【書評】自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント(松本俊彦)

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「あなたは、自傷している人のことを弱くてダメな人間だと勘違いしていませんか。」という呼びかけから本書は始まる。

自傷がその時を生き延びるためにはどうしても必要であることを認めつつ、習慣化した自傷癖からどうやって抜け出すかについて実践的な道筋を示してくれる。また、自傷から抜け出す際に助けを求められる社会資源(学校のカウンセラー、地域の保健センター等)の紹介もなされている。

それだけにとどまらず、「こんな精神科医は避けましょう」「こんな精神科医は買いです」と具体的な例をあげて精神科医の探し方まで教えてくれる。医師の探し方まで踏み込んだ記述は類書では例を見ない。

この本は徹底的に自傷をする人の味方であり、代弁者である。たとえば、自傷に至る理由について、このように述べる。

自傷する人たちが人に相談したり、助けを求めたりしないのには、それなりの理由があるのだと思います。たとえば、自分の周囲に本人のSOSを受け止めてくれる、信頼できる人がいないからかもしれません。あるいは、信頼できる人はいるけれど、「自分には価値がない」、「自分は生まれてくるべきではなかった」、「自分なんか生きてちゃダメだ」という思い込みが強くて、誰かの時間を自分のために費やさせてはいけないと考えている可能性もあるでしょう。なかには、過去には相談したり、助けを求めたこともあったけど、なんの助けにもならなかった、あるいは、余計ひどい目に遭ったという体験をしている人もいるでしょう。

引用:自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント(松本俊彦)p.23


以前にも自傷をテーマにした書籍はあったが、ここまで自傷をする人の心情に寄り添った書籍はなかったように思う。

自傷したい気持ちを抱えつつ、それでも生きて行かざるを得ないわけで、自傷以外の方法で自傷の衝動を解消することを身につけて生きていけるようになろうというのが本書のテーマである。とはいえ、自傷以外の方法で自傷の衝動を解消するのは本当に難しい。

私はうつ病と気分変調性障害の二重うつ病からくる希死念慮持ちで、うつが悪化した時に自傷衝動が沸き起こってくることがある。なんとか寝逃げできる時もあるが、自傷衝動が勝つ時もある。

でも、大丈夫。本書にはちゃんと「いろいろ対処を試みたけど、結局、切ってしまったら」という項目がある。

まあ、そういうこともありますよ。でも決して「自分はダメだ」と思う必要はないです。また、「置換スキルなんてやっても無駄だ」と決めつけたりもしないでください。最初からうまくいくわけではないです。それよりも、すぐに自傷してしまうのではなく、他の方法を少しでも試そうとしたあなたは、それだけで確実に回復へと近づいているのです。

引用:自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント(松本俊彦)p.169


このように,本書は徹底的に自傷をする人の味方なのである。

自傷をしてしまうことに悩んでいる人はぜひ手に取ってみてほしい。

この本を開けばいつでも頼りになるお医者さんが語りかけてきてくれる。


【執筆者】
もち さん

【プロフィール】
30代女性。パニック障害寛解。うつ病,気分変調性障害の二重うつ病治療中。たまにくる希死念慮と慢性疲労と戦ってます。


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