選ばれないこと、女ということ
男が選ぶ側だと思っている人も女が選ぶ側だと思っている人もいるだろうが、私はそのどちらも関係がない。選べるような立場ではないし、選ばれるような立場でもないからだ。
インターネット上に散見される意見として、「女なら人生イージーモード」というものがある。もちろんそんなことを考える男性ばかりではないと思うが、このような表現は余りにも多い。
私はこれに出会うとき、自分ではとてもイージーモードとは言えないと考える。私は女だ。若い。しかし不細工だ。太っている。無職だ。そして自閉症スペクトラムだ。
せめて見た目さえ良ければ私は男に頼って生きることができたのに、とは思わない。
自閉症スペクトラムはコミュニケーションに困難を抱かせるから、見た目がよくてもどうせ愛想を尽かされると思っている。だから、結婚して男に養ってもらえれば安心だなんて考えられない。
私は選べないし、選ばれないと思っている。
なのに、インターネット上の匿名の男たちは「女なら」と幻想を抱く。これはあくまで主観的な話なので自分はそうは思っていないなんて言わないでほしい。私から世界がどう見えるかの話だ。
私は女という性に対する幻想に苛立っているし、幻想されることが腹立たしい。その幻想は私の苦しみを無視している。私は事実として羨まれるような立場にいない。私だって苦しいのに。
きっとこんなにも怒ってしまうのは、結局のところ「私が無視されているから」という単純な理由で、しかもその対象は個人ではなく、私の抱く匿名の不特定多数のイメージだ。見える景色に対して怒っているようなものだし、冷静とは言いがたい。けれど、私はそれらを見ると腹立たしいし、怒りを覚えるのだ。
要するに誰かに認めてほしいだけだ。誰に?誰かに。
欲しいものすらわかっていない。ただ、誰かを選びたいし、選ばれたい。
【執筆者】
春日井 さん
【プロフィール】
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