クラスジャパン・プロジェクトの目指すもの

コラム 不登校 わかり手 クラスジャパン

不登校の小中学校に対しネットを通じた学習支援を謳う「クラスジャパン・プロジェクト」が話題となっている。

DeNA、Classiなど名だたる大企業から協賛を受ける一方で、「全ての不登校児を学校に戻す」というミッションが炎上したり、ミッションに対する釈明文が出たり、その釈明文を書いた理事の今井紀明氏の名前がいつの間にか公式サイトから消えたりと、未だに二転三転の様相を見せている。

クラスジャパン・プロジェクトの真意はどこにあるのか。

そのプロジェクトは、本当に不登校当事者にとって良いものなのか。

本シリーズ【特集 クラスジャパン】では、関係者に対する取材を通して、この問題について考えていきたいと思っている。

本シリーズは、クラスジャパン・プロジェクト理事長の中島武氏への取材を記事化したものである。取材に応じて頂いた関係各位に、改めて御礼を申し上げたい。

【特集 クラスジャパン】
・なぜドワンゴは高校を作ったのか 仕掛け人に聞く「N高」設立の経緯
・クラスジャパン・プロジェクトの基は「教育機会確保法」
・クラスジャパン「原田メゾッド」は不登校児童をケアできるか
・クラスジャパン・プロジェクトの目指すもの
・精神科医 斎藤環氏に聞く「クラスジャパン」の問題点

 

プレスリリースの炎上

メンヘラ.jp
ここまでで、中島先理事長が創立メンバーとして関わて来たN高のお話であるとか、今回のクラスジャパン・プロジェクトの基となっている教育機会確保法のお話であるとか、不登校児童の心のケアの基本方針である「原田メゾッド」についてですとか、色々なお話を伺わせて頂きました。最後に、今回のプレスリリースの炎上について、どのようなお考えを持ってらっしゃるか、伺えればと思います。

中島氏
ネット上で批判っていう話をさっきから言ってるけども、批判している人たちっていうのは明らかにフリースクール系のひとたちなんですよ。

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精神科医の方なんかもかなり強く批判されてたと思いますが…

中島氏
精神科医の人もフリースクールに非常に近しい人ばかりですよ。例えば、斎藤環先生、彼なんかフリースクールに非常に近しい精神科医の先生だからね、あの先生は。要はフリースクールとは何かっていうと、進路よりも心のケアを大事にしましょうっていうのはフリースクールの考え。それに非常に近い考え方が斎藤環先生。だから間違ってないねん、先生いってはる、心のケアが大事ということは。われわれもそういってんねんやから。でも先生、それだけでいいんですか、心のケアだけでいいんですか、進路についてはいいんですかっていうことをわれわれはいっているだけで。

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心のケアだけでなく、高校進学であるだとかのキャリアの問題を考えるというところが、批判勢力であった斎藤環先生をはじめとするフリースクールの人たちには欠けていたと?

中島氏
いや、欠けてるかどうかはしらん

メンヘラ.jp
でも、今現に…。

中島氏
それは。あの人たちがいってはるのは、そこをいってる。学校復帰に引っかかってるっていうのはそういうことやんか、それは。欠けてるかどうかは知らんけれども、そこにすごく意識を持たれたっていうことやわな、そこは。

メンヘラ.jp
でもクラスジャパンは進路であるだとかのキャリア形成を第一に考えますよね?

中島氏
違う。要は、子どもも親も今自分が置かれている状況が認められているかどうかって非常に大きいわけよ。学校にいってない子どもだよ、小学校、中学生、学校にいってなくて出席にも認められていません、成績も認められていませんってなったら、誰からも自分は評価されていない。要は存在として認められていないわけ。これが一番不安なわけよ。だから家にいながらでも、これは学校が認めていますよっていうふうに安心を与えてあげたいと。

今やってる勉強はこれ、学校が認めている勉強だよって。今やっているクラスルーム、ホームルームっていうのも、これは学校が認めてるよっていうふうに言うと、子どもは毎日生きてることが学校に認められている、それは認めてほしいとか認められたくないとかじゃなくて、要は認められている存在なんだよっていうようなことが大きいと思っている、それは。

だから何も進路の話だけじゃない。それは子どもたちには難しい。親御さんにはわかる。子どもに進路進路って言ってもわからない。でも、今気になっていることは学校にいっていることと全くおんなじように大人は認めているっていうことを言ってあげることが子どもは大きいと思ってる。これは子ども、必ず伝わる。これはN高校の子どもたちも全員伝わってる。不安は不安や。今認められていないっていう不安がある。リストカットするのみんなそうやで、不安やねん。すごーく孤独、孤立になってくる。要は無視されてるんちゃう、社会的に無視されてるんじゃないかなっていうのが一番不安、それはね。

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ただ、それはやはりセルフスティグマの問題なので、まさにその自分が認められてて、私は認められてるみたいな気持ちを持つためには、当事者によって様々な方法があると思うんですね。中島理事長のおっしゃるように、「進路としてちゃんと安定した進路がある場だから安心です」っていうことでセルフスティグマを脱せる方もいらっしゃいますが、逆に進路とか関係なく「人間は人間でいいんだ」みたいな方向で自己肯定をしたい人もいる。そこでどうしても、何ていうか、その人間として肯定するみたいな人にとっては何か「進路としてしっかりしていないと自己を肯定できないじゃないですか」って言われるのはすごく嫌な気持ちになる。

