ひきこもりのラブホ清掃バイト、夏。

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「おかあさん!わたし、バイトする!」

昨年の夏、夏真っ盛りの昼の時間に、
わたしは母に高らかにそう宣言した。

きっかけはわからない。急に思いついた、思い立ったとしか言いようがない、ただ、今思えば躁状態でしたね、と断言できる。

良いことを思い付いたような気持ちで、バイトすることを決めたわたし。わくわくそわそわ、落ち着かない様子でもって、早速パソコンを起動。アルバイト募集サイトを検索し、自分でもいけそうなところを、目を皿にして、探していった。

すると、ものの数分後にはバイト先の候補が決まった。この時のわたしは、このバイト先しかない!と思うくらい強く、そのバイト先で働きたいと思った。まるでビビッと電流が走ったんです。というような勢いと情熱。さっそく母にどうだろうか?とパソコンの画面を見せながら聞いてみた。

そう、ラブホテルの清掃バイトページを。

母は、怪訝そうな顔で

「なんでよりにもよって、ラブホテルの清掃バイトなの?」

と、至極まっとうな質問をしてきた。

わたしは意気揚々と、ラブホテル清掃バイトの利点をつらつらあげていった。というより、デメリットが頭の中に少しもなかったと言える。

接客業じゃないから、人疲れすることがないだとか、裏方の仕事だから表に出る必要もないだとか、清掃なら覚えることも単純そうであるとか、そしてなにより、

「ラブホテルの清掃バイトってなんだか面白そうじゃない?」

と言い放ったわたしに、母はこちらをじっと見て、これは駄目だというような呆れ顔で、

「自分で電話をかけるのすらできないのにどうするの?」

と聞いてきた。しかしわたしは、その言葉を待ってました!と言わんばかりに、子機を手にし、

「今なら電話自分でかけられるよ!ちゃんと話せるよ!バイトするから、ここで!!!」

と、再び宣言した。
母は、ため息をついていた。

そんな母を尻目に、母が目の前にいるその場で、ラブホテルに電話をかけた。そして、バイト募集の話はトントン拍子にすすみ、面接を受けることが決まった。

人材が足りないらしいラブホテルのバイト先から、今日の夕方に来れないだろうか?と聞かれ、なんの後先も考えず、

「はい、大丈夫です!!」

と、力強く答えていた。母はそんなわたしを見て、唖然・呆然・驚愕を一緒くたにしたような顔をしていた。今思い出すと、薬でもキメてるんじゃないか?と心配になるほどに、躁だった。躁状態がキマっていた。

ちなみにこの時、わたしは履歴書すら持っておらず、写真すら撮っていない状態です。

これが午前中の話。ラブホテルの面接は夕方、まずは履歴書から書かねばなりません。
履歴書を買いに行かねばなりません。

そして、履歴書をまともに描いた経験のないわたしは、この時

「まあ、焦るな焦るな、間に合う間に合う!」

と根拠のない自信を掲げ、

母に買ってきてと頼み、履歴書を待つ間にも、るんるん気分でした。今までニートひきこもりだったことを完全になかったことにしていました。

母が履歴書を調達してきてくれまして、わたしはいちいち母に尋ねながら項目を埋めていきます。なにせ、いつ学校に入学して卒業したのが何年なのかということなんて覚えていないからです。

そんなこんなで、なんとなあく書き進め、何度も母親にため息をつかれつつ、本当に面接行くの?と何度も聞かれつつ、完成しました。いや、完成一歩手前になりました。

そう、証明写真、証明写真が必要です。

その後、ひきこもりは悩む事になります。面接ってどんな服着ていけばいいの?と。

服を買いに行くための服がないような、そんな状態です。

スーツ?スーツ着たら良いのか??ん??と行きすぎた方向まで考えていたら、母親に、何度目になるかわからないため息をつかれ、適当に服を見繕われ、着て、証明写真撮りに行きました。

 

【面接】

面接が行われる事務所は、駐車場の奥にある、よくわからない場所から、階段登ったすぐそこにありました。

この時わたしは安定剤をザラザラっと飲んでいたので、呑気に

「そういえばラブホって、休憩の時タバコ吸えんのかな?」

と、くそほどどうでもいいことを考えていました。

そして、ついに面接。Tシャツにジーパンという、大変ラフな格好をした店長が、現れました。ラフ店長との面接、サクサクと進み、イマイチ何を話したのか覚えていないのですが、
(久々の他人との会話で、記憶が飛びました)なんと、次の日からバイトする事に決まりました。NOと言えないひきこもりなので、頷いていたらそうなりました。ひきこもりの皆さん、気をつけてください。その場の雰囲気につられて頷くことになります。危険です。

持ち物と服装を聞き、タバコ吸えると知り、やっぴー!と思いながら、達成感を感じつつ、母に報告。「明日からってバカじゃないの?」と言われつつ、明日のバイト初日にドキドキしつつ、その日は眠りについたのでした。

