老々介護的なひきこもりの居場所活動

コラム ひきこもり 居場所 さとう学

僕がひきこもっていたとき「支援」というと行政や福祉法人、医療機関がメインだった。

だから、相手の力量に少しは期待する。それで飯を食っているんだろうしと思って。過剰な期待は禁物なんだけどね。

僕は働きたい、医療の力を借りたいと思っている人間で、だから行政などの人からすると対応しやすいと思う。方向性が見えるし。また、周囲の人間はそういう人を好意的に見る傾向があるから生きやすくなる。

だけど、働くのが怖い、でも医療も福祉も嫌だという人もいる。最初は同情的に見ている周囲の人たちが、時間が経つにつれてそういう人に対して苛ついてくるのが伝わってくる。

親の高齢化もあるから決断を迫られる。

でも、決断しない、できない人もいる。

だけど、親が死ぬか介護状態になれば、否応なくそれは来る。

そうならないように行政のサポートがという話になるんだろうけれど、これって限りある資源の奪い合いだ。

仮にひきこもり支援に人員と予算を出しましょうとなると、なにかが削られる。

どこかの野党みたいに「既得権から奪え」とか言っても、政治的に力がないから今まで奪えなかったんだろうにと思う。それとも奪うために戦えるだけの力がある? 家族すらひきこもりの子どもを隠しているのに? 味方なんていない。

 

当事者たちのぎりぎりの居場所運営

僕は福祉施設や医療の力を借りながら、ようやく障害者枠だけど働けるようになった。でも、職場でパワハラにあって世の中に絶望し、またひきこもりの世界を見ることになった。

そこで驚いた。当事者たちの居場所運営で、ひきこもり当事者・経験者が自ら居場所を運営してがんばっているから。すごいなと思った。自分が知っている、ひきこもりの世界とはすっかり変わっていた。

一方、その当事者たちがきつくないかとも思った。だって、自分たちより動けない人たちにも配慮しましょうとすごく気を遣っているから。

行政とか福祉とか医療とかで飯を食っている人が配慮を要求されるのはわかる。仕事なわけだから。だけど、きついはずの当事者にその配慮がどこまでできるのか疑問だし、
下手すれば共倒れするんじゃないかとも思う。

僕の場合、選挙に出て目立っちゃったこともあって、あれこれ寄ってきた人たちがいたんだけど、すごく困惑した。「あれっ、ちょっと動けただけで支援者的なものを求められるのかよ」って。

動けない側の、動ける側に対する要求水準が高くないかって思った。老老介護的なもの感じたんだよ。普通、重いうつ病の人が軽いうつ病の人に頼る? 頼らないと思うんだ。だけど、ひきこもりの場合はちがう。何なんだろうこれってずっと疑問だった。

 

メンヘラの居場所とひきこもりの居場所は文化がちがう?

僕は福祉・医療・ひきこもりの居場所を使い分けている。福祉の居場所は医療とも連携を図りかつ就労の相談にも乗ってくれる。ただし、そこの居場所の人たちとはなぜか話が合わない。

一方、ひきこもりの居場所に来ている人たちとは話が合う。我が意を得たりってことが珍しくない。僕はそれだけのために居場所に通っている。

 

だけど、ひきこもりの居場所の運営者に配慮も責任も求めるつもりはないんだ。それだけの対価を払っていないし、相手もそれを職業にしているわけじゃないから。

自分に合わなければ行かなければいいし、福祉なら地域活動支援センターがあるわけだから。病院ならデイケアとかさ。話が合わないというのはあるけどまあそこは妥協してさ。すべてがすべて、自分に合うわけがないしね。

地活やデイケアでメンバーさん同士が過度に相手に配慮するってことはあまり感じない。そもそも、そんな余裕がある人が少ないからかもしれない。そこは職員さんが上手くやるんだと思う。

でも、ひきこもりの居場所活動は専門の職員さんがいないことのほうが圧倒的に多い。となると、その役割を動ける当事者が担うわけなんだけど、その重さに耐えきれなくなってみんなつぶれるんじゃないかという懸念がある。

動けない人たちのなかには、当たり前のように不平不満を言う人もいる。でも、動ける人も少し前までは動けなかったし、またそうなる可能性はある。体調によっては動けない日だってあるんだ。ぎりぎりのところでやっているのを感じる。だけど、多くを求められてしまうことがある。

時々、動けるようになることは、悪いことじゃないかと錯覚することがある。動けても就労してもひきこもりは終わらないのに。


【執筆者】

さとう学
【プロフィール】

小学生のときに不登校。中学で特殊学級に通うものの普通学級への編入をうながされて再び不登校。定時制高校に進学するが16才で大検(現在の高認)を取得したため、中退してひきこもる。

大学を一年で中退してしばらくひきこもる。障害者枠で働き始めるがパワハラをうけてひきこもる。2016年にひきこもり支援を訴えて埼玉県の入間市議選に立候補。落選して再びひきこもる。

現在、ひきこもり当事者メディア「ひきポス」に記事を書いているか寝ています。

鬱病・パニック障害・心因性頻尿・過敏性腸症候群の四天王に苦しめられています。

Twitter:@buriko555

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