大学中退は人生中退なのか?私の大学中退記
最初から何を聞くんだ、と思う方もいるかもしれません。ここ数年で、大学に入学したものの途中でやめる、中退という選択を行う人数は増加しています。そんな人に対して世間の人はこのような言葉を告げる事が多いのではないでしょうか。
「大学を中退する人は絶対後で後悔する!」
この発言の裏には、「大学を卒業していれば普通に就職出来たのに」「中退するなんて甘えだ、そんな我慢の出来ない人間が社会になんて出れるわけない」等といった考えが存在する事が多いようです。「普通に就職できない」「中退するような、甘える我慢出来ない人間が社会に適合できない」という、中退後の人生はお先真っ暗闇だと言われているようなものですね。私は実際に言われました。人生お先真っ暗闇、という事は人生を途中であきらめた、いわば人生を自らリタイア=中退したとも読み替える事が出来ます。
でも、本当に大学中退=人生中退なんでしょうか。
今回は人生中退の意味を「就職できない」「社会に適合できない」という意味で、この等式が成立するのかを書いていこうと思います。
■大学中退者に対する世間のイメージ
「勝手に中退してね、でも中退しないならお金は払ってね!」
これが全国各地にある、大学の普通のスタンスなのではないでしょうか。中退していい、中退するのはよくないなんて誰が決める事でもありません。勿論、中退をする事によって大卒、新卒という肩書きを手に入れる事は出来ませんが、はたして何故それが人生中退になるのでしょう。
大卒や新卒で就職しないと人生中退なのでしょうか。そんな事を言ったら日本の人口の何割が人生中退になるのでしょう。もしかしたら、高い入学金やら学費を払ってまで入った大学を簡単に辞めてしまう事が「根性無し」、だから「人生中退だ」とでも言うのでしょうか。んなわけあるかい。仮に、努力不足で大学を中退する事を人生中退というのであれば、その後就職や進学に成功したり、闘病していても、大学を中退したときに貼られる「人生中退」というレッテルは消えないのか?ということになります。
また、大半の中退者は経済的原因、病気、他にやりたい事を見つけた等が多く、なんとなく通う意味わかんない~という理由で辞める人は少ないという事実があります。つまり、例外のような理由でやめた人を除けば、大学中退は人生中退ではないのではないかと考えられます。
■中退せず大学を卒業するメリット
それでは逆に、大学を中退せずに卒業するメリットにはどんなものがあるのでしょう。もちろん大学生活で得た「経験」や「学問の知識」も大きなメリットになりますが、ここでは割愛します。
まずパッと思いつくのは「就職」に関する内容なのではないでしょうか。学歴フィルターとも呼ばれる、大卒の条件をクリアする事が出来ます。これにより、大卒が最低条件の職業に就きたくなった時にスタートを切る事が可能になります。また、大卒という枠組に入る事によって、中退状態よりは就職をしやすくなる事が多いです。どうしても中退後にそのまま就職となると、中退理由によっては就職も難しくなってしまう事が多いです。
また、大学生活を謳歌しながら卒業を目指している大学生のなかにはゼミや研究室に所属している人も多いですね。これによって人間関係を構築する事が出来ます。社会性なんていらない、上辺だけの友人ならいらない、卒業だけ出来ればいいと思う人には不要かもしれません。ですが、大学生活で得た人間関係は今後の人生において何かしらのツテや人脈として使う事が出来るかもしれません。
■大学を中退する以外にはどんな方法があるの?
とはいえ、先ほども書きましたが、大学中退を考えている人は、上記で挙げたメリットを天秤にかけなければいけないような「事情」や「理由」を抱えている人がほとんどではないかと思います。大学を中退するというのは最終手段ともいえる手続きです。最終手段とは、どうしても他の方法がない際に使用するものですね。
その前に、大学中退以外の手段として、2つの方法が存在するのでご説明します。
1.休学
1つ目は休学という手続きです。これは実際に私が行っていた手続きですね。内容としては、「1年間、或いは半年間大学に通わなくても在学してていいよ~」といったものです。休学するには、各大学によっても異なりますが大抵は以下のような流れは以下のようになります。
* 教諭(学年の担任のような存在)に休学したい旨を相談する
* 教務課に行き休学届を貰う
* 親に印鑑を貰い、休学期間について相談する。
* 提出する(休学費が必要な際には振り込む)
このような流れで休学となります。次年度がはじまるまでに手続きを行う必要があります。4月に年度がはじまるのであれば、1月位から手続きの準備を始めると、時間に追われずに手続きが出来るのではないでしょうか。この手続きが終了次第、申請した期間の休学期間が与えられます。その間は学校に通う必要はありません。
もし奨学金を借りているのであれば、休止の手続きを行わなければいけません。手続きを行わないと後々にめんどくさい事になります。もしわからなければ、奨学金担当の学生課等に訪ねておきましょう。可能であれば、休学する前に行うと、休学してから大学に行かなくても済みます。
