初めての恋人が自然派メンヘラだった話

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メンヘラ.jpを御覧のみなさまこんにちは、████です。
 
自然派ママがインターネットのどこかで話題になっていますね。目には目を歯には歯を火傷に火傷を、とやっていったり、検索履歴に「子供 殺したい」と残しておいて子供に見つかるようにするのを推奨していたり、おおむね否片論という感じで盛り上がっています。釣りじゃないのかみたいな声もありますけど、何となくイメージが科学的工業的文明社会的ではなく優しい感じがすればするほど、積極的に納得していく人々は実在します。
 
それは僕に初めてできた恋人である上三財さんがそうで、自然派メンヘラという言葉がよく似合う彼女のことを思い出したので、今回はその話をします。

 

 

■初めての彼女は自然派メンヘラ

先に述べたとおり、僕の初めて付き合った恋人が自然派メンヘラでした。
エコ、ロハス、オーガニック、アコースティック、無添加、 無農薬、自家栽培、フェアトレード、ナチュラル、反戦、反原発、憲法改悪反対、アベ政権を許さない、このあたりのキーワードにピンときませんか?

 

なぜなのかはわかりませんが、上三財さんもテンプレートのようにこのあたりの属性を一つ残らず抱えている人でした。上記のキーワードっぽいものであればあるほど、良しとする世界観です。パンドラの約束という「地球全体の環境保護を考えると原発を使わざるをえない」という観点から作られたドキュメンタリー映画を見たら一体どうなるのだろうかと思います。
 
自分の頭で考えて調べて行動すると、実証性や再現性よりもイメージ的に人体や環境に優しいということになっているものの方が心が納得してしまうようで、まあとにかく僕とは価値観があいませんでした。でも付き合っていました。なお、ここでいうメンヘラとは慢性的に情緒不安定ですぐ泣くし着信履歴の残し方もすごいという意味です。もちろん自然派なので、どんなに精神が荒れて夜泣きをしても精神科というか病院には確固たる意志をもって行きません。薬品というのは、基本的に悪くなるという価値観です。風邪か何かで体調が悪い時には養命酒の卵割りを飲みます。常時すっぴんで化粧道具は多分何一つ持っていないかったし、脇毛も剃りません。
 
でもセックスするときに身ひとつの生でやるわけではなかったです。後年、避妊するのは生殖行為――命を作るということについて真摯に向き合っていないから、おれはセックスのとき決して避妊はしない、という哲学の持ち主と出会ったりしましたがこれは余談です。まあ確かに、一つ一つの命について真剣に向き合うのであれば、避妊してセックスするというのは快楽のために尊い未来の命を先回りして殺しているようなものかもしれませんね。ちなみにこの話を他の人にすると、「いやそれ生の方が気持ちいいってだけだろ」との意見を得ました。

 

 

■自然派メンヘラと情報機器

メンヘラというと一般的にインターネットや携帯電話と非常に相性が良く、決して手放せない必須インフラという感じですが、それに関しては上三財さんは凡百のメンヘラとは一線を画していました。画していたというか隠そうとしていたというか。が、隠しきれないところもありました。
 
パソコン、テレビ、インターネットには可能な限り触れない。ゆえに、当然ながらパソコンは持っていないし、大学のレポートも卒論も原則手書きでやりきっていました。大変すぎるでしょ信じられないということを言うと、「やってりゃ慣れる」とのことでした。テレビはかろうじて家にありましたが、壊れていてチャンネルが切り替えられなかったので無いも同然です。

 

そして携帯電話についてですが、メールもwebも使えない「らくらくホン」への切り替えを真剣に検討していましたが、それはできませんでした。なぜならば、mixi中毒が止められなかったからです。
 
