「精神障害と就労」についてテレビで話してきて思ったこと
昨日、生放送ニュース番組「AbemaPrime」という番組で、「精神障害と就労」をテーマにお話してきました。
テレビ出演とか完全にはじめてでして、しかも生放送、顔出し(初)、本名出し(これも初)ということで、死ぬほど緊張したのですが 、スタッフのみなさんや共演者のみなさんのご配慮もあり、なんとか最期まで喋り通すことができました。関係者のみなさん、本当にありがとうございます。
またメンヘラ.jpを経由して取材に協力してくださったよう子さん(仮名)、言いづらいこであろう個人的な事情まで赤裸々にお話して くださり、本当にありがとうございました。よう子さんのVTRが流れてる最中「そんな事情まで話してくれるんや…」「(そんな事情まで)話そうと思うほど、当事者にとっては切迫した悩みなんだってことなんでしょうね」などと共演者の方が会話してて、その後の活発な議論の切り口になってくれたと思います。改めて、ありがとうございます。
さて、本稿はテレビで「障害者と就職」について話すという貴重な体験をさせて頂いた僕が、色々と忘れないうちに思ったことなどを書き留めておこうという試みです。
出演して感じたことなどをつらつらと書かせて頂ければと思います。
あの放送局、あたまおかしいです(褒めてる)。
というのも、僕の出番は最初の予定では10分とかそのくらいの予定だったんですよ。特に当日は山口組のニュースが注目を浴び、前半が長くなるだろうことも予測されていて、担当の方からは「6分くらいになると思います」とも言われてたんですね。
でも、実際は40分ほどの尺を頂きまして、これはもう当初の予定の2倍以上(!)です。
共演者の方が「精神障害と就労」というテーマに関心を抱いてくれ、議論が活発化した。それを機敏に捉えて急遽枠を拡大したのだと思うのですが、これは秒単位でスケジュールが決まっている地上波では絶対できないことで、「生放送だから・ネットだからできることをやろう」というAbemaTVの情熱をダイレクトに感じました。
そもそも「精神障害と就労」というテーマを生放送でやろうというのも狂ってますし、炎上とゲスキャラに定評のある村本大輔さんやインターネットから拾ってきた完全な素人(僕)を主力として投入しようというのもさらに狂ってます。
「テレビ」という形式の、本当にギリギリのラインを攻めてるなと思いました。
出演してがぜん興味が湧いてきたので、これからも「炎上しないかな」とか思いつつヲチろうと思います。アベマがんばれ。
番組中に出てきたスライドや、共演者の方のご質問を聞くと「精神障害者」という存在への理解はまだまだこれからなのだな、と考えさせられる場面もありました。
そもそも「精神障害者とは何か」というスライドが必要なこと自体が、多くの視聴者にとって精神障害がまだまだ未知のものである現状を反映していると思います(身体障害の話題なら「身体障害とは何か?」のスライドは恐らく不要でしょう)。
「精神障害って治るんですか?」という素朴な質問も頂きました。
この質問は、寛解可能な疾患と生得的な障害が入り混じる精神障害というジャンルの理解の難しさを象徴するような質問だと思います。
番組中で「精神障害は多様、本当に色々ある」ということを繰り返しお伝えしましたが、この問題への一般の認知はまだまだこれからであるし、それについての努力は必要だろうと改めて思いました。
また、いくつかのスライドにも少々気になる点がありました。
例えば「てんかん」についてのスライド、発作で倒れるひとのイラストが添えられていましたが、現在てんかんの多くは安価かつ安定的にコントロール可能で「発作でひんぱんに倒れる」という昔のイメージとは少し違ったものになっています。当事者の方はかなり違和感を感じたようです。

https://twitter.com/mamiuwaterize/status/859033187887988740
他にも、障害者雇用に関する誤解(均等な待遇・職務が前提であることを知らない)など、ベテランのメンヘラからすると「ん?」と思う箇所が何点かありました。
番組スタッフさんは情報の正確性にかなり気を使っており、リサーチにも相当の時間と労力を割いている印象でした(僕もめっちゃ電話で質問攻めされました)ので、これは番組製作上のリソースの限界と言えると思います。
精神障害の就労にまつわる困難は、「症状が極めて多様であること」と「症状が目に見えないこと」に大きな原因があると思います。
健常者側が理解しようと誠実に努力しても、中々十分な結果を得られにくい。この情報的断絶については、健常者側だけでなく、精神障害者側も意識して取り組むべき課題であると僕は考えています。番組内で強調したように「コミュニケーション」が必要になってくるのでしょう。それにはメディアの役割も大きいはずです。当事者メディアとして、メンヘラ.jpも微力ながら寄与できればと考えています。
以上、番組に出て思ったことなどをつらつらとまとめさせて頂きました。
「精神障害」という困難なテーマに対して、世間の理解が未だ十分でないことは、上で述べたように純然たる現実です。
恐らく精神障害者の雇用が義務化された後も、しばらくは情報ギャップから少なくない摩擦が生まれてしまうと思います。
しかし、今回のAbemaTVのように「理解しよう」とする人たちがおり、「説明しよう」とする当事者や支援者がいる限り、いつの日かこの摩擦も少なくなっていくのではないか、と僕は楽観的に考えています。
精神障害者、400万人もいるんですから。慌てず、恐れず、少しずつ社会とより良い関係を築いていきましょう。
それはきっと、社会全体にとっても良いことであると思います。
【執筆者】
わかり手
【プロフィール】
メンヘラ.jpのライター兼編集者。
メンヘラなりに前向きに生きていきたい。好きなメンヘラ作家は永田カビ先生。
Twitter:@ganbare_zinrui
