「メンヘラ」ってどういう意味? メンヘラという言葉が生まれるまで

コラム メンヘラ 090

メンヘラ」とは、2ちゃんねるのメンタルヘルス板の住人を指すネットスラングである。

それが転じて、現在では精神疾患・精神障害などで「メンタルヘルスに悩みを抱える人たち」というという意味でも「メンヘラ」は使われるようになっている。

【詳しいまとめ】
メンヘラとは 意味、語源、キャラクター化、当事者性など

 

以上が、一般的な理解であり、「メンヘラ」という言葉の意味だ。

しかしそう、当メディアの名前は「メンヘラ.jp」である。「メンヘラ」をテーマにメディアを運営する私たちとしては、「メンヘラ」という言葉の使われ方を、より深く考察したいと思っている。

特に昨今では、「メンヘラ」という言葉について、様々な誤用が生まれている。「メンタルヘルス問題の当事者」という意味であった「メンヘラ」が、たとえば「構ってちゃん」「やっかいな女」といった意味で乱用されたりといった問題も生じている(ちなみに、男にも当然メンヘラはいる)。

 

そもそも「メンヘラ」という言葉はどこで生まれ、どのように使われてきたのだろうか。

メンヘラ.jpでは、過去2回に渡り過去ログ倉庫などの1次資料を引きつつこの謎を追いかけてきた。

【関連記事】
1.「メンヘラ」という言葉の歴史 2ちゃんねるで「メンヘラ」が誕生するまで
2.移り変わる「メンヘラ」の意味。この10年で「メンヘラ」の使用法はどのように変わったのか

この記事では、過去2回の調査で得られた情報を、簡単にまとめることを目的としたい。

 

「メンヘラ」という意味の言葉が生まれたのは2ちゃんねるだった

「メンヘラ」という言葉は、もともとは匿名巨大掲示板2ちゃんねるのメンタルヘルス板から生まれた。この板は元々「躁鬱板」という名前で限定的な話題のみ取り扱っていた板だったのだが、

上のような「心の病全般について扱う板を作って欲しい」との住人の要望を受け、2000年8月18日「メンタルヘルス板」に命名変更し、取り扱う分野も「心の健康」全般に拡大した。

この2ちゃんねるメンタルヘルス板で、まずは「メンタルヘルス板」の略称として「メンヘル」という言葉が生まれた。この当時の「メンヘル」はあくまで「メンタルヘルス板」を指す略称であり、個人に対し用いられるようなものでなかったことは注意が必要だろう。

その後2001年初旬ごろから「メンタルヘルス板に来るような人」「心の健康に問題を抱えた人」「心を病んでいるひと」というような意味で「メンヘル」が使われだし、やがてそれが英語で「〜する人」という意味の「-er」形をつけて「メンヘラー」と呼ばれるようになった。現在最も使われている「メンヘラ」はこの「メンヘラー」がさらに略された形だ。

 

簡単に言えば、


・2ちゃんねるのメンタルヘルス板→略してメンヘル板
・メンヘル板の住人→メンヘル
・「メンヘル板の住人」に加え、住人のように「心の健康に問題を抱えた人」もメンヘルに
・「メンヘル」が変化して「メンヘラー」
・メンヘラーがさらに変化して略してメンヘラ


……と、このような経緯を辿って「メンヘラ」という言葉は誕生したのである。


現代語が生まれるには、それなりの背景というものがあるのだと再確認できる。

ちなみに、「メンヘル」ができるまでは、「キチガイ」「サイコ」などの90年代感溢れる(そしてあまり大声で言えなさそうな)呼び名や、「躁鬱さん」「ヒッキー」など、各々の症状によって呼び名が分かれていたようだ。ネット上に生まれた「メンタルヘルスに問題を抱えた人」の総称は、「メンヘル」が初めてだったのではなかろうか。