まだ大学に通いたいという意思がある人、もしくは「大学通うの辛い~~!でも通わないといけないから無理にでも通う~~!!」となっている方は半年からの休学も可能ですので、休学の手続きを検討してみてはどうでしょうか。検討するのであれば、休学についての情報を教務課に電話する等を行い、情報収集をしてもよいですね。無理して通ったとして、卒業出来るのか。得られるものはなんなのか。一度考えてみましょう。
2.編入
2つ目は編入という手段があります。大学編入とは、今通っている大学から他の大学等に入学し直す事を言います。編入試験を受けて合格したら、今の大学を中退し、新しい学校へ通い直す制度ですね。基本的には現在通っている大学の単位の一部が認められたり、2年次や3年次に編入する事も可能なため、全て最初からやり直しという訳ではありません。
今通っている大学の勉強内容に違和感を感じてしまった方、他に興味がある内容を勉強したいという方は編入という手段を考えてみてはどうでしょうか。
■大学中退を選択する前に
休学や編入について考えてみたけど、やっぱり自分には大学中退しかない!とお考えの方。人生中退じゃないなら大学中退してもいいのでは?とお考えの方。早まらないでくださいね。中退するのは簡単でも、その後の事について考えてから中退しないと、後々困った事が起きてしまいます。
まず多くの学生が中退する上でやらなければいけない手続きは「奨学金」に関する手続きなのではないでしょうか。「奨学金は借りてないよ」という方はスルーしてください。
奨学金は中退してから7ヶ月後には返還が開始します。もし返還が難しい際には、返還期限猶予、減額返還などの手続きをはやいうちから行っておきましょう。大学を辞める際に「異勤届」というものを提出したりもします。奨学金担当の人にはしつこい位聞いておきましょう。聞いておかないで後日、「そんな手続き知らない!」となって返還が遅れてしまった場合は色々と問題が生じます。
また、中退となると就職を考える人もいますね。中退の場合は就職活動は自分一人で転職サイトや、就職エージェントを使い就職活動を行わなければいけません。そのため、中退後の就職はどうするのか?稼ぎ方は?等は考えておいた方がいいです。
また、病気が原因での中退であれば、どのような治療を行うのか、どのくらいのお金がかかるのか…考えてみても尽きる事はありません。あらかじめ福祉の制度等で適用できるものはないか等確認しておきましょう。
他にも市役所関連の手続きや、税金関連の手続き等もあります。今後の身の振り方を考えてからの中退手続きを行いましょう。
■私が大学を休学→中退するに至るまで
・休学するまで
私がうつを自覚したのは昨年度、大学3年生の冬でした。つまり今は4年生の年になります。2年生の時から発症自体はしていたんですが、その状態をうつであると自覚するのがあまりにも遅かった。大学を4年間で卒業できなくなってからの自覚でした。私が休学に踏み切った理由は本当に単純。「もう4年間で卒業できないの確定なら1年くらい休んでいいでしょ」という理由です。そのくらい思考回路が迷走していた時期でした。
それなりに先生とのコミュニケーションをとっていた事もあり、先生とは休学に関しては相当もめました。具体的に揉めた内容としては、
* 休学した後復学する予定はあるのか
* 休学中どうするのか
* 休学理由は、休学してまで休む事なのか
この3つを先生に説得させないと始まらない休学ライフ。当時はうつ状態マックスだったこと、自分がうつだと認めたくないのにうつで休学しなければいけない等で余裕がなかった事もあり、説得には時間がかかります。とりあえず復学予定はわからん、前向きな姿勢であるとでも言っておきましょう。
この3つは休学する上で考えておかなければいけない点でもあります。それを他人にアウトプットするという作業自体はとても大切なものですので、使えるものは使おう的な姿勢でいきましょう。
また、中退する学年によっては相当引きとめられる事もあります。私は4年生での退学となるため、しぶられましたが私の意思が変わらない事、うつが理由という事で中退を認められました。
・中退を決意するまで
私はとりあえず休学を選んだため、休学期間が明けたらどうするのかを考えなければいけませんでした。具体的には復学して卒業を目指すのか、それとも大学を中退するのかの2択ですね。ここで私は復学した後の事を推定してみました。
まず私は卒業するためにはどうしたらいいのかを考え始めました。卒業可能単位数、卒業研究着手可能な単位数を取得しないで休学をしたため、卒業するためにはその単位数をそれぞれ取らなければいけません。卒業研究着手可能となる単位数を取得してからの卒業研究となります。そのため死ぬ気で単位を取って、研究をして卒業論文を書いたとしても、1年半は大学に通わなければいけない。これが私にとっての最速の大学卒業ルートでした。
ここで私は「1年半では卒業できないだろう」と考えてしまいました。私が大学で単位を取れなくなった原因はうつ状態です。それが完治していない状態で、更に私は理系の大学です。化学の専門知識も薄れている状態。いつ卒業が出来るのだろうか。なんとか卒業しても、下手に留年するのであれば新卒認定もされない。恐らく私は死ぬ気で勉強もバイトも研究もやるだろう。そして精神を殺してしまうであろう。こう考えるのは難しくありませんでした。