テレビ出演とか完全にはじめてでして、しかも生放送、顔出し(初)、本名出し(これも初)ということで、死ぬほど緊張したのですが 、スタッフのみなさんや共演者のみなさんのご配慮もあり、なんとか最期まで喋り通すことができました。関係者のみなさん、本当にありがとうございます。
またメンヘラ.jpを経由して取材に協力してくださったよう子さん(仮名)、言いづらいこであろう個人的な事情まで赤裸々にお話して くださり、本当にありがとうございました。よう子さんのVTRが流れてる最中「そんな事情まで話してくれるんや…」「(そんな事情まで)話そうと思うほど、当事者にとっては切迫した悩みなんだってことなんでしょうね」などと共演者の方が会話してて、その後の活発な議論の切り口になってくれたと思います。改めて、ありがとうございます。
さて、本稿はテレビで「障害者と就職」について話すという貴重な体験をさせて頂いた僕が、色々と忘れないうちに思ったことなどを書き留めておこうという試みです。
出演して感じたことなどをつらつらと書かせて頂ければと思います。
AbemaTV、めっちゃ攻めてる
あの放送局、あたまおかしいです(褒めてる)。
というのも、僕の出番は最初の予定では10分とかそのくらいの予定だったんですよ。特に当日は山口組のニュースが注目を浴び、前半が長くなるだろうことも予測されていて、担当の方からは「6分くらいになると思います」とも言われてたんですね。
でも、実際は40分ほどの尺を頂きまして、これはもう当初の予定の2倍以上(!)です。
共演者の方が「精神障害と就労」というテーマに関心を抱いてくれ、議論が活発化した。それを機敏に捉えて急遽枠を拡大したのだと思うのですが、これは秒単位でスケジュールが決まっている地上波では絶対できないことで、「生放送だから・ネットだからできることをやろう」というAbemaTVの情熱をダイレクトに感じました。
そもそも「精神障害と就労」というテーマを生放送でやろうというのも狂ってますし、炎上とゲスキャラに定評のある村本大輔さんやインターネットから拾ってきた完全な素人(僕)を主力として投入しようというのもさらに狂ってます。
「テレビ」という形式の、本当にギリギリのラインを攻めてるなと思いました。
出演してがぜん興味が湧いてきたので、これからも「炎上しないかな」とか思いつつヲチろうと思います。アベマがんばれ。
精神障害者への理解は、まだまだこれから
番組中に出てきたスライドや、共演者の方のご質問を聞くと「精神障害者」という存在への理解はまだまだこれからなのだな、と考えさせられる場面もありました。
そもそも「精神障害者とは何か」というスライドが必要なこと自体が、多くの視聴者にとって精神障害がまだまだ未知のものである現状を反映していると思います(身体障害の話題なら「身体障害とは何か?」のスライドは恐らく不要でしょう)。
「精神障害って治るんですか?」という素朴な質問も頂きました。
この質問は、寛解可能な疾患と生得的な障害が入り混じる精神障害というジャンルの理解の難しさを象徴するような質問だと思います。
番組中で「精神障害は多様、本当に色々ある」ということを繰り返しお伝えしましたが、この問題への一般の認知はまだまだこれからであるし、それについての努力は必要だろうと改めて思いました。
また、いくつかのスライドにも少々気になる点がありました。
例えば「てんかん」についてのスライド、発作で倒れるひとのイラストが添えられていましたが、現在てんかんの多くは安価かつ安定的にコントロール可能で「発作でひんぱんに倒れる」という昔のイメージとは少し違ったものになっています。当事者の方はかなり違和感を感じたようです。

https://twitter.com/mamiuwaterize/status/859033187887988740
他にも、障害者雇用に関する誤解(均等な待遇・職務が前提であることを知らない)など、ベテランのメンヘラからすると「ん?」と思う箇所が何点かありました。
番組スタッフさんは情報の正確性にかなり気を使っており、リサーチにも相当の時間と労力を割いている印象でした(僕もめっちゃ電話で質問攻めされました)ので、これは番組製作上のリソースの限界と言えると思います。
精神障害の就労にまつわる困難は、「症状が極めて多様であること」と「症状が目に見えないこと」に大きな原因があると思います。
健常者側が理解しようと誠実に努力しても、中々十分な結果を得られにくい。この情報的断絶については、健常者側だけでなく、精神障害者側も意識して取り組むべき課題であると僕は考えています。番組内で強調したように「コミュニケーション」が必要になってくるのでしょう。それにはメディアの役割も大きいはずです。当事者メディアとして、メンヘラ.jpも微力ながら寄与できればと考えています。
課題は多いが希望もある
以上、番組に出て思ったことなどをつらつらとまとめさせて頂きました。
「精神障害」という困難なテーマに対して、世間の理解が未だ十分でないことは、上で述べたように純然たる現実です。
恐らく精神障害者の雇用が義務化された後も、しばらくは情報ギャップから少なくない摩擦が生まれてしまうと思います。
しかし、今回のAbemaTVのように「理解しよう」とする人たちがおり、「説明しよう」とする当事者や支援者がいる限り、いつの日かこの摩擦も少なくなっていくのではないか、と僕は楽観的に考えています。
精神障害者、400万人もいるんですから。慌てず、恐れず、少しずつ社会とより良い関係を築いていきましょう。
それはきっと、社会全体にとっても良いことであると思います。
【執筆者】
わかり手
【プロフィール】
メンヘラ.jpのライター兼編集者。
メンヘラなりに前向きに生きていきたい。好きなメンヘラ作家は永田カビ先生。
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