上三財さんの友人たちもまあだいたいエコとかロハスとかそういうアレが好きでしたがそこまで筋金入りなわけでもなく、普通にパソコンでレポートも書くし、mixiにいろんなことも書いてやっていくわけです。上三財さんは「人との繋がりを大事にみんな仲良く平等で人間一人ひとりが輝ける(以下略)」な世界を志向する人であったので、携帯電話やインターネット上のmixiを頼らないと繋がれず、直接の対話や繋がりをないがしろにしてしまう社会や自分に苛立ったり、悪口を言ったり、思い悩んで苦しんだりしながらも、僕には隠しつつmixiをやめられないでいました。あとパケット代にもわりと苦しんでいました。

 

もちろんインターネットリテラシーの無い人ですから本名でmixiをやっていて、普通にすぐ見つけたんですけどね。携帯電話で上三財さんのページを見せながら「上三財さん、あれだけ言ったのにミクシィやってるんじゃないですかwwwwwww」と言うと、顔を真っ赤にしながらよくわかんない弁解をしていて、当時はとても可愛らしく思えたのを覚えています。なお、その日以降パケット代対策としてmixiをやるときは僕の携帯電話を奪うようになりました。
 

そして今2016年、久々に上三財さんのmixiを見てみたらまだ全然普通に日記を書いていてビビりました。え、mixi村って廃墟同然のインターネット限界集落で、みんなfacebook市とTwitter市とinstagram町に移住したと思っていたのですけど。mixiもどこかの界隈では活発な盛り上がりを見せていたりするのでしょうか……?

 

 

■自然派メンヘラと食

自然派メンヘラである上三財さんのこだわりが一番出るのは、食事についてでした。

 

「いっしょに顔を合わせて、ごはんをたべる(平仮名)」ということに異常なこだわりがありました。執拗な執着がありました。とにかく上三財さんの中では、いっしょに顔を合わせて、ごはんをたべる(平仮名)のが至上の行いだったようで、これを何らかの理由で断ると、着信履歴の嵐や彼女の精神への荒らしになってしまうのです。なんで尋常じゃなく拘泥するのかは当然ながら聞きましたが、本人にもわからないとのことでした。
 
料理の腕前は悪くはないのですが、地元の畑で取れた無農薬野菜を薄めの塩味にしたものを「これこそが世界最強の健康食」と言わんばかりに出してきて、比較すると僕はマクドナルドの味の方が好きです。
 
上三財さんにマクドナルドとか人生で食べたことあるんですかと聞くと、「食べたことはあるけど、あんな不味くて体にも悪いものがたくさん入ってる[要出典]ものにお金を出すなんて信じられない」と言っていて、やっぱり合わないなと思ったことを覚えています。

 

好意故の行動なのがまるわかりだからこそ、受け取り手としては無下に出来ず処理に困ってしまうプレゼントとか料理とかってありますよね。検索してみると、プレゼントハラスメントという概念があるみたいです。上三財さんの料理はハラスメントと言うほどではありませんでしたが、ごはん(平仮名)と味噌汁が左右逆というミスを数回したことで感情が爆発するのはハラスメントだったのではないかと思います。

 

 

■自然派メンヘラの自己流ヒーリング術

一応自然派である効果なのか、上三財さんは肌質や髪質がとても綺麗な人ではありました。精神については、自然派生活だと何か足りない栄養とかあるのではないかなという感じでしたが。
 

しかしながら、自然派なりの独自の模索の結果、精神の安寧を得ると本人が思っている方法に到達していました。それがこれです。まずは動画をご覧ください。

 

 

 

口琴という楽器で、金属弁を口の中に共鳴させてまるで電子音みたいな様々な音色を出すことが出来ます。さすがに上三財さんはこの動画ほど演奏能力が高くはなかったと思いますが。
 