使えるかも怪しくなる大卒ブランドを求めて私は、精神を殺してまで卒業したいのか。これを考えたら、私の答えは「いいえ」一択です。誰も精神を2度も殺したくはないです。中退であっても、やり直すのに遅すぎたという事はないと思います。勿論、高卒扱いの就職と大卒扱いの就職では、将来的な年収等で差は出てくるでしょう。それでも私は、私の精神を殺す一因であった大学には戻らないと決意しました。いのちとせいしん大事に。お金で買えない価値がありますからね。
・中退すると決めたらやるべき手続き
中退の手続き自体は非常に簡単です。私の大学の場合を説明しますが、これは大抵どこの大学でも同じだと思います。
* 教務課に退学届を貰いに行く
* 先生と面談しろと言われたら、面談してから再度退学届を貰いに行く
* 自分の署名、印鑑、退学理由等を書く
* 保証人の署名、印鑑を押してもらう
* 病気が原因での退学の際には診断書を提出(1枚)
* 提出し学生証を返還。教授会で承認されると退学承認される。(提出したら実質の退学は完了です)
このような流れで退学の手続きは行われます。退学に関する相談は通っている大学の仲の良い先生や、もし病院に通っているようであれば医者に相談してみるとよいですね。先生との面談は第一声「何をお話すればいいんでしょうか…」という苦笑交じりの発言から始まる円滑なものでした。話す内容は主に、3点。
* 退学に至った経緯
* 現状はどんなかんじなのか
* 退学後はどのような生活を送るのか
これらを中心としてお話をしました。
私の場合では、以下のような受け答えをしました
* 鬱です。知識が消えかけているのに、大学に戻って授業を受け卒業研究までこなせそうにないです。
* 現状は在宅で文章書いています。
* 退学後はアルバイトを週2.3位からはじめてゆっくり社会復帰していこうと思う。やりたい事は決まっている。
このような感じのお話をしました。自分でしっかりと話す内容について考えておけば15分もお話にはかからないのではないでしょうか。このようなお話を2/8にして、2/14に退学届を出し、2017年度でせりは4年生という学年で、大学を退学しました。
■結論として、大学中退は人生中退なのか?
さて、一番最初に投じた私の疑問を思い出してみましょう。
「大学を中退するなんて、人生終わったな」
本当に終わりなのでしょうか。私は人生終わっていないんじゃないかな、と思うのです。「人生終わり」ってなんやねんとも考えます。冒頭に書いたように就職できない事が終わりなのかもしれません。多くの人は憲法で定められている就労の義務を果たしていますし、それが当然として受け入れられているのが現在の社会です。
それでも、無理してまで大学を卒業して、無理やり就職活動をして。その先には何が残るのでしょうか。私は自分の場合で考えたら、その先には死を選ぶルートしか見えませんでした。大学を中退する事によって就職できない。そんな事はありません。そもそも就労の義務って働け税金収めろよって事です。それなら無理のない範囲で適度に働いた方が生活の質も向上します。少なくとも、「大学を中退するなんて、人生終わったな」という方よりは、視野も広くなるのではないでしょうか。
また、将来的に想定出来る死と大学中退。どちらを選ぶとしたら私は大学中退でした。私はまだ生きていたい。私は承認欲求が非常に強い人間です。なので、生きた先は味気ない人生であろうとも、私が生きた痕跡を残したい。そう考えました。
勿論大学を卒業する事によるメリットは存在しますし、それは何にも代えがたいものでしょう。言い方を変えたら、大学を中退したらそのメリットを失います。これらのメリットの損失について考えてから中退するか卒業するか決めてみたらどうでしょうか。少なくとも一人で結論を出さない事をお勧めします。
どうしても大学に行きたくなくて仕方ない、卒業したいのかも分からない人は一度半年でも休学してみたらどうでしょうか。これは裏ワザともいえるようなものですが、大学は基本的に8年間までは在籍が可能です。この8年間に休学を挟む事も可能です。そのため、休学を挟みつつ、卒業可能単位数を8年間で取り卒業するという方法もあります。
考えがまとまらない中で無理に結論を出す必要はありません。大切なのは自分の精神身体を尊重する事です。大学を中退するしないに問わず、人生終わったかどうかは自分で考える事で周りにどうこう言われるようなものではありません。みんな生きよう。中退したって死なないです。私は今こうして生きています。
さて、このような所で終わりにしようと思います。大学中退≠人生中退という事を覚えていただけたらそれで十分です。あ、大学中退したばかりで収入源が乏しいので心優しい方はこちらの欲しい物リスト(http://amzn.asia/gQLT1dQ)からぽちっとしていただけたらとか思ったりします。もしよかったらTwitterの方もフォローしてくださいね。
以上、せりでした!読んでくださってありがとうございます。
【執筆者】
せり さん
【プロフィール】
眼鏡がおいしそうと言われた変態とメンヘラを引き寄せるメンヘラキャバ嬢
Twitter:@seri_nonnon
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