20年近く引きこもっていた鬱病の僕が、地方議員に立候補した話

体験談 うつ病 引きこもり さとう学

僕は20年近くひきこもっていたけれど、選挙に出たことがある。

選挙って特別な人間が出なくてもけっこうイケる。いわゆる国政選挙は難しいけれど、地方選挙なら引きこもりでもメンヘラでも勝算はあるんだ。

 

地方議員の5人に1人は無投票選挙で受かっている

2015年に統一地方選挙があったけれど、22パーセントが無投票選挙だった。つまり、立候補する人が少なくて、選挙なしでみんな議員になれてしまう。地方議員ってなり手がいないんだ。

最近、人手不足が言われているけれど、地方議会は昔からそうなんだ。下手な企業に就職するより地方議会に就職するほうが簡単だ。倍率が1倍を切りかねないところもあるからね。

 

地方議員は超ホワイト たった85日の仕事で年収700万円

(※各自治体で異なります)

でも、議員の仕事って大変じゃないのかという疑問もあると思う。実は、市議会の平均会期日数は約85日ていど。毎日、満員電車に乗る必要がない。しかも、議員報酬は高額。僕の立候補した自治体では700万円ほどもらえる。これっておいしいよね。

欧州やアメリカの地方議員は、ボランティアベースなのが珍しくないという。それなのに日本の地方議員はなぜこんなに待遇がいいのだろうか。日本だと高額な報酬を出さなければいけないほど仕事が大変なのだろうか。調べてみたがわからない。

 

議員になると公約を実現できるの?

選挙がはじまると、各立候補者が街頭演説でいろいろなことを言っている。

「福祉の充実を!」「少子高齢化対策を!」

もちろん、大切なことだと思う。でも、地方議員がそれを実現できるの?

日本の地方議員の議案提出率ってデータの年度にもよるんだけど11パーセント以下なんだ。一方、首長(市長や区長など)の議案の99パーセント以上が原案どおりに通過しちゃう。

自ら議案を出すこともしなければ、首長の監視役にもなっていない。地方議員の存在意義がますますわからない。優秀な首長と優秀な官僚がいれば地方議員はいらなくない?

 

議員報酬を実質的に予算に変える方法

僕は選挙に出て世の中を変えようとした。まず、当選したら自分の議員報酬の半分をひきこもりとメンヘラ支援の予算に使うことにした。

だけど、議員が自分の選挙区の自治体に議員報酬を返還することは寄付行為にあたり、なんかの法律に引っかかっちゃう。

ただ、議員が自分の選挙区外の自治体に議員報酬を寄付することは可能なんだ。だから、同じ志をもったひきこもり・メンヘラ議員がお互いに協力して寄付しあえば議員報酬の予算化が実現できる。

議会でひきこもり・メンヘラ支援の議案を通せればそうする必要はないと思う。もし公約を守れなさそうであれば、この方法を使えば少額ではあるけれど予算を確保することはできる。なにより公約を守らない、ほかの議員への牽制になるからね。

 

ひきこもりや鬱病のパワーワードで有権者は注目する

街頭演説では「議員の仕事はたった85日! それで議員報酬が700万円ももらえる。選挙のときだけきれい事を言って、当選したらなにもしない。そんな議員になるつもりはない!」と現職の議員をディスってやった。痛快だったね。

そして、自分のウィークポイントもアピールした。

「僕はずっと20年近くひきこもっていました。今も鬱病ですがなんとかやっています」

駅前でスマホに夢中だった女子高生がびっくりしてこちらを向いた。今までだれも関心を示してくれない人たちが、「ひきこもり」と「鬱病」というパワーワードで僕に興味をもってくれた。

ハーバードのビジネススクールでMBAを取ったことをアピールしても有権者の心には響かない。ひきこもりと鬱病の言葉の強さを知った。

 

選挙活動をしたのはたった2日

僕は体調が回復していない状態で選挙戦に突入したため、選挙活動ができたのは実質2日程度。あとは家で寝ていた。からだが動かなかったんだ。慣れないことをしたため、疲れが出たんだと思う。

ひきこもりだったから友人はゼロ。家族も自分たちのことを言わないでくれとおよび腰。手伝ってくれたのは、ひきこもり自助グループのボランティアさんとひきこもり当事者のわずか数名だった。みんな毎日は無理だった。自分も無理だった。

選挙の初日、ポスター貼りをしたが1日で終わらなかった。他の候補者はみんな貼り終えているのに……。それでも30万円という供託金が余裕でもどってくるくらいの票をいただいた。

「もっと前から準備していたら当選したのに」、「選挙後にあなたのことを知ったわよ」と多くの人に言われた。

余裕がなくて選挙活動がほとんどできなかったんです。ごめんなさい。

でも、たくさん票を入れてもらったことはすごく嬉しかったし、現職の議員にプレッシャーを与えられたと思う。地元市議会のひきこもり・メンヘラ支援に期待したい。もし、なにもしないようであればつぎの選挙では覚悟しておくように!

 

選挙に出るとまわりが優しくなる

選挙に出たおかげで日中でも近所を出歩けるようになった。「今日は体調が良さそうだね」とお年寄りたちに声をかけてもらえるんだ。自分の過去や病気のことをオープンにしたからかもしれない。

無職ひきこもりでも突き抜ければ怖くなくなる。そもそも議員が落選したら同じようなものだからね。

2019年に統一地方選挙がはじまる。僕は、多くのひきこもりやメンヘラが、選挙に立候補することを夢みている。

国政という大局では勝ち目がない。しかし、地方議会という局所戦なら十分いける。そして、局所戦での結果が大局に影響を与えると思っている。ひきこもり・メンヘラ支援のさらなる充実も期待できるんじゃないかな。

あなたの一票よりあなたの立候補が日本の政治を変える。

さあ、ひきこもり・メンヘラよ、選挙に出よう!


【執筆者】
さとう学

【プロフィール】
小学生のときに不登校。中学で特殊学級に通うものの普通学級への編入をうながされて再び不登校。定時制高校に進学するが16才で大検(現在の高認)を取得したため、中退してひきこもる。

大学を一年で中退してしばらくひきこもる。障害者枠で働き始めるがパワハラをうけてひきこもる。2016年にひきこもり支援を訴えて埼玉県の入間市議選に立候補。落選して再びひきこもる。

現在、ひきこもり当事者メディア「ひきポス」に記事を書いているか寝ています。
鬱病・パニック障害・心因性頻尿・過敏性腸症候群の四天王に苦しめられています。
Twitter:@buriko555


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