障害年金に託す祈り

体験談 統合失調症 障害年金 精神障害者保健福祉手帳 就労 匿名希望

僕はあまり嫌な体験を覚えていられないタイプの人間で、自分が障がい者手帳の申請をしたときも、それがその後にどんな困難を自分に齎すのかは考えたことがなかった。むしろ今はそれによって美術館や映画館が安くなったり、バスに安く乗れたりする権利を享受する側に立っている。それだけで障がいを持つ者としては十分すぎる幸福なのかもしれないが、今の現実の生活を振り返ってみると、すごく大変なことは沢山あった。

留学先から帰ってきてから一旦大学に戻るも、統合失調症を発症して入院し、大学に復学してから、僕は大学を新幹線通学した。簡単に言えば静岡から横浜までの往復である。しかしもう少し仰々しく言えば、2時間近い時間、閉鎖されたアルミニウムの塊の中にずっと滞在しなければならないという地獄のような時間でもあった。それを3年間、しぶとく耐え続けたのである。僕は大学生活の間、挙動不審であったせいか病気のせいかはわからないが、なかなか友達らしい友達もできず、飲みに行く仲間もいなかった。当たり前だ、新幹線で横浜まで帰ってしまうのだから。

最初は1週間に2回のペースで大学に通い始めた。理系の大学で実験や実習もあったのでそれを乗り越えるために遅くまで残ることもあったが、なんとか学び続けた。それを学期が過ぎる毎に週3回、4回と増やしていって、慣れた頃には就活が待っていた。しかし就活は、上手くいかなかった。僕の学科は就職率9割を超える超優良学科だったのだが、どこも自分を雇ってくれるところがなかった。面接で積極的にアピールしたが、障がい者としての採用ということになると途端に企業側が身を引くようになったのだ。

無様な結果だった。様々な障がい者採用枠に挑戦し、コピーした大量の履歴書を送りつけたが、悉く惨敗した。就職支援課に行くと、履歴書は手書きで書くようにと説得された。必死で手書きで書き殴って出した履歴書もやはり同じく失敗だった。3月末になっても就職先がなかったので、仕方なく親の事務所に就職したことにして、大学には報告し、バイトを探した。そして4月1日付で、今度もきっと断られるだろうと思っていたところに塾講師の職を得た。僕のバイト生活が始まった。そしてこの頃から父と協力して積極的に動き出したことがあった。年金である。

障がい者のための年金は、基本的に障害基礎年金と障害厚生年金に分かれる。これは自治体によって色々と違うことも多いので詳しいことは役所の年金課に聞いて欲しいのだが、大まかにいうと、障害基礎年金は、基本的に小さい頃からの障がいによって働けない人が受給資格を持っている。障害厚生年金は、就職してから心または身体を持ち崩して障がい者となった人が受給資格を持つ。前者が年金を払っていなくとも受給資格があるのに対し、後者は就職してから国民皆保険制度で年金を払っていないと受給資格が得られない。そしてこれらの年金の受給資格は、役所に電話して確認したところ、役所側ではなくて国の認定医が決めるのだ。

僕は塾講師をやっていた当時、せいぜい働けて週に2回か3回程度の日数だったので、収入は月に4万いかないときもあった。これではあまりに生活が立ち行かないということで、父と協力して書類を集めていった。僕の障がいは精神なので、精神科への通院があればそのときから遡って受給開始となる、という判断だった。書類を集めていると、自分は小学生のときにてんかんの疑いで精神科で検査を受けていたこと、それにより高校生まで精神科への通院歴があることがわかった。それで、父と相談しながら書類をまとめ、留学先での精神科への通院については書類が入手できないため見送り、日本国内で揃えられる分を揃えて役所に持っていった。

だが、役所から送られてきたのは、年金の不採用通知だった。その知らせは父から連絡を受けて知ったが、僕はどうしようもなく慌てた。ただでさえ安月給の塾講師をやるのがこれほどしんどいのに、国は僕を見捨てたのか。僕はどうしていいかわからなかった。やがて僕は塾講師を続けられなくなり、辞めることになったが、その後も異議申し立てはせず、一定期間待った後に再申請することにした。異議申し立てをしたらどうかと父に提案したが、父は言った。異議申し立てなんかしても、するだけ無駄だ、と。それよりは再申請の機会を伺った方がいい、と。

今、僕は再申請に向けて書類を準備中だ。ケースワーカーさんに付き添ってもらって、書類の添削をしてもらったり、役所への申請にも付いて行ってもらえることになっている。安月給の仕事をコロコロ変えながら、今ではそこそこ働けるようになり、二つの仕事を掛け持ちしながら8万円ぐらいの月収が得られるようになっている。生活保護制度も考えたが、実家が太いのでそれは無理だということになった。頼む。今度こそは通って欲しい。僕の祈りよ通じよ!



【執筆者】
匿名希望 さん


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1件のコメント

ふるふる 返信

無駄なく必要な情報が簡潔に書かれていて読みやすかったです。大変な状況にも関わらず前向きに行動されていて、また協力的なお父様が微笑ましい(うまい言い方が見つかりませんが)。あなたはきっと幸せになれます。否定する人達に出会っても気にせず頑張ってください。

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