「心のガン」に犯されても

体験談 泣き声歌姫

心の崩壊はいつも突然やってくる。地震みたいに緊急速報が流れるわけでもなく、天気みたいに予報されることもなく。今までは看過できていた不満やストレスが一気に溢れ、ATフィールドを突き破り、心に侵食していく。

心の一つ一つの細胞を自らが犯し、共食いを進めていく様は、悪性腫瘍──ガンの進行とよく似ている。適切な治療が必要だし、再発の危険性も考慮しなければいけない。魔法ではなく、科学で対処しなければいけないのだ。自分もある時まで「メンタルは気合でどうにかできる」という考え方の信者だった。あの日を迎えるまでは。

 

5年前、私には恋人がいた。とても可愛くて、大人しいけど、芯がしっかりある子だった。この人と一緒にいる毎日は本当に楽しくて、世界は眩い光に満ちていると当時は思っていた。どれほどの辛い経験があっても、この人のおかげで頑張れた気がした。

しかし、現実というものは想像以上に理不尽なものだ。1年近く付き合っていたのに、私たちは違う道を歩むことを余儀なくされた。色々と原因はあったはずだ。そんな「原因」となるようなひとつひとつを丁寧に拾い、反省会をしっかりやっていれば違う結末を迎えていたのかもしれない。頭では何度もそれをしようと試みた。その場で泣き喚かずに、歩んできた道から何かを掴め。頭ではそう考えても、心は動かない。きっと、この時にはすでに心のガンが進行していたのだろう。三日後、心にぽっかり穴が空いていることに気づく。手遅れだった。

 

あの後、なんとか自分で立ち直ったが、それでもたまに禍々しい闇に飲み込まれそうになる時がある。その度に私は歩みを止め、彼らと徹底抗戦する態勢に入る。

しっかり準備していればスライム同然だが、多忙を極めている時に襲われるとかなりキツイ。身構える前にゴーレムに攻撃される感じ。かなり詰んでいる。日頃から彼らに対する準備を怠らないのが私なりの「心のガン」に対する対処法だ。

 

心のガンは経験しないと理解できないというのが今の現状だと思う。これは仕方ないことだと思う。私自身もそうだったから。でも、理解できないを理由に心のガンに苦しむ人たちを叩き潰すのは如何なものか。

「すべての言葉に責任を持つことは不可能だが、配慮する姿勢は持たなけれいけない」

ように、自分なりの配慮を彼らに持つことは経験していなくてもできるだろう。そうした小さい積み重ねが意外と重要だということを思い出して欲しい。

別に手を握らなくてもいい、ただそっと見ているだけでも物事は変わっていくのだ。



【執筆者】
泣き声歌姫 さん

【プロフィール】
しがないモノ書きをやってる大学生です。

ブログ : 小説より奇なキミ

twitter : @tureture1216


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