中島氏
いや、わかるの、言ってることはわかるけども、じゃあ本当にそれ3年後も言ってくださいねって、そこの責任持ちよって言ってんねん、俺、それは。いや、それはいいよ、今それ言うけれども、本当にその子の将来、もう本当にそれって耳障りが言いやすい。われわれもそれ一番言いやすいよ。いいよいいよって、将来のこと考えんで、今いいから、大切にしようよって、今を大切にしたらいいよっていうのは言いやすい、一番。これ楽やん、だって、悪いけども、それは。

でも、それはずーっと学校やってたけども、そんなこと言ってたらその子、将来がないねん。それが一番学校関係者がわかってるわけよ、義務教育の関係者も高等学校という教育基本法一条項の高等学校の先生方はみんなわかってる。だから厳しいことも言うわけよ、将来に向けて。だからそれを、フリースクールの先生方だとかは本当の責任を持ちよっていうことが言いたい。責任持てへんやったら言うなよって。言うんやったら最初だけ言って、少ーし元気になってきたら、そろそろ将来についての話をちょっと耳痛いことも少しずつ言い、その言い方はそれぞれの状況によってあるでしょって言ってる。それは個々の先生方の力量によって当事者の気持ちにならずに言うっていうことはそれは間違ってるよなと思うわけ。だから当事者意識、当事者意識それぞれがわかりにくいから、まずは原田メゾッドで定性的、定量的に当事者意識をマッピングしましょう。

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当事者意識を掴むというのは、臨床場面でも最も難しい点と言われています。原田メゾッドでそれができるのでしょうか。

中島氏
難しいところや。もちろん、原田メゾッドが100%やとは思わんで。思わんけども、何かの軸がないとできないよ。そっからじゃないと先に進んでいかない。今までのフリースクールみたいに個人力、個人力って、やっぱり教育っていうのは個々の先生の力量やっていってたら進まへん。

だから最初は「仕組み」を作っていく。で、こっからどんどん変えていきましょうと。だからこの議論しましょうっていう話よ。だから学校へ復帰する進路がいいとか、今の子どもたちのケアをするのがいいって、こんな議論はもう違うでしょ。両方必要っていうのみんなわかってるでしょ。だから両方必要やというその必要なものをいかに標準化していくかっていうことを議論しましょうっていう、そういう問題提起やりたいわけ、クラスジャパンは、われわれは。

そしたら何が起こるかっていうと、学校関係者。今度は教育現場に小学校、中学校の先生たちが今学校にきている子どもたちに対してもちょっと考えないとだめなんじゃないかなと、今不登校対策は不登校の子どもたちの今の対症療法とともに根本的なことを何かないかなって考えられているわけよ。これは教育関係者だけじゃなくて、その学術関係者もやられている。でも、やっぱり学校の先生が本当は考えないとだめ、そこは。

そのときに、今回クラスジャパンをやることによって、不登校20万人のうちに少なくとも1万人、2万人、5万人、10万人が本当にこれで元気になってくるんであったら、自宅にいながらでも元気になるやんっていうのが学校の先生方がわかったら、学校の教室の中でもちょっと考える必要があるんじゃないかなっていうようなことが、本質的な学校教育改革につながっていく。だから教育改革はここでは収まらん。これはやっぱり補完よ、あくまで不登校っていうのは。

でも、教育改革やろうと思うと、本丸にはなかなか直接入れないから、まずは不登校対策で、それも仕組みでやりながら成果を出して、本丸の先生方をちょっと一緒に考えようやっていうようなものに持っていきたい。そのときに企業が一緒になってやりますよ、自分たちは成果を出していくよと、それぞれの教材使ってよと、数値化出していくよと。これをもってエビデンスに持っていこうよと、みんなに。教育委員会に持ってくる、文科省いこうよ、学校現場持っていこうよと、どう、自宅にいながらでもこんなに子どもたち元気になっている指標があるやん。じゃあ学校の中でも少し、ちょっと考えていきませんかっていうのに変えていきたいわけよ。そこまで持っていきたい。ちょっと先が長いねん、ここまで言うと。

メンヘラ.jp
なるほど…。

中島氏
いきたいねん。だってみんなが思ってる、今の学校現場ってやっぱり60年間変わってないから、何か変わらないとだめかな。でも、変わらないねんって、今のままでずーっとやってたら。だから、何かから変えていかなあかん。そうすると、学校の先生が今自分たちがケアをしにくい子どもたちを、われわれがそれを受けて変えていくことでしか見せることできひん、と思うわけですよ。

メンヘラ.jp
クラスジャパンの本当に目指すものは不登校支援だけではない。学校教育そのもの、その本丸に本当は切り込んでいきたい、ということですね。

熱いお志を語って頂きました。中島理事長のお言葉は、なるべくそのまま改変せず、話ことばのまま記事にさせていただこうと思います。

メンヘラ.jpは当事者だけでなく、医療関係者、精神保健の支援者、教育関係者など、様々な方がご覧になられているメディアです。中島理事長のお言葉がどのように響くか、我々も注目しています。本日はありがとうございました。

次回に続く

【特集 クラスジャパン】
・なぜドワンゴは高校を作ったのか 仕掛け人に聞く「N高」設立の経緯
・クラスジャパン・プロジェクトの基は「教育機会確保法」
・クラスジャパン「原田メゾッド」は不登校児童をケアできるか
・クラスジャパン・プロジェクトの目指すもの
・精神科医 斎藤環氏に聞く「クラスジャパン」の問題点


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