「テレビ越しの診断」は果たして正しいのか? 実際にテレビに出て診断された自分の場合

体験談 ひきこもり さとう学

昨年の夏、NHKハートネットTVの「ひきこもり文学」にひょんなことから出演させてもらった。

ひきこもり当事者の書いた文章をテレビの前で朗読するという冒険的な番組だった。

その番組が好評だったようで昨年から今年にかけて再々再放送された。前前前世なみの畳かけだった。つまり、最初の放送から4回も放送されたのだ。NHKのディレクターの方に聞くと、番組が好評だったので何度も再放送したという。

自分がテレビに出るので生まれて初めてエゴサーチというものをした。これは心臓に悪い。有名人を叩くのはやめようと思った。みんなもやめよう。相手も人間。絶対に傷つく。

「ひきこもり文学」は驚くほど好評でほとんど叩かれなかった。Eテレのハートネットだから視聴者が限定されているおかげだと思う。これがNHK総合であったら「JOJOの奇妙な冒険」の空条承太郎のようにオラオラオラオラオラと叩かれまくっていた。

 

現役のカウンセラーから分析をうけた


現役のカウンセラーの方がこの番組をご覧になっていて、僕のことをブログでいろいろ分析していた。よくワイドショーで精神科医が事件をおこした有名人などの性格や心理を分析することがあるけれど、自分がそういうことをされるとは思わなかった。

そのカウンセラーさんは、僕の朗読した文章やそのあとのインタビューの態度から「つらさがあまり感じられない」と思ったという。

特にひっかかった箇所はこの文章のようだ

「どこかマザーテレサのような人がやってきて助けに来てくれるなんて幻想を抱かないほうがいい。僕だって新垣結衣のような支援者がやってきたら秒速でひきこもりから抜け出す自信はあるよ。でも、実際ガッキーのような人は現れない。これが現実。悲しいけどね。」

(※ひきこもり当事者雑誌「ひきポス」2号 に掲載された「銀の匙をもて」より)

この文章に対して、カウンセラーさんは「この当事者の方は、ガッキーが優しくしてくれたら天にも昇る気持ちになり、困難な状況を変えられる」と思ったのだろうと分析していた。

そして、支援者がこのような話を聞かされると、深刻な問題ではないという印象を受けてしまう。そのため、相談者が支援を受けるのが難しくなるという。これこそが自己愛的なパーソナリティの特徴であり、こうした相談者は、自分の問題を他人事のように淡々と話す傾向があるのだという。

マジか……。

これは”文学”なので一種の私小説。俯瞰的に自分を見ながら書かざるを得ない。それを自己愛的なパーソナリティと言われたら何も言えない。私小説を書く作家がみんなそうだという定義なら仕方がないけれど。

それから、朗読した「銀の匙」という文章は、僕がガッキーのファンだから書いたわけではない(もちろんガッキー大好きです)。いくつかの狙いが込められている。

■ガッキーが来ることなんて宝くじを当てるよりも確率が低いし、待つより動いたほうがいい。
■ガッキーレベルは無理だけど、普通の人でも家庭という密室を崩すきっかけになる。外部性の比喩。
■ひきこもりが災害をきっかけに外に出るケースがある。阪神淡路大震災では復旧作業を手伝ったという報告もある。非日常的なものの比喩。

これを見抜いた人はほとんどいなかった。しかし、一人だけいらっしゃった。その方は、ツイッターでこのような内容をツイートしていた。

「ずっと真剣な面持ちで朗読していたのでこちらも真剣に聞いていたが、ガッキーのくだりで大爆笑してしまった。でも、おっしゃろうとしていることはわかる。人生はそんなドラマチックじゃない」

エクセレント!

国語の試験で作者の考えを答えろという問題だったら100点満点。自分が作者になり、採点する気持ちになるなんてとても不思議な経験だった。

僕を分析したカウンセラーさんには、いやな気持ちは抱いていない。プロの心理職が、テレビで見かけた人間をどのていどの精度でその心理を言い当てるか興味もあったし、その難しさを知った。

いや、でもまあ、ガッキーが来てくれたらひきこもりからフツーに抜け出すと思う。フロイトもユングもラカンも逃げ出すような力が、ガッキーにはある。これは断言しよう。

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ちなみにこのカウンセラーさんのブログの記事がこれです↓

・私説:引きこもりの原因となり、その解決を阻む要因ともなる自己愛的な心理

怒りや悲しみという感情はいっさい抱いていないです。むしろ、関心を持っていただいてありがたいきもちです。



【執筆者】
さとう学 さん

【プロフィール】
小学生のときに不登校。

中学で特殊学級に通うものの再び不登校。定時制高校に進学するが中退してひきこもる。

大学を一年で中退してひきこもる。障害者枠で働き始めるがパワハラをうけてひきこもる。2017年にひきこもり支援を訴えて市議選に立候補。落選して再びひきこもる。

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1件のコメント

鬱猫です 返信

さとうさんのコラムやTwitterのファンです。
このカウンセラーさん、「相談者」としては勉強もされて実績はおありかもしれませんが、学術的に心理学を学んだ方ではない様子ですね。
だから腕が悪いというわけではないのですが、分析に関しては素人だと思います。

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