統合失調症の陰性症状 「感情鈍麻」「思考の貧困」「意欲の欠如」「自閉」

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お世話になっております。ヤマカワと申します。これまで何度か統合失調症関連の文章を書かせていただいております。

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今回は私の体験の中から、統合失調症の「陰性症状」についてお話しできればと思っております。

統合失調症で目立つ症状といえば、現実でないものを確信する「妄想」だったり、実際に鳴っていない音を聞く「幻聴」だったり、「陽性症状」と呼ばれるものを指すかと思います。これに対して「陰性症状」は、気力が沸かなかったり感情が沸かなかったり、などといった症状を呈すものです。

今回の話は、以前投稿させていただいた話の続きにもなっています。仕事のストレスで発狂してから一度休職し、復職するものの不調をぶり返してしまった、再度休職することになってしまった。そういう時期のお話です。

 

休職直後の一日の流れ

仕事を休職してから何をしていたかと言えば、とてもシンプルでした。

・6時半頃起床、家族と共に朝食。その後寝る。
・10時のおやつ。その後寝る。
・12時に昼食。その後寝る。
・15時におやつ。その後寝る。
・18時に夕食。その後寝る。
・20時ころ入浴。その後寝る

要するに、ただひたすらに食べて寝ていたんです。ぜいたくなことにお菓子も食べてます。

人間、ひたすら眠り続けることもできるものなんですよね。数日もすれば飽きてしまいそうなものですが、この頃はむしろ「眠ること以外」をするのがとても大変な状態でした。基本的にはずっとベッドの上です。スマホを見る時もある。それも惰性で眺めているだけで、気が付くとぼーっとしてしまいます。

つらかったのはトイレに行くこと。5メートルも歩くわけじゃないのに、気力を振り絞らなきゃそもそも立ち上がれませんでした。用を足した後はまたベッドに戻ります。また眠る。間にスマホでTwitterを見たり。ぐだぐだと日々を過ごして行きました。

そんな自分の大きな支えになっていたのは、実家にいたため母がすべて家事をしてくれたことでした。ほぼ毎日規則的に食事が用意され、風呂が沸いている。おかげで食習慣を乱すことはありませんでしたし、不潔にまみれることもありませんでした。本当に、母を始め家族には感謝してもしきれません。

 

趣味が出来ない

時間があるからと言って、何か有益なことが出来たわけではありませんでした。前回の休職の時には読書をしたり筋トレをしたりすることもできたのですが、今回は真逆です。

ちなみに、回復した今振り返るからこういう風に感傷的に「できなかった」ことを書けますが、当時は「これができない」ということを悲しむ感情もありませんでした。ただただ感情が無く、何もしない時間が流れていくだけ、です。

就職以前の趣味だった音楽鑑賞や楽器の練習なども、時間があるのに全くやる気が起きません。「だるい」の強さがすべてを塗りつぶしてしまいます。

他にも、かつて好きだったはずの読書。これまでは文庫本などをどんどん読み進めていたのに、1ページくらい読むと意味が上手く頭に入ってこなくなりました。目は読み進めているのに、イメージができない。頭が追いつかないまま視線だけが滑るように先に進み、どこを読んでいたか、どんなシーンなのかも思い出せませんでした。

 

何も出来ない時に思うこと

そんな感じの、眠ってばかりの日々です。頭をよぎるのはろくなことじゃありません。

これからどうしていったら良いんだろう。家族にも迷惑になる。みんな俺のことどんな風に話しているんだろう。

そんなことがぼんやりと思い浮かびます。この「ぼんやり」というところは、陰性症状のとても深いところを突いているような気がします。感情がどれも漠然としているんです。働けないみじめさも、動けない悲しみも、どこか他人事のようで、自分のもののように思えない。よく思っていたのは「感情に膜がかかってしまい、直接触れない」という感覚でした。

そんな「ぼんやり」の中で、ベッドに横たわって天井を見つめたり、壁を見つめたりして時間が流れていくのを感じていました。

たまに眺めるスマートフォンには、友人たちのがんばっている姿、幸せそうな話、綺麗に映える写真が映し出されています。「あぁ、みんな頑張っているんだな。それに比べて自分は……」と悲観的になります。これも直接触れない感情だったのですが、誰かに聞いてほしいような気持ちも、なかったわけではありません。ですが、そんな虚しさをTwitterで書くわけにもいきませんでした。平日のこの時間、私は仕事中のはずで、Twitterに愚痴を書くはずがない。「こいつ仕事してないのか?」と思われるわけにはいかないから、です。

