたいとは思えないです。「私の感情の暴発は不可抗力で仕方ないから何の責任もない。受け止めないお前が悪い」というスタンスは女の子に通底するとは思っていますが、メンヘラ女子はその閾値が特に低いという印象です。ゆえに、女の子同士で仲良くするのが苦手だったり、げきりんのターンが終わった後自己嫌悪で忙しくなるなどがセットでついてくるのだろうとも思っています。

 

感情が暴発する因子としては、「恋人と別れる」「連絡がつかない」「生理前」「自分より格下だと認識している女に男ができて幸せそうにしている」「能年玲奈」「Twitterのタイムライン」「ご飯が右、味噌汁が左に出てくる」「ら抜き言葉」「夜」などなどを見たことがありますが、どれぐらいまでなら正常な感情で、どれぐらいだと異常な感情なのかよくわからないです。どうですか、読者のメンヘラの方々はどんなこだわりがあって、どんな感情地雷が埋まっていますか。爆発するまでどこに埋まっているかわからないからこそ恐ろしいのが地雷なのだと思いますけど。

 

時折まとめサイト等でメンヘラ女子と付き合いたい、好かれたいみたいな記事があって、たぶんそれが意味するところは、概ね自分に滅茶苦茶依存してくる女の子が欲しいという話だと思いますが、メンヘラ女子に好かれるよう努力するよりも、上でも紹介した立ったまま寝るさんの記事のように、恋人をメンヘラに作り替えるやり方の方が難易度が低いのではないか、と思います。「特定の属性を持つ特定の人に好かれる」と「恋人を特定の属性持ちにする」なら後者の方がまだやりよいように思えるのですが、いかがでしょうか。メンヘラ女子に恋されて恋されて止まらないような、真のメンヘラホイホイ人も世の中には居るのかもしれませんが、今のところ未確認です。

 

僕はメンヘラ女子に好かれると言われれば好かれますが、恋愛対象の男性として好かれているわけではないので、基本的にはエピソードを収集してその先には何もないという感じです。例外的には、恋愛対象の男性としてみれられなくとも、世の中にはバイセクシュアルとかパンセクシャルという概念があり、その先があったりします。

 

ただし浦代浦さんはそうだったということはなく、話を聞くだけの三ヶ月程度の仲でした。これで十五歳の僕に少しはメンヘラ免疫がついたかというとそうでもなくて、夏休みが始まると中学の同級生がリストカットを開始することになり、エピソード上の存在としてメンヘラ女子を予習しても、リアルガチに相対すると対応が効かないという体験をすることになります。その話はまたいずれ。




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