好きだった本が、ある日いきなり読めなくなった
読書はメンヘラを救うかもしれない、と思う。
一度は本を手放したメンヘラが、もう一度本に救われた話を、ちょっとだけ聞いてください。
好きだった本が、ある日いきなり読めなくなる
学生時代1年で100冊以上読む、本が好きな中学生だった。
児童書ばかりだったし、今となってはほとんど内容は覚えていないけど……。
本は、好きだった。子供ながらの熱心さで朝から晩まで文字を追いかけていた。
高校~大学時代、勉学だけでなく遅くまである部活や遠い学校への通学に人間関係の不和が重なった結果、ストレスでメンタルを病んで精神科を受診した。
診断、adhd、双極性障害。
異変が起きたのはこの頃からだ。
好きだった本が全く読めなくなった。
なんというか、文章が頭に入ってこなくなった。
文字は追えても、単語が滑ってどこかに消えてしまう。
漫画とTwitterのような短い文章しか読めない。
そして、読んでも忘れてしまう。
好きだった本が読めない真っ暗の人生、
思考が深まらず、突発的な負の感情に思惟を絡めとられてもがくだけの日々。
気分障害は悪化していた。
ある日、再び本を読めるようになった
社会人1年目なんとか就職するも障害特性と職種のミスマッチで問題をしばしば起こし、結局退職。
その後アルバイトで食いつなぐも体力が持たず欠勤を繰り返す。
ふと、もう一度本に手を伸ばしたのは、かかりつけ医から一週間の自宅療養を命じられた6月のある日だった。
職場の先輩から貸していただいた文学小説。
何年ぶりだろうか、貪るように読んだ。自分のなかに文字がどっと流れ込み、魂を削って書かれた文章が灼熱でわたしを満たした。
現在
そういえば私は小さい時分から生や死について考えるのが好きだった。
メンタルを病んで、そういった傾向のある思考がネガティブなベクトルを持ってしまったのかもしれない。
本を読むことで、私は自身の心のナイフを研ぐことができるようになった。
己に向けず、外にも向けず、ただ研いでいる。
意外にも、これは自己肯定感の上昇や現実感を伴う生の感覚を把握することにも功を奏しているらしい。
つまりわたしにとって読書は、「脱・メンヘラ状態」のための一つの有効な手段だ。読書することで思考が整理され、生きる上での問題を明確にする効果があると思う。
読書に限定しなくとも、自分の探しているものを突き詰めることにメンヘラを「活かせる」ひとは一定数いると思う。そんな人たちに、落ちた先にしか見えない景色はあるとはっきり伝えたい。
えらそうにものを申しているが、当の本人の現在の読書量は際立って多いわけではなく、むしろ本の虫と呼ばれる人達からすればきっと少ないし、読書だけが指針ではない、あなたにしか解けないこともたくさんあるはずだ。希望を持てとは言えないけれど、存在に無理に意味づけする必要はないと思う。
もちろん、読書の効果が万人に当てはまるわけではないし、本の好みがリハビリに向かないとか、メンタルの状態や環境によっては読書自体が困難なこともあると思う。あくまで体調や環境を考慮したうえで、という注釈付きだ。だから、コラム形式ではなくて、「あくまでも私はこうだったんだよ」という背景がわかりやすいように体験談形式をとった。読書を通して具体的にどのように立ち直ったかは後日筆を執ろうと思う。
冗長であいまいな文書になってしまったが、少しでもメンヘラのみなさんの参考になれば幸いだ。メンヘラに幸あれ。
【執筆者】
菊川けい さん
【プロフィール】
20代。常にもがいてます。
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