実父からの性的虐待 父親に擬態した男が残した傷跡について

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注:この記事には過激な性表現が含まれています

私の父は典型的なクズだった。

まともに仕事をせず、借金をし、愛人を作り、些細なことで腹を立てては物を投げつけた挙句殴るわ蹴るわエアガンを乱射するわ。母に「離婚してくれ」と懇願したことも一度や二度じゃない。

とはいえ私が高校に入学する頃には、父は愛人の家に泊まる日が増え、妹は運動部で全国大会に出るまでになり、母はそんな妹につきっきりで、皆が同じ屋根の下で生活しながらも程々の距離感を保ちそれなりに平穏に過ごせるようになっていた。相変わらず家庭そのものは不安定な状態ではあったが、家を出るまでの日々をやり過ごす為にはそれは十分なものに思えた。

その日は妹の部活動の遠征があって自宅には私と父親しかいなかった。父は私が用意した夕食を珍しく褒めながら食べた。悪い気はしなかったがそれ以上のことは何もない。食事の後、私は風呂も早々に済ませ自室に篭って過ごした。父とふたりきりで過ごす時間など私には苦痛でしかなかったからだ。

その日布団に入ったのは日付が変わってからだったように思う。寝付きがよく一度眠ると滅多と目を覚まさず朝まで熟睡する私のことだ、恐らく1時をまわる頃には完全に眠っていただろう。だがその日、違和感を感じて深夜に目を覚ました。

仰向けに寝ていた私の上に、父がいた。

「何か用?」

我ながらマヌケな問いかけだったと思う。だが寝起きで頭が回らなかったし、何より状況が飲み込めなかった。何故だ、どうしてお前がここにいるんだ。

次の瞬間、平手で思い切り頬を打たれた。目の奥に火花が散るような衝撃だった。激しく混乱した。そのまま布団をめくられ下半身の衣服を乱暴に剥ぎ取られた。声が出なかった。体が動かなかった。

その後のことは殆ど覚えていない。

朝起きた時には父の姿はどこにもなく、私はひとりきりだった。はっきりと覚えているのは「言ったらどうなるかわかるよな?」という父の声。そして衣服を身に着けないままの下半身と下腹部に残る鈍痛、流れ出てきた体液。自分の身に何が起きたかを理解するには十分過ぎた。涙は出なかった。

その日も私は普通に学校へ行った。次の日も、その次の日も。バイトにも休まず出た。母と妹が帰ってきた後も何事もなかったかのように振る舞った。いつも通りの長女であり続けた。

父はわかっていたのだろう、私が家族に話さないであろうことを。それも、自分の身に起きたことを嫌悪するからではなく、この「家庭」という居場所を壊す勇気がないが故であることを。自分の理不尽な振る舞いに黙って耐え受け入れているこの女にはそれが出来ないであろうことをわかっていたのだろう。

「言ったらどうなるかわかるよな?」

それは決して「誰かに言ったらただじゃおかない」という脅しではなかったのだ。

その後もあちらこちらに綻びがありながらも、この家庭は何とか形を保ち続け、私は社会人となり家を出た。今も時折実家に顔を出すありふれた娘であり続けている。

違う場所では乱れた生活をしていたりもしたが、それはまた別の話。

普通、こういう目に遭った人は性に対して臆病になったり嫌悪したりするものなのだろうと勝手に想像している。その結果異性に対しても奥手になり、静かに穏やかにあろうとするのだろうな、と。

私はそうではなかった。むしろ逆だった。

高校生…それこそ惚れた腫れたで浮かれる年頃だ。ちょっと仲良くなればすぐその気になって告白したりされたりなんてことも日常茶飯事だった。顔は十人並みだと思うが、人より少しばかり胸の大きかった私は盛の着いた男子高校生にとっては獲物として不足はなかったのだろう。ほんのり好意を滲ませただけで面白い程に簡単に告白された。その殆どが「彼女」という存在が欲しいだけだということも、その先に見据えたセックスこそが主目的であることもわかった上で、私はそれを簡単に受け入れた。私自身、セックスが出来ればどうだって良かったからだ。

求められるままにセックスした。相手が喜んている顔を見るのは嫌いじゃなかった。セックスの間降り注ぐ「好きだ」「愛してる」という自己陶酔にも似た言葉とこんな私でも欲されているという事実が、少しだけ私を癒やしてくれる気がした。そういう意味で私はセックスに依存していたのだろう。だが相手の束縛や気持ちが重たく煩わしく思えてきたら別れを切り出して、次の相手を探した。ヤリ捨てと何が違うのか…我ながら酷い女だと思う。

当時、援助交際が社会問題になっていた。女子高生というだけで価値を見出された時代だった。周囲でも特定不特定の「パパ」がいる子がいて、私達の暮らしの中には当たり前のように売春があった。

私もその真似事をした。夜に繁華街近くを制服で歩くだけで声をかけられ、相手には事欠かなかった。正直、こんなことに価値を見出して金を払ってくれるなんてありがたいとすら思った。その一方で、夢中になって腰を振った後に「こんなことしてちゃ駄目だよ」と説教してくるおっさんを心の底から馬鹿にしていた。彼らの射精代は私の生活費と学費になった。

セックスを気持ちいいと思ったことなど一度もなかった。最低限濡れてさえいれば相手は勝手に感じていると思ってくれる。途中で乾いたって自分がイければお構いなしなのだ。私はバックでがんがん突かれながら相手に気取られないまま電話で話せる程度には何も感じなかった。勿論、流石にしたことはなかったが。