 

【清掃バイト】

そして次の日、わたしのバイト1日目が始まりました。新しくバイトで入った、と朝礼で紹介され、そのあとすぐ、、清掃しながら説明するから!と言われ、エプロンを渡され、着たら、胸ポケットにコンドームの予備をぐぐいっと入れられました。そして、両手に掃除道具を持ち、さっそく清掃スタートです。

本来は二人一組で行うらしいのですが、わたしともう一人の新人男性がいたために、四人で一組になり、清掃が始まりました。大きく、風呂・洗面台・トイレと、部屋・ベッドメイクにわかれ、わたしは部屋の方を担当することになりました。

おもむろに使い古されたタオルと、エタノールの入った液を入れた霧吹きを持たされ、
まずゴミ箱の袋を外し、灰皿、机等のゴミをまとめます。それが終わると、今度はベッドの枕カバー、シーツ、掛け布団のカバーを外し、まとめ、ゴミ箱と一緒に、滑り台のようなところから下に落とします。そして、新しくゴミ箱に袋をセットし、棚や机やベッドの上のスペース、レンジなどの周り等を、エタノールぶっかけて拭きます。ひたすらに拭きます。この時、セットされているコーヒー等の数があっているかどうか、なかったら補充し、同じように自販機になっているところの在庫もチェックします。

そして皆さんがきになるであろう、ベッド周り、端から端へとエタノールぶっかけながら拭いていくのですが、この時に、音楽が切られていたら付け、決められた番号に変えます。そして、位置を間違えずにコンドームの補給。三種類。パクっていく人もいるので、足りないものは全部入れます。そして、わたしが何より言いたいのは、電マです。

電気用マッサージ機。ラブホ、セットされているじゃないですか?電マ用のコンドームも置いてあるほどです。使うのは自由です。

しかし、しかし!!!

なぜゴムをつけっぱなしで、電マを元の位置に戻すのか。ゴムを外してゴミ箱に捨てろ!!と何度も思いました。使われた形跡があれば、ゴムがなくともエタノールぶっかけて入念に拭くので、使ってもいいけど、ゴム外してゴミ箱に捨ててください。お前らがつけ残したゴムを外してゴミ箱に捨て、エタノールでガンガンに吹いているこちらの身にもなってください!

そして、ティッシュにも入れ方があるので、それを守りつつ、セットし直し、拭き終わったら、ベッド周りは終わりです。

ラブホの部屋にある机はガラステーブルが多くないですか?

あれ、必死にエタノールぶっかけてぴかぴかにしてます。灰皿の位置、ライターの位置、メニューなどの位置、置き方も決まっており、それも揃えます。ついでにテレビをつけ、決められた番号にし、テレビを消して、リモコンも拭きます。テレビでペイチャンネル見て、そのまま帰るのやめてください。見知らぬ人の先生と生徒、女の子はやっぱりブルマ!みたいな性癖は気になってません。真剣に掃除している最中に流れるAVのシュールさは異常です。

そして、最後にベッドメイキング。シーツを決められた方法で敷き、掛け布団のカバーをかけ、よく皆さんがホテルでみかける、足先の方が内側におられている状態、アレにして、枕のカバーをかえ、決められた位置で置き、布団を整え、名前を知らないあのなんか長い布を布団の上に乗せて、ベッドメイキング終了です。

それが終わると、入り口の台を拭き、スリッパを整え、鏡等も拭き、床をクイックルワイパーとコロコロで髪の毛ゼロの状態にします。

その頃には水場の方の掃除も終わっているので、合流し、コロコロして、清掃完了です。
やることはこれだけありますが、およそ15〜20分程度で終わらせます。

そう、ラブホの清掃は体力勝負なのです。

潔癖性なわけでないので、ご休憩で夏だからって調子に乗ってやってきて電マ使ってゴム捨てないでそのままって、どういう神経だ。と思いながらも、わたしの脳内BGMはくるみぽんちおでした。

 

【休憩時間と実感と】

休憩は1時間あり、それを4等分し、15分づつ合間に挟んでいくのですが、休憩時間は、喫煙タイムで大体終わりました。差し入れにカキ氷や、アイスなどをもらって食べて、滴る汗をタオルで拭いながら、清掃の恐ろしさを思い知らされました。

清掃しても清掃しても来る客、特にご休憩客。ある程度終わったな、と感じても、次から次に利用客はやってきます。

夏で?開放感あふれて?夏休みになったりして?性的にも開放的な気分か?お??とリア充氏ね!とかでなく、リア充家でヤれ!と思いました。あと本当電マは皆さんご利用の際お気をつけください。普通にゴムをゴミ箱以外に置くのもやめてください。見知らぬ人の使用済みコンドームを見ても、見せられても、無です。いや、違いますね、迷惑なので眉間に皺が寄ります。