上三財さんは、キツめの酒を飲んで酔っぱらい、その状態で延々と口琴を演奏して倍音を頭に響かせ続けて、軽いトランス状態か瞑想中みたいな状態に入ることで精神をシャキッとさせていました。本人の弁では効果があるとのことですが、薬とか医者のほうが有効なのではないかなあと思っていました。僕もいっしょにやってみましたが、トランス状態というほど入り込むことは出来なかったです。それは、酔いか、口琴の演奏技術か、集中力か、そもそもトランス状態に入る才能か、何が足りないのかはわかりません。
 
ねこぢるのぢるぢる旅行記という本に、インドのバラナシに行ったら大麻をキメながらディジェリドゥを吹き続けているヒッピーらしき人々を見たという記述がありましたが、プリミティブなトランス法として酔い+鳴りつづける音というのはポピュラーな手段なのかもしれませんね。一応断っておきますが、上三財さんは大麻に手を出してはいないはず……です。日本で生きていて、大麻に到達するというのは自然なのか不自然なのかは、意見が分かれそうなところですね。

 

 

■自然派メンヘラとその後

三ヶ月ぐらいで上三財さんとは別れてしまいましたが、彼女がくれたお古の口琴は未だに手元にあり、たまに演奏してみて思い出してみたりする……となれば話の収まりはいいのですが、そんなことはありません。

 
やっていたら、お古だったからなのか、僕の扱いが悪かったのか、そもそも口琴は消耗品なのか、振動する弁の部分が折れてしまい、ただの金属片と化してしまいました。調べてみたらそこら辺でわりと売ってるし、意外と安いし、捨てて買い直しました。

 

口琴にヒーリング効果があるのかどうか謎ではありましたが、なにかしら自分の感性にハマる楽器を手にして音を出してみると、やっている間は無我になれるというのならわりとあると思います。口琴についていうと、ただ音を出すだけならわりと簡単な部類に入ると思います。ギターやベースやドラムなどのポピュラーな楽器の先にある魑魅魍魎が跋扈するバンドマン界隈にのめり込むよりも、ちょっとマニアックな楽器をやってみることで意外と素朴な癒やしになるというソリューションがあるのかもしれません。
 
代々木公園なんかに行くとそんな感じの集団居たりしますよね。ちょっと前に、よくわからないキレイな音が鳴る楽器をやっている人を見ていたのち、少々話したりしました。曰く、「俺よりもこの楽器もっと上手い人沢山居たんだけどね、もう関東には俺ぐらいしか残ってないんだ」とのことです。はあ、それはどうしてですかと尋ねると、「みんな震災のあと放射能をおそれて関西に拠点を移した」とのことでした。関西にいるなんて、ああ、きっと僕とはあわないのだろうなと思いました。

 

 
上三財さんも関西に移住まではしないものの完全にそういう感じの思想の人ではあり、今なにをしてるんだろうと思ったら、上記の通りわりとmixiをやっていました。元気にしているようでなによりです。絶対水素水にハマってるし心の底から三宅洋平の政策を支持してんだろと思い少々遡りましたが、そのような記述はありませんでした。一度アベ政権を批判していたら、物凄いコメントの伸び方をして手に負えなくなっていたことがあったので、政治的な事柄への言及は辞めたのかもしれません。
 

 
しかしながら、メンヘラはともかく上三財さんの自然派っぷりは、イデオロギーとライフスタイルとアイデンティティが三位一体になった結果なので、今更そうそう変わるものではないだろうと思っています。
 
困ったことに、理屈とか論理とか論破とかデータの提示とかで主張が変わりはしないので、対峙させるにはレベルカンストしている口先の魔術師が必要なのだと思われます。データと理屈が通じない人を説得する、難問です。気持ちで闘いましょう。また、メンヘラは何かしらの治療手段があるかと思いますが、自然派を治療するというのは、それはもはや洗脳だし思想強制で内心の自由の侵害ですよね。憲法を守りましょう。

 

そんな感じで自然派の人となんか合わないなと思っている方々は、僕と同じくだんだん会わなくなると思います。そして、それでいいと思います。なんか合わない人とは会わない、自然なことです。




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