ただひたすら、これは何でもないことだと思いたかった。何の価値のないことにしたかった。誰でも誰とでもしていることで、特別なことではないのだと。忌々しい経験を数ある経験のうちのひとつに、遠い遠い過去にしてしまいたかった。悪戯に経験人数が増え、男を悦ばせる術と感じている演技だけが無駄に上達していった。

それは余計に相手を喜ばせた。私も、それで良かった。

ずっとそれで良かった。それで良いと思っていた。

父からの性的虐待の後、今思えば半ば自暴自棄とも言える性生活を続けていた私にもある種人並みの、しかし転機とも呼べる機会が訪れた。

こんな私が、本気で人を好きになったのだ。

まるで中学生のような片思いの末、初めてセックスした時には今まで感じたことのない充足感があった。「心まで繋がると本当に気持ちいい」なんて綺麗事だと思っていたのに。間違いなく私は幸せだった。

幸せになったと同時に、その喜びは私の傷を抉るものになった。これが特別な人とする行為であるということを否が応でも実感させられた。あの日私の身に起きたことがどれ程異常であったかを。どうでもいい相手としてきたことがどれだけ私の価値を下げるものであったかを。彼が私を大切に扱ってくれる度に、実親に大切にされなかった過去を、私が私自身を大切にしてこなかったという突きつけられた。

そんな時、長らく会っていなかった父が倒れたという連絡が来た。顔を出すだけでいいからと母に説得されて渋々病院へ行くと、しなびて覇気の無くなった父の姿があった。「よく来てくれた、ありがとう」弱々しい声でそんなことを言っていた気がする。この期に及んで父親面するのか、と怒りを通り越して呆れ返った。

私はひと言も発さず病院を後にした。ずっと罵りたい気持ちがあったのに何も言えなかった。包丁を持って枕元に立った事も、自分の首に電気コードを掛けた夜もあったのに。あの夜、あれさえなければ私だってもっと違っていられたかもしれないのに。思うままにぶつけてしまえば良かったのだろうが、擬態していた意気地のない私にはそれすらも出来なかった。

父はその数日後、愛人に看取られて息を引き取った。

私は彼の指が私に触れた後、あの日私に触れた父の事を想像してしまうようになった。何を思っていたのか、どういうつもりだったのか、いつから私をそういう目で見ていたのか。

初潮が早く発育していた私が拒んでも尚一緒に風呂に入りたがったことを思い出して吐き気がした。そこに一緒に写る父を見たくなくて、幼い頃の自分のアルバムを見ることが出来なくなった。いつから父は私の父でなかったのだろう。

恨み言をぶつける相手を失い、私は自分の中に渦巻くものを抱え込む他なくなってしまった。いつか、いつかという思いが私を支えていたことに気づいた時にはもう遅かったのだ。

私は大好きな彼と、大好きなまま別れることを決意した。

そこからの私は男性にとって「気さくな女友達」であり続けようと努力した。色っぽい問いかけには色気皆無の返しを心がけ、下ネタにも笑って応じ、レイプという単語も平気で口にした。近親相姦という言葉だけは今も聞くだけで胃が締め付けられるような感じがするけれど。

そうして独りでいることにも慣れ、それなりに楽しく過ごしてきた。そんな中私はネットを介してある男性と知り合った。真面目な話も他愛のない話も出来る、聡明で優しい人だ。軽口を叩いたり冗談を言い合っているうちに、私は彼にふわっとした好意を抱いてしまっていた。

でも、ネット上だけの付き合いだし。そういう気の緩みがあったのは間違いない。久しぶりに交わす好意を匂わせるやり取りは楽しくて心地良かった。ここでだけだから、ここで味わうだけだからと徐々にエスカレートしていった。相手の気持ちも考えずに。

やがて、彼は私にはっきりと好意を寄せてくれるようになった。私もはっきりと彼を好きになっていた。

幸せなのに後悔した。触れ合いたいと願っても、それを叶えてもきっと同じことを繰り返すだけ…わかっていた癖に、ネット上だけだからという甘い考えで恋愛の美味しい所だけ摘もうとした。その結果きっと私は彼を傷つけるのだ。

彼はこんな私に毎日のように「愛してる」「会いに行きたい」と言ってくれる。その全てが堪らなく嬉しくて、どうしようもなく悲しくて、その都度私は泣きたくなる。

私は身勝手だ。

会いたい、抱きしめられたいと望みそれを口にしながら、会いに来ようとする彼の話をはぐらかしてしまう。

素性を明かし、愛の言葉を囁いてくれる彼をいつまでも繋ぎ止めておきたいと思う一方で、私に嫌気が差して彼の方から振ってくれはしないかと心の何処かで願ってしまう。

少しでも早く離れる努力をすべきだとわかっていながら、夜毎彼に話しかけてしまう。

この期に及んでまだ美味しい所取りをしようとしている。卑怯で、汚くて、どうしようもなく身勝手だ。

きっと私は今夜も彼の声が聞きたくて、パソコンを立ち上げてしまうんだろう。

「会って、今の全てを壊してしまうのが怖い」私は彼にそう答えた。

その本当の意味を、私はまだ彼に話せないままでいる。



【執筆者】
mimosa さん

【プロフィール】
心療内科を受信することも出来ずだらだらと生き延びてきただけの女。それでもまだ生きている。


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