この清掃のバイト、9時から18時まで、休憩マイナス1時間、ひたすらに、清掃清掃清掃汚物は消毒だああああ!!!と、清掃していました。真夏だったのもあり、汗は止まらず、滝のように流れ、喉がすぐ乾き、なんとか、1日目が終了しました。

 

【2日後】

その次の日もバイトでした。全新筋肉痛の身体を引きずり、立ったりしゃがんだり立ったりしゃがんだり、ベッドメイキングでは全身を使い、休憩ではタバコを吸いながら、汗だくになりながら、なんとか、2日目も乗り切ったのでした。

3日目は休日、お休みです。
まず起きて、ひどい頭痛を感じました。上手く立ち上がれず、食欲がなくなり、嘔吐、筋肉痛も加わって動くこともぎこちなく、バイトの反動かな?とも思ったのですが、なんだか感じたことのない危機感を感じたので、母に病院に連れて行ってもらいました。

診断、
熱中症でした。

熱中症、初体験です。あれほど辛いものだとは知りませんでした。久々に点滴を打ってもらったことを覚えています。めまいでぐわんぐわん世界が回りつつ、気持ちが悪くて、全身の力が入らない、そんな状態になったのでした。

 

【やーめっぴ】

そしてその日、明日のバイトのことを考えました。明日からもあの労働が待っている。しかしせっかく始めたバイトだ、でもどちらにせよ明日は熱中症で出ることができない。これから、もっと暑くなるし、もっと忙しくなると言っていた。恐怖を覚えました。

そして、考えに考え、ぐるぐるしてごちゃごちゃになり、限界が近づいたその時、母に、半泣きで、

「バイト、辞めてもいいですか、」

と聞きました。

母はわたしの様子をなんとなく感じ取ってくれていたようで、静かに頷いて、

「よく頑張ったね、一歩前進できたじゃない、それだけでも大きな進歩だよ」

と、一言、言ってくれました。

その時、なんだかもう溜めていたものが吹き出して、号泣しました。
そのあとひとしきり泣き、辞めるのまでちゃんと自分で、とそれは決めて、電話をかけました。

二日間のラブホバイトが終わった瞬間です。

 

【まとめ】

教訓として、ラブホ・ホテル、なんでもいいですが、清掃をなめてはいけない。労働、重労働でした。

ひきこもりを数年続けていたのにできる!と無駄に自信を持てたのが、おかしかったんです。躁、躁でした。バーサーカー気取って、なんでもできちゃうと思い込んでいました。とても恐ろしい思い込みです。最初の突き抜けた躁状態での思いつきから、熱中症でダウンするまで、躁状態は続いていました。そして、ダウンして、ようやく頭が冷え、躁状態だったんだと気付くことができました。

こうして、たった2日の短い短い社会復帰、ラブホバイトは終了したのでした。

 

【おわりに】

最後に皆さんに伝えたいことは、

『電マを使うときは、専用のゴムを使い、使用し終わったら、電マのゴムをゴミ箱にいれろ。
そして、なにより、よく言われている安全日ですが、安全日などはない。生理中だろうが妊娠するときは妊娠する。避妊は大切です。
男性は、避妊具を持つ、もしくは買え。
女性は、雰囲気に流されるな。流されたいのなら、産婦人科に行って、ピル出してもらえ。
膣外射精は、避妊じゃ、ないからなあ!?』

ということです(バイト歴2日のラブホ清掃より)。

 

というわけで、今回は、ラブホバイトを2日で辞めたお話でした。
へえ、ラブホの清掃ってこうなってるんだあ、とぼんやりとした暇つぶしになることができていたら幸いです。そして躁状態にも気を付けましょう。私の場合は母がストッパーになってくれましたが、とんでもない事態になって精神を削る結果になる方もいると思います。冷静に!自分の状況をなるべく把握しましょう!!

そして、今回皆さんお忘れかもしれないので、
恒例の、乞食で、締めさせていただこうと思います。
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それでは、また、次回の記事でお会いできたら幸いです。
この、インターネットの片隅、メンヘラ.jpにて

ラブホは2日でちょうどいい、おまえ




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おまえ

おまえ

20代無職メンヘラオタクで腐女子。あと乞食。 ひょんなことからメンヘライターに。躁鬱持ちは今日も今日とて生きてます。皆さんお薬ちゃんと、飲みました?

1 件のコメント

  1. Morgenstern 返信

    読みました、おっさんだけど癲癇持ちで精神崩壊して会社リストラされて先月までラブホの風呂掃除やってました
    会社リストラされてから3年ほど引きこもってて、いきなりのバイト3年間の溜まった脂肪が1か月でー5kg(笑)
    ただ上司や他のメンバーがいかれたのが多くて辞めました
    一緒の組み合わせのおばちゃん達とは仲良くやってたのに残念です

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