さらに辛さを感じたのが、休職中に年越し、お正月を迎えたことでした。親戚の方々も集まってくる。食事をしたり話をしたりする。親戚の方に「自分は統合失調症になってしまい、休職している」なんて話はできませんでした。「最近仕事はどうだ?」なんて質問をされて、「まぁぼちぼちです」みたいな曖昧な返事でやり過ごしました。時間が早く過ぎてくれるのを祈っていたことが、とても印象に残っています。

こんな風に鬱々としながら食っちゃ寝生活を続けていました。当たり前なんですけど、太ります。そりゃそうだ、食べてはいるのに運動はまったくできないんだもの。就職当初から比べてこの時点で7kgくらいの増加です。

この太り方には薬の副作用という面もあったかもしれません。当時飲んでいた(今も飲んでいるのですが)エビリファイという薬は、同じく抗精神病薬のジプレキサなどに比べれば太りにくいとは言われていますが、それでも服薬の量が変化すると、自分の体重も変化していく感じがありました。あくまでも私個人の体験談ですが、これからも増量を続けていきまして、一番体重が増えた時で15kgの大増量になりました。

 

統合失調症の陰性症状について

そんな形で、本日は私が体験した統合失調症の陰性症状についてお話をさせていただきました。

統合失調症と言うと、どうしても「妄想」「幻聴」などの陽性症状が取りざたされることが多くなります。派手な行動や妄想なので印象にも残りやすいですし、見る人を引きつけやすいというのもあるでしょう。

一方で、この陰性症状もかなりの辛さがあります。とても地味ですし、読んでいてもそれほど面白みを掻き立てるものでもありません。しかし、絶望感であったり、無力感であったり、感情が死んでいったりする感覚の辛さは、どんなに言葉を尽くしても表しきれない重みがあるものです。

統合失調症の代表的な陰性症状には「感情鈍麻」「思考の貧困」「意欲の欠如」「自閉(社会的引きこもり)」というものがあります。

「感情鈍麻」は恐らく文中にある「自分の感情ではないような感覚」「遠くにあるような、薄い膜を一枚隔てているかのような感覚」というものでしょう。嬉しいことも悲しいこともうまく感じることが出来ません。急性期の「世界没落」と表現されるような絶望感や、神にでもなったかのような多幸感とは、まったく逆といえます。

「思考の貧困」についても、確かに頭が回らなくなる感覚がありました。一つのことを考え続けることが難しくなりましたし、ぼんやりとしている時間が長くなりました。この辺りも、洪水のような妄想が溢れていた急性期と比べると、非常に対照的だと感じます。

「意欲の欠如」は、趣味や勉強等にかける気力が失くなったことのようなものでしょうか。トイレに行くのがめんどくさい、というのもここに入るかもしれません。

「自閉」についても、友達と関わるのが怖かったり、他の人とコミュニケーションするのが嫌になったりするところが当てはまりそうです。

ちなみに、急性期の「陽性症状」は割と薬で抑えられると言われていますが、「陰性症状」は服薬しても回復が難しいケースがあります。薬物療法のみならず、精神療法、カウンセリングであったり、SST(社会生活技能訓練)であったり、様々な治療や福祉サービスを組み合わせて行くことが必要なことも多いでしょう。

私の場合も、この時期の後に通院し始めた精神科デイケアが状況改善に大いに役立ったと思っています。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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【執筆者】
ヤマカワ さん

【プロフィール】
ことばとおんがくがすきなめんへらさん。
社会人一年目で統合が失調。そろそろ良くなって来たかな~というところで弟が自殺。
諸々乗り越えた今では精神保健福祉士として、メンがヘラってるみなさんと楽しく過ごしています。

Twitter:@ymkwlab
ブログ:ヤマカワラボラトリ
Youtube:Shirou Yamakawa


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1件のコメント

海月 返信

初めまして。

私自身もヤマカワさんとは病名は違いますが、全般性不安障害・少し鬱が悪化して無職になり1年ぐらい引きこもりの頃がありました。その頃の自分の正直?気持ちとすごーーーく似てます。

ただただ、ボーとすることしかできないんですよね。感情の起伏ができないというか、感情に膜がはっているみたいで自分自信の考えがまとまらない、わからない、
わたしも好きなことがまったくできなかったことは辛かったです。その時は辛いと言うより、あ〜無理、、、みたいな。


そんな私の同居してる叔母も統合失調症です。ヤマカワさんの文章を拝見して、叔母はかなり酷いですね、、。そんな叔母が大っ嫌いでした。もともとの性格もあるのか、、、。

でも今回ヤマカワさんの記事を拝見して、
とても勉強になりました。
私自身もまだ精神的には万全ではないので、100%受け入れて仲良くするいうことは難しいですが、
このことを気に少しずつ関係が穏やかになっていけたらいいな。と思います。

ありがとうございました!

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