中小企業で働く私が感じる、発達障害者が「配慮」を受けることの難しさ

体験談 発達障害 オープン就労 白菜

皆さんこんにちは、白菜と申します。私はADHDの診断を受け、ASD傾向も指摘されているアラサー男です。

就職面接では診断の事実をオープンにせず、都内の中小企業(従業員40~50名)に一般枠(正規雇用)で採用され、2年目に障害を開示、一般枠のまま働き続けています。現在6年目ですが、「発達障害への理解があるからと言って適切な配慮がなされるとは限らない」という厳然たる事実を、嫌というほど噛みしめています。

そんな私の実情を暇つぶしがてら読んでいただければと思い、投稿させていただきました。どなたかの参考になれば幸いです。

 

私は入社2年目の夏、業務への過集中と、さらに上司(課長)の度重なる方針変更や曖昧な指示によるストレスが原因で、2度ほど業務中に倒れました。これを機に、思い切って障害を開示しました。入社時点では障害のことは絶対に開示しないつもりでした。障害開示を思い立った際も、解雇を覚悟の上でした。

しかし、人事と上司の上司(部長)に診断の事実を明かしたところ、彼らは拍子抜けするほどADHDやASDへの「理解」が深く、私の得意なことと苦手なこと、困り事などを丁寧に聴いてくれました。部長からは「今まで配慮できず申し訳なかった」とまで言われました。その背景には、弊社で扱う商品の中に、医療従事者向けの発達障害関連商品があるという特殊な事情も関係していただろうと推測します。

ですが、必ずしも「理解」が適切な配慮につながるというわけではありません。私はあくまで人事、上司にのみ障害を開示したつもりだったのですが、その翌々日に回された回覧文書で、私が発達障害であり配慮が必要な人間である旨が全社員に伝達されました。

当時の法令に照らしてもアウトな事案だと思うのですが、全社的に障害が知らされたことで、「就業上の措置」が取られるようになりました。例えば、①遅刻について他の社員より多少大目に見る、②話し方(早口)や歩き方(大股で早歩きする)といった「態度」は個性として認める、③3カ月に1回は3日以上連続した休暇を取れるように業務を調整する……等々です。

さらに、部長の「理解」により、新商品開発会議などの会議には部署の代表者として私が呼ばれるようになり、アイデアの独創性や発想力を買ってもらえるようになりました。

ただし、「理解」は本当に人それぞれで、直属上司である課長は私が発達障害であると分かると「真っ当な大人である私があなたのことを判断する」と宣言し、私独自の裁量で仕事を進めることを認めなくなり、障害開示前に比べると責任もやりがいも小さい仕事を任されるようになりました(2カ月ほどで部長により是正されましたが)。

また、年配の社員の中には、ADHDやASDをカナー型自閉症や知的障害と混同して捉えている方もおり、「障害だなんて嘘を吐いてまで楽をしようなんて卑怯だ」と言われたこともありました。

 

こうして、課長や年配社員を中心とする一部の人との関係に軋轢を孕みながらも、部長や同部署の先輩・後輩の理解で何とか5年目あたりまでやってきたのですが、ある事態が私への「配慮」を崩壊させました。それは会社の業績悪化です。

私の部署はその業務が収益に直結するわけではなかったので、真っ先に人員整理が断行されました。私も課長から離れたかったので異動願いを出したのですが、受け入れられず、人は減ったが1人当たり業務量は増えた環境で働くことになりました。残業は週平均32時間くらいで、土日の片方はほぼ必ず仕事に当てています。

業績が悪化すると、とにもかくにも起死回生の新プロジェクトを打ち出せ、効率化だコスパだという空気が支配的になります。人間関係もギスギスしがちになります。NHKの啓発番組などでも「発達障害は発想力に優れた天才の側面がある」と報道されますが、別に常に独創性を発揮するわけではありません。しかし、業績が悪化してくると、新商品開発会議で私が”売れる””非凡な”アイデアを出さなければ「給料泥棒」と詰られるようになりました。「配慮」を受けているのに収益に貢献しないとはどういう了見だとばかりに、「配慮」にもコスパの原則が厳格に適用されてくるのです。

また、経営を立て直そうと、コンサルタントや即戦力の中途採用の方が何人か入ってきたのですが、私の事情をよく知らない人が社内で発言力を持つにつれ、私に対する「配慮」が効率性の妨げになっていると「問題視」され、「配慮」はどんどん取り止めになりました。そして私はコンサルの方から「ビジネスマンとして適切な働き方」の講義を受け、それを実行することを求められるようになりました。

それに乗じて、元々私を快く思っていない一部の社員から給湯室やらトイレやらに呼び出されて、不毛な説教を受ける機会も増えました。

 

こうしたことが重なり、私は出勤途上の電車でパニックを起こすようになりました。消化器も壊してしまい、出血性胃潰瘍にも悩まされています。かかりつけの病院は私に「3カ月の自宅療養が必要」という診断書を出しましたが、社内の事情はそれを許さず、出勤を再開するよう言われています。

クローズドのまま一般枠か、障害者枠か。これは発達障害を持つ就労(希望)者なら誰もが持つ悩みでしょう。特に中小企業は大企業に比べて、「配慮」のリソースが少なく、発達障害者にはオススメできないというのが定説だと思います。

それを承知で一般枠のまま入社したことが正しい判断だったか。障害を開示したことは間違いだったか。いま転職すべきか。転職するなら障害者枠がよいのか。30歳を手前に、今はまだ答えを出せません。

ただ、中小企業の一般枠で働くことの厳しさは痛いほど理解できました。そして、発達障害者への「配慮」は、あくまで安定的な経営の上にしか成立しないという事実も、実体験を通じてよく分かった次第です。

長文失礼いたしました。



【執筆者】
白菜 さん

【プロフィール】
ADHD診断済み/ASD傾向指摘のアラサー男。都内の中小企業勤務(一般枠)6年目。


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