以上は以下の考察記事をざっと総覧したものなので、より詳しい情報とエビデンスが欲しい方はぜひ以下の記事をご一読して頂きたい。

【関連記事】
「メンヘラ」という言葉の歴史 2ちゃんねるで「メンヘラ」が誕生するまで

「メンタルヘルス板」がかつて「躁鬱板」であったこと、「メンヘル」「メンヘラー」「メンヘラ」などの使用法がいつどのような経緯で広まったか、「メンヘラ」という語がメンタルヘルス板を超えて2ちゃんねる全域でさらにインターネット全域へ拡散していく経緯についてなど、「メンヘラ」という言葉の歴史を資料付きで辿ることができるようになっている。

2ちゃんねるの過去ログを徹底的に掘り起こして調査した力作なので、興味のある方はぜひ読んでみて欲しい。

 

「メンヘラ=面倒くさいひと」という誤用が生まれ始めた

さて、上では「メンヘラ」とは、もともとは2ちゃんねるのメンタルヘルス板発祥の言葉であり、「メンタルヘルス、つまり心の健康に問題を抱えている人」という意味であったことを確認した。

一方、2016年現在「メンヘラ」というと、心の健康の問題云々を飛び越え、「面倒くさい奴」「度が過ぎたかまってちゃん」のような意味で用いられている例が散見される。

試しに「メンヘラ」でググってみると、「メンヘラ女に気をつけろ!」「隠れメンヘラを見分ける方法!」というような記事が出てくるのだが、その中で述べられているメンヘラの特徴というのは大抵、


  • 自分の否を認めない

  • SNSに自撮りをアップする

  • 自分かわいそう」アピールがすごい

  • 前髪ぱっつん黒髪


などである。

【参考リンク】
・隠れメンヘラ女とは?見た目じゃ分からない「35の特徴」

確かに自分の否を何が何でも絶対に認めなかったり、「自分かわいそう」アピールが過ぎる人はメンタルヘルスに何らかの問題がありそうだが、SNSに自撮りをアップする行為と心の健康を損ねていることには関係がないし、髪型に関しては完全に個人の自由である。

さらには


  • 夜行性

  • ひとを噛む

  • 顔が1年ごとに変わる


など、「それは新種の怪獣か何かか!?」と言いたくなるような適当極まる「特徴」とやらも一部メディアでは流布されており、ますます「メンヘラ」という言葉についての混乱は広まっている。以下は上の「隠れメンヘラ女とは?見た目じゃ分からない「35の特徴」」からの引用だが、このような記事がこういった傾向に拍車をかけている部分もあると言える。

なぜ「メンヘラ」という言葉の誤用は、ここまで広がってしまったのだろうか。

これは私が推察するに、2ちゃんねるのまとめブログ等の普及により、2ちゃんねる内部だけで使われていた「メンヘラ」という言葉がSNS上で広まり、一人歩きし、「メンヘラ」という言葉で指された人々の過激な一部だけが注目され、イメージが強化されていったのではなかろうか。

一時期、特にメンヘラという言葉と強く結びついたのは、心の健康に問題がある人の中でも境界性パーソナリティ障害の特徴を持つ人々であった。彼らのもつ見捨てられ不安からの強烈な確認行動(私のこと好き?と過剰なほど聞く、深夜の鬼電など)や、とても深刻な虚無感からの自傷行為(リストカットや薬の過剰服用など)が、多くの人の目にあまりにも奇異に映り、一つのおもしろコンテンツとして消費され始めてしまったのではないだろうか。

【関連記事】
・ファッションメンヘラは「メンヘラ」なのか?

また、自らを「メンヘラ」と称しコンテンツ化する人々もインターネット上に現れ、自傷行為の写真をアップロードをしたり、薬のOD(過剰服薬)の報告をしたり、「メンヘラあるある」などのネタを共有したりしながら、徐々に「メンヘラ」という言葉を広めていくようになった。

その流れで「メンヘラ」という言葉の用法が変化し、

・メンヘラ=強烈な行動をとり、人に迷惑をかける人
・メンヘラ=関わると面倒くさい人

といったように意味がねじ曲がっていったのではないだろうか。

これらの経緯について、2ちゃんねるの過去ログやSNSなどを10年分掘り起こして徹底的に考察した記事があるので、ぜひ読んでいただきたい。

【関連記事】
移り変わる「メンヘラ」の意味。この10年で「メンヘラ」の使用法はどのように変わったのか

 

