「死にたい」としか言えなかった過去の自分を、分かってあげられるようになるまで

コラム アダルトチルドレン いろり

「俺はお前のゴミ箱じゃない」

中学三年生。住んでいた団地の目の前にある、公園というよりも空地に二つのベンチを置いただけのような草木がぼうぼうと生えたスペースで。同じく中学三年生の男の子から、そう言われた。忘れられない一言である。

「死にたい」が心の口癖だった。学校では友達も複数人いたし勉強もそこそこできていて、ピエロのようなお笑いキャラが担当だったから死にたい私を知る人は彼しかいなかった。

はっきりと言われたわけではないけれど学年中が彼は私を好きだということを知っていて、私ももちろん知っていた。だからそこにつけこんで、近所に住む彼を呼び出しては「死にたい」「消えたい」と暗いエネルギーをぶつけまくっていた。

そうしていたらとうとう言われた一言だった。

好きな女の子が毎日のように「死にたい」と言い、本気がどうかもわからずハラハラするのはとてもしんどいことで、そして彼が心から私を心配してくれていたのだということに初めてようやく気づいたのだった。

 

現在私は二十五歳。実家暮らしで週四のアルバイトで生きている。アダルトチルドレン(以下、AC)であることを自認している。心療内科に通院、薬を飲み続けて三年ほどになる。

この大変ショッキングな一言で私は「他人をゴミ箱のように使ってはいけない」と大きな釘を自らに打った。それがまた弊害を生むのだが、おかげで特定の人に病的なほど依存することはなかった。しかしその彼には十年以上迷惑をかけた。

中学三年生のときには何もわかっていなかった。ACだと自覚した今はあのとき「死にたい」しか言えなかった意味がわかる。

ACは元来「親がアルコール常用者である過程で育った、成人した子ども」という意味であるから、私には当てはまらないと思っていた。現在使われている「機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなおトラウマを持つ人」という意味も自分は違うと思っていた。私は真っ当な親から生まれ育てられたにも関わらず歪んでしまった人間なのだと思っていた。

事実、両親は二人とも健在でアルコールや暴力におびえたことはなく、むしろ仲の良い家族だった。だから死にたいと思うのは私がおかしい、家族のバグだと思っていた。

原因がわからなければ対処もできず高校は不登校気味になり、大学受験するも失敗、浪人。一年後、無事大学に入学するが大学に行くくらいなら死にたいという日々が続き、父親が亡くなり、惨憺たる気持ちを抱えながら卒業。現在に至る。

 

雑な経歴を書いたのは、私がいかに境界的であるか知ってほしかったから。ここでの中学生から大学を卒業するまで本気で死にたかったことなど何千回とある。

けれど、公立高校も四年制大学も最後にはきちんと卒業している。確実に自分の問題には気づきつつも、他人からは「できるのにやらない」人間に見える。私はそのギャップに苦しんだ。

アルバイトでしか働けないけれど、税金は払えるし奨学金も返せる。そんな私は、ただの怠け者の若造だ。心療内科に通いながら薬を飲んでいるけれど、歯を食いしばってても働けている。だから私は、もっと頑張らなきゃいけない。

そんな風に考えていた。でも、自分のつらさは自分にしかわからない。

本に書かれているような機能不全家族ではなかったけれど、今は「母は毒親だ」と思えていて、死にたかった自分をわかってあげられている。私と同じように、「自分程度がつらいとか言っちゃいけないのでは」と思っている人がたくさんいるはずだ。

私は、自分には病名がなく自傷癖もなく親も普通でだけどどうしようもなく生きづらい、境界線に生きる人と共感したい。そう思ってこの文章を投稿する。

私がなぜACだと気づいたのか、正常と異常のどちらでもないことのつらさ、日常という残酷な時間の過ごし方など書けていけたらいい。よかったら読んでください。



【執筆者】
いろり さん

【プロフィール】
古本屋で働く二の腕むきむきメンヘラ女。母親が毒でACだけど心療内科に通いながらなんとか自分の幸せをつかもうとしている。


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4件のコメント

yukisoysh 返信

僕も、僕の両親は本に書かれてあるような明らかな毒親ではないが、僕にとっては毒であると最近気づきました。鬱状態がなかなか治らないのも、両親の支配下にあるからではないか…とも。

これからどうやれば鬱が治るのかわかりませんが、家を出れば事態は好転するのではないかと思ってます。

いろり 返信

yukisoyshさん、コメントありがとうございます!嬉しいです。
明らかな毒親ではない場合、本や第三者を使っても確信を持てずにつらい時間が長引きますよね…、すごくわかります。

わたしも離れるのが一番だな~と思っているのですが、鬱状態だと一人暮らしを維持できるのかわかりませんから不安ですよね…。yukisoyshさん、ありがとうございます。またそのあたりを書きますので読んでいただけたら幸いです。

パンダ 返信

はじめまして、突然のコメント失礼します

私も"普通の"家で育ったのに生きづらさを感じています
「自分程度がつらいと思っちゃいけないのでは」といつも思っていて、自分の心を言い当てられたようでびっくりしました
周りに対しての罪悪感でいっぱいです

最近知り合いに家庭に思うところがあるのではないか?と言われました
あるのかもしれません、というか多分あるのだと思います
だけどそのことを考えて何かヒントらしきものが頭に浮かんでもすぐ別の自分がそれをかき消してしまいます
多分まだ向き合いたくないのだろうと思います、いつか向き合えたらなと思います

長々とすみません
共感できる部分が多かったので、コメントできるかはわからないですが、続きも是非読んでいきたいです
ありがとうございました

いろり 返信

お返事が遅くなってしまってすみません!
通知などが来ないため確認できていなかったです。
コメント本当にありがとうございます。

私も、「私が異常なんだ」とずっと思い続けていました。
別の自分がかき消す、すごくわかります。
自分のせいにするほうが楽なんですよね、
自分が耐えればいいだけだし自分が変わればうつは治るはずだし。
でも向き合ってみたら変えるものは自分だけじゃなかったです。
絶対に向き合えるときがきます、おこがましいですが。

パンダさんに共感していただいたこと、「ありがとうございました」と言っていただけたこと、
本当に本当にうれしいです。
続きとは言えないかもしれませんがまた今日投稿しました。
パンダさんの目に留まりますように。
こちらこそありがとうございました、これからも書いていきます。

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