「メンヘラ」という言葉の本当の意味

今、「メンヘラ」の用法は以下の二つに分かれてしまっている。

  1. メンタルヘルス(心の健康)に問題を抱えている人

  2. 面倒くさい人、かまってちゃん


正しい意味である1の用法の他に、なぜ2の用法が生まれてしまったのか。簡単に言えば、「よく知らない人たちが面白がって使ってしまったから」と言っていいだろう。

「メンヘラ」をおもしろネタとして使う心の健康に問題を抱えたひとや、そんな「メンヘラ芸」を面白がるネットユーザー、それに便乗した創作実話、それらのイメージから派生した漫画やアニメのキャラクター(いわゆる「ヤンデレ」など)が、「メンヘラ」という言葉におかしな意味を不随させてしまったのだと考えられる。

もともとネットスラングとして生まれた「メンヘラ」という言葉。どんなミームも使われるうちに用法が変化していくものだが、本来の意味である「メンタルヘルスに問題を抱えている人」という用法が現在においても保存されていることは大変興味深い事実である。どんなに時代が変わっても、人の心がある限りメンタルヘルスの問題は尽きない。「メンタルヘルスに問題を抱えている人」としてのメンヘラは存在し続けるのだ。

だからこそ私たちメンタルヘルス問題の当事者としての「メンヘラ」としては、本来の意味である「心の健康に問題を抱えた人」としての「メンヘラ」を今後も丁寧に扱っていきたい。

【関連記事】
・メンヘラとは 意味、語源、キャラクター化、当事者性など

 

メンヘラ.jpでは、「メンタルヘルスに問題を抱えている人」として使っていきます!

ここまで、「メンヘラ」という言葉の意味や用法、その変遷について大まかに見てきた。

我々メンヘラ.jpは、メンヘラという言葉を「メンタルヘルスに問題を抱えている人」の意味で使っているし、これからも使っていく(現に、メンヘラ.jp内に「かまってちゃん」「面倒くさい人」というような意味でメンヘラという語を使った記事はない)。

様々な心の健康問題を広くカバーし、時にはの死にたさをやり過ごすための暇つぶしとして、心の調子を崩して生きるのが難しい人のための処世術を共有する場として、そして精神を病んでいても楽しく生きていけるコツを共有する場として、メンヘラ.jpをやっていく所存だ。

「メンヘラ」という言葉にまつわる謎が、少しでも氷解したなら幸いである。

 

【関連記事】
・メンヘラとは 意味、語源、キャラクター化、当事者性など

 


【執筆者】
090 さん

【プロフィール】
会社員時代の自殺が未遂に終わり、いろんな意味で「サービスで生きてる」無職。生きてる以上、楽にやっていきたい。少しでも死にたい人のお役に立てればと思います。
Twitter:@oqo_me_shi


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2件のコメント

えんね 返信

はじめまして。この記事を読ませていただきました。
僕は、本来「心に何かしらの病等を患っている人」の意味であるメンヘラが今では「度の超えたかまってちゃん」「めんどくさい人」「ヤンデレ」のとして受け入れられてしまっているのにとてもいらだちを感じています。
でも、そんな中であってもこのような記事があることがとてもうれしいです。また「メンタルヘルスに問題のある人としての意味のメンヘラは存在し続けている」というのがとても興味深かったです。確かに薬とかは使っていなくても、執拗な人って心に問題はありますもんね。
僕も一時期メンヘラだったことがあり、メンヘラのつらさというのは理解できるので、そのつらさ(リスカしてしまう、パニックになる、鬱な気分が続くなど)が単なる見世物になってしまっているのがとても悲しいです。
この記事は多くの人に見てもらうべきだと思います。「メンヘラ」の意味が「心に病気、問題のある人」より「めんどくさいかまってちゃん」のほうが広まってしまっているこの時代だからこそ、読んでもらう必要があると思うんです。
長文失礼しました!

うんこ 返信

分かりやすくまとめられてて助かりました。
サブカルチャーとサブカルのニュアンスの違いみたいな紛らわしさが逆に精神疾患判定のグレーな感じを